平成29年度 新入職員辞令交付式 訓示

皆さん、こんにちは。理事長の平野です。

本日、皆さんのような夢と希望に満ちた前途有望な方々を、量研の新しい仲間としてお迎えすることができましたことは、私たちにとって大きな喜びであり、役職員一同、心より歓迎いたします。

皆さんは、それぞれに未来への期待と不安の入り混じった気持ちで、ここにおられることと思いますが、ここにいる我々や配属される職場においては、無限の可能性を秘めた皆さんを大いに期待しているところです。なぜなら、組織が継続して発展するためには、常に新しい人材の投入による活性化を図ることが重要であり、特に、量研のような知の創造、科学技術の探求を必須とする研究開発機関においては、皆さんのような若い力の絶えざる注入が欠かせないからです。

量研、すなわち国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構、英語ではNational Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology, QSTと略しますが、量研は昨年4月1日に、放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構の核融合部門と量子ビーム部門が再編統合されて新しくできた国立研究開発法人です。北は青森県から西は兵庫県まで全国に7研究拠点を有し5つの研究所から構成されています。またフランスのサン・ポール・レ・デュランスではEU、アメリカ、ロシア、韓国、中国、インド、日本の世界7極による国際協定の下にITER熱核融合実験炉の建設が進められており、QSTの海外事務所もあります。エネルギー、生活、命に関する幅広い研究開発を、量子科学技術を基盤として推進しています。そして量子科学技術による「調和ある多様性の創造」を介して平和で心豊かな人類社会の発展に貢献するという理念と、「世界トップクラスの量子科学技術研究開発プラットフォーム」の構築を志しています。

今人類は20万年の歴史上5回目の大きな変革期に突入しています。この第5波は不確実性の時代であり「多様性爆発の時代」です。多少の揺り戻しはありましたが、20万年間グローバル化の大きな流れは変わることなく、人類は常に統一に向かって進んできました。しかし今、あまりにも急激なグローバル化の波のなかでイギリスのEU離脱やトランプ現象などの反動が生じています。各地で多様性の負の側面である対立や紛争が勃発しています。我々の未来には多様性爆発による人類滅亡か、多様性爆発を乗り越え完全グローバル化を果たした地球人社会のいずれかが待ち構えています。その岐路に私たちは生きており、今ほど科学技術や学問、スポーツや芸術などの「人類共通言語」が重要な時代はないと思います。

我々は、科学技術を介して世界の人々と交わる事ができます。そして異文化を理解し、異文化を尊重することへと繋がり、調和ある多様性の創造が可能となります。この事により多様性の壁を乗り越えて、対立や紛争を防ぐ事が可能となるだけではなく、科学技術そのものの進歩やイノベーションも起こす事が可能となります。量研は「量子科学技術」を介して世界の人々と連携し、量子科学技術の発展を牽引するのはもちろんのこと、人類社会に異文化理解・尊重の精神を育み、「調和ある多様性の創造」を推進し、我が国の発展はもちろん平和で心豊かな人類社会の発展に貢献しなければなりません。

第5波は、量子科学と生命科学の時代でもあります。あらゆるモノ、コト、ヒトがICTで繋がり、世の中のあり方そのものが大きく変化する可能性があります。また生命科学の発展は40億年続いた「自然選択」から「科学設計」へと生物進化の大転換期を迎えつつあります。私たちの生き方や人生観そのものに大きな変化を及ぼすかもしれません。目の前を見れば、エネルギー、環境、食料や超高齢化社会など人類が解決しなければならない様々な問題があります。量研は、未来のエネルギーを支える核融合エネルギー研究開発、豊かな生活を支える革新的機能材料研究開発、健康長寿を支えるがんや認知症などの診断・治療研究開発、そして安全・安心を支える放射線防護・被ばく医療体制の中核を担っており、第5波は、量研/QSTの時代であると言っても過言ではありません。

量研は平成28年4月に発足し、ちょうど1年を迎えたばかりの新しい法人です。昨年は「QST未来戦略2016」を策定し中長期的展望の下に量研の将来像を考えました。そして今年は2年目に入り皆様とともに力を合わせて未来戦略を実行していくことになります。皆様は本日より量研の歴史の新たな1ページを私たちと共に綴っていくことになります。量研/QSTの未来は皆様方の手の中、心の中にあると言っても過言ではありません。

皆さんは、量研職員として、常に未知の世界にチャレンジする不屈の精神を持ち続け、各々専門分野の先駆者として、「果敢に挑戦する」ことを心がけて下さい。私は、「夢は叶えるためにある」と思います。夢は実現が困難だから夢と呼ばれます。現実と夢があまりにもかけ離れているが故に、人は夢を決して手に入れることができない遥か彼方の蜃気楼だと諦めてしまいます。しかし、諦めてしまえば、夢は永久に夢です。夢を忘れることなく、夢に向かう努力を一歩一歩していると、いつの日か夢が現実のものとなります。たとえ夢が実現しなくても夢に向かって努力するその過程が私たちの人生を豊かにしてくれます、組織を活性化してくれます。

最後になりますが、皆さんは量研の新入職員として、内外から期待と注目を浴びていることを認識して、常に良識ある行動に心掛けて下さい。その上で、健康に十分注意を払いながら、皆さんの持てる力を存分に発揮し、職場にフレッシュな風を吹き込んでいただきたいと思います。一緒に夢の実現に向けて頑張りましょう。

皆さん方のこれからのご活躍を心から祈念して、お祝いと期待の言葉とさせていただきます。
 
平成29年4月3日
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
理事長 平野俊夫