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関西光科学研究所 | 量子応用光学連携研究Gr

グループの紹介

 量子応用光学連携研究グループは、2019年4月1日に発足した新しいグループで、関西研の本来グループのメンバーが併任して活動を行っています。

 その志は、関西研が培ってきた幅広い科学技術分野へのレーザー(量子光学)の応用を明確に打ち出し、レーザーを用いた産業・医療分野における社会実装の実現やレーザーによる新しい生命科学分野の開拓を加速させたいと考えています。

メンバー

  • 田中 淳  関西光科学研究所副所長 / グループリーダー(併任)
  • レーザー医療応用研究グループ
  • X線レーザー研究グループ
  • 超高速光物性研究グループ

非侵襲血糖値センサーの開発

 レーザーの応用研究として、先端固体レーザーと光パラメトリック発振技術を融合することにより、手のひらサイズの非侵襲血糖値センサーの開発も行っています。

 現在世界で4億人を超える糖尿病患者は、2045年には6億人を越えると予測されています。糖尿病患者は合併症を引き起こすリスクが高く、1日に4 −5回、痛みを伴いながら血糖自己測定(Self-Monitoring of Blood Glucose)器具を用いて、血糖値を測定しなければなりません。当社が開発する血糖値センサーは採血不要、感染症廃棄物も発生しないため、患者の負担を大幅に低減できると共に、糖尿病予備群及び健常者の健康意識を高め、糖尿病の予防に役立ちます。 また、連続的に血糖値測定ができれば、従来の技術では困難であった血糖値スパイクなどのトレンドを測定することが可能になり、これまでの血糖値測定の概念を大きく塗り替えるものと考えています。

 採血なしに測定できる血糖値センサーの上市により、糖尿病患者から日々の苦痛や精神的ストレスを解放すること、また健常者における血糖値測定のハードルを飛躍的に下げることによって糖尿病患者の増加を抑制し、国内で年間約1兆2,000億円を超える糖尿病関連医療費削減につながると考えています。

 これまで20年以上にわたって非侵襲の血糖値センサーの開発が望まれていましたが、従来技術ではレーザー輝度が低いため、血中に存在する様々な物質から糖だけを精度高く検出することが困難であり、実用化に至っていません。

 そこで、最先端の固体レーザー技術と光パラメトリック発振技術を融合することにより、従来光源と比較して、約10億倍の明るさの高輝度中赤外レーザーの開発に成功し、一定の条件の下、国際標準化機構(ISO)が定める測定精度を満たす非侵襲血糖測定技術を世界で初めて確立しました。

 そしてこのレーザー技術を直接人々のために役立てるため、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構認定第1号ベンチャーとして、ライトタッチテクノロジー株式会社が2017年7月に創業しました。

 血糖値センサーのモデル写真。指で触れるだけで血糖値を測定することができます。

写真:針を刺さずに採血が不要。指で触れるだけで血糖値を測定することができます。

コンクリート内部の欠陥を高速で検知

 日本の多くの社会インフラが高度成長期を経て築後50年以上経ち危険水準に近付いている中で、様々なインフラ計測の技術が研究開発されています。内閣府の戦略的創造プログラム(SIP)において理化学研究所を代表組織として理研チーム(理化学研究所(理研)・量子科学技術研究開発機構(量研)・レーザー技術総合研究所)が受託した「レーザーによるトンネルの覆工面の遠隔・非接触・非破壊計測」のテーマにおいてレーザーを用いた先進的計測・検査技術の実用化に向けたシステム開発を進めています。

 その中で、レーザー打音高速計測システムは、ハイパワーパルスレーザーを照射することでハンマーのように覆工表面を叩き、この時の振動をレーザー振動計測により計測を行います。現在、50Hz繰り返しのハイパワーレーザーを用いることにより検査員の約20倍以上の高速(50回/秒)の打音計測が可能となりました。量研では、レーザー打音高速検査システムの50Hz繰り返しハイパワーレーザーの開発等を担当し、レーザー打音高速化技術の実証実験を進めました。この技術の社会実装を進めるために理研および量研の研究者と計測検査(株)によって理研ベンチャー・株式会社フォトンラボを設立しました。その後、「フォトンラボ」は、令和元年6月27日(大安)に国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構認定第4号ベンチャーとして認定されたことで、2つの国立研究開発法人からベンチャー認定を受けています。

大阪府能勢町の天王トンネルにて実施したレーザー打音高速検査装置の実証試験の様子。

写真:レーザー打音高速検査装置の実証実験(大阪府能勢町)