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量子医学・医療部門

高度被ばく医療センター 福島再生支援研究部

掲載日:2019年4月23日更新
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福島再生支援研究部とは

2011年3月11日、未曾有の災害となった東日本大震災が発生し、その津波により東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発とする)で大規模な事故が発生しました。放射線医学の専門機関である放医研は、原子力災害からの復興を支援することを目的に福島復興支援本部を組織し、様々な活動を行ってきました。
2019年4月からは、QSTの組織改革により、高度被ばく医療センター福島復興支援研究部に組織が変わり、業務の一部を継続しています。

高精度分析法の開発と環境試料の測定、住民の長期被ばく線量評価モデルの構築、放射線が環境中の生物に与える影響の解明、食品に係る放射性物質の環境移行パラメータの導出を進め、日常生活での被ばく量を低減化する方法などを科学的に明らかにし、放射線科学研究の面から福島県の復興を支援します。
また、福島県立医科大学に研究分室を設けて環境試料等の分析施設を整備すると共に、いわき市に出張所を置いて関係機関との連携を進めています。さらに、国民の皆様の不安や疑問に応えるため、電話による放射線健康相談などを行っています。​

<組織構成>
​・環境動態研究グループ
​・環境影響研究グループ
・環境移行パラメータ研究グループ

 

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福島再生支援研究部の研究内容

福島県基金事業「放射性核種の生態系における環境動態調査等事業」として、福島第一原発事故により放出された放射性物質について、事故後の経過に伴う放射性物質の環境中の動態、移行と影響を考慮した調査を行い、人々が周辺環境から受ける被ばく線量の解析とその低減化により住民の不安解消に資することを目的として、以下の調査研究をしています。

1)極微量の放射性核種の高精度迅速分析法の確立
2)福島の住民の周辺環境での放射性核種の移行および影響調査
3)住民が将来にわたって受ける線量の評価とその低減化

環境動態研究グループ

福島第一原発事故によって環境中に放出された放射性核種は、住民に外部被ばくをもたらし、食品に移行した場合には内部被ばくの原因となります。放射性核種は、水、土壌や生物などの様々な媒体を通して環境中を移動するため、住民の被ばく線量を予測するためには、環境中での放射性核種の動きについての時間をかけた調査や観測が不可欠です。森林域や海域における放射性核種の濃度変化や挙動について調べてきました。
また、福島の住民を取り巻く環境に焦点を当て、住民が周辺環境から将来にわたって受ける被ばく線量が推定できるシステムの構築を進めています(図1)。

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環境影響研究グループ

福島第一原発周辺の自然環境の健全性を、いくつかの野生生物を対象として調べています。野ネズミでは、帰還困難区域の空間線量率が特に高い地域において、放射線によると思われる染色体異常頻度の増加が脾臓リンパ球で確認されました(図2)。
ただし、そのような染色体異常により野ネズミの健康に影響が生じることを示す知見はありません。モミでは、帰還困難区域の空間線量率が特に高い地域において、主幹が欠損して二又様の分枝が生じる形態変化が増加していたことが確認されました。現在、この形態変化が放射線によって引き起こされたかどうかを調べています。
サンショウウオとメダカでは、現在までのところ放射線影響と考えられる変化は確認されていません。

 

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環境移行パラメータ研究グループ

環境移行パラメータとは、例えば土壌から農作物、水から魚といった環境から食材への放射性物質の移行経路の中で、どのくらいの割合で移行するのか(移行割合)、どのくらいの速さで食材中から減っていくのか(環境半減期)を数値化したものです。これにより、様々な放射性核種濃度の環境でも、食品中の濃度を推定できるようになります。
そこで我々は福島第一原発事故後から色々な食材に着目して研究を進めてきました。例えば山菜について、事故後3年程度は137Cs(物理学的半減期30年)の濃度が徐々に減少しましたが、その後は減りにくくなっていることを明らかにしています(図3)。他にも食用の野生動植物への放射性セシウムの移行割合の研究をしています。我々は引き続き食に対する安心に結びつく研究を行っていきます。
 

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