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量子生命・医学部門

放射線規制科学研究部

掲載日:2021年10月4日更新
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QSTは、原子力規制委員会の技術支援機関として、我が国の原子力災害対策と放射線防護を支えています。放射線規制は、科学的根拠と社会的合意に基づいて、より合理的に、より安心につながるように、常に高度化する必要があります。そこで、放射線規制科学研究部では、研究所の他の部門はもちろん、国内外の多くの機関と協働して、放射線医科学分野の研究が国民の安全に速やかに還元することを目指し、以下の活動を行っています。

  • 放射線医科学分野の研究情報や医療被ばくや職業被ばくのデータを収集する
  • 国際的専門組織に我が国の放射線医科学の研究成果や実態データを提供する
  • 社会からのニーズに応えて、放射線被ばくに関する正確な情報を発信する
  • 放射線による影響把握やリスク低減に必要な調査・解析を実施する
  • 被ばく後の除染や被ばく治療技術の高度化を進める
  • 放射線障害の分子機構から、細胞・生体応答を解明し、制御する、等

研究テーマ

放射線防護の国際的な情報ネットワークにおける日本のハブ機能

毎年世界中から放射線の線源や影響、防護に関する研究が多数発表されます。こうした放射線影響の研究成果や放射線防護の考え方が、日本の法令や規則に取り入れられるまでには、多くの国際機関や組織が関連し、相互に情報交換を行います。当センターは、我が国の放射線医科学に関する研究成果や被ばくに関するデータを取りまとめ、国際的専門組織に提供することで、我が国の国際社会におけるプレゼンス向上に貢献しています。それと同時に、最新の放射線防護に関する国際動向を調査し、規制当局に報告しています。

放射線防護の国際的な情報ネットワークにおける日本のハブ機能の画像

放射線防護における科学的知見と社会を結ぶインターフェース機能

東電福島第一原発事故対応を契機に、放射線の影響に対する社会的な関心は高まりました。当センターは、人と環境に対する放射線の影響や科学的根拠に立脚した放射線防護体系に関する正確な情報を、国、地方自治体、市民、専門家等、様々なステークホルダに提供する役割を担っています。その一環として、放射線の現行規制や管理に関する諸制度と国際的な放射線防護等に関する知見等の関係を包括的に収録した「放射線影響・放射線防護ナレッジベース」を構築しています。将来、このナレッジベースはウェブベースシステムとして公開し、放射線に関する理解増進や安心醸成に役立てるとともに、今後の放射線防護の基準の作成等に活用されます。

放射線防護における科学的知見と社会を結ぶインターフェース機能の画像1放射線防護における科学的知見と社会を結ぶインターフェース機能の画像2

放射線防護の課題抽出と解決策提示のための線量やリスクの定量化

日本では管理対象になっていない放射線被ばくがあります。患者の医療被ばくや自然起源放射性物質からの公衆被ばく、そしてヒト以外の生物の被ばくです。これらが管理されていないのには個別の理由がありますが、被ばくの実態が分かっていないものもあります。そこで、線量評価やリスク推定といった科学的エビデンスに基づき、個々の課題の緊急性や解決策を明らかにし、規制当局に提言する活動を行っています。こうした課題の多くは低線量被ばくによるもので、線量やリスクの評価には不確かさが伴います。不確かさの要因や程度を明らかにし、放射線防護の観点から適切に対処するための健康・環境リスクやリスク認知に関する研究を行っています。

放射線防護の課題抽出と解決策提示のための線量やリスクの定量化の画像1放射線防護の課題抽出と解決策提示のための線量やリスクの定量化の画像2

患者の被ばく線量把握に関するシステム開発と全国調査

医療放射線の利用は世界的に増加傾向にあります。日本は国民1人あたりの医療被ばくが他国に比べて多く、日常から被ばくの大半を占めています。そこで医療機関が保有する放射線診断情報を自動的に収集しデータベース化するシステムや、CT検査により臓器が受ける線量を評価するWEBシステム(WAZA-ARI)を開発しています。システムにより集められたデータは、放射線検査の撮影条件の妥当性をチェックするための目安値の設定に用いられるなど、患者さんの放射線防護対策を講じるために役立てられます。またこうした活動は、関連学協会で組織する医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)を介して全国に展開しています。

CT検査の被ばく線量を推計するWAZA-ARI

CT検査の被ばく線量を推計するWAZA-ARIの画像1
CT検査の被ばく線量を推計するWAZA-ARIの画像2

アクチニド・放射性核種の体内汚染および排出促進に関する研究

アクチニドをはじめとした放射性核種による内部被ばくの線量低減を目的として、まず、放射性核種の体内動態や分布、代謝を調べます。このことにより、より適切な線量評価のための知見を得ると同時に、バイオドジメトリー技術の高度化を進めます。さらに、体内の放射性核種を効果的に体外排出させるための薬剤やドラッグデリバリーシステムを探索するとともに、既存医薬品との併用効果を定量的に評価することにより、内部被ばくの体内除染治療などに有用な情報を提供します。

アクチニド・放射性核種の体内汚染および排出促進に関する研究の画像

増殖因子による被ばく治療研究

高線量被ばく事故における放射線障害及び放射線治療における脱毛症や消化器症状など正常組織の有害反応に対する予防・治療法の開発を行っています。また、放射線によるDNA損傷修復機構や細胞の生死制御機構を解明し、それらの放射線障害における役割を明らかにします。さらに、幹細胞をとりまく微小環境におけるFGFなどの増殖因子や糖鎖などの細胞外マトリックスの組織再生に対する機能を明らかにすることで、放射線障害の予防・治療のための新規生理活性分子の創生を目指しています。

増殖因子による被ばく治療研究の画像1増殖因子による被ばく治療研究の画像2

化学反応量の定量的評価を通して放射線障害の分子機構を探る研究

放射線によって水中あるいは油脂中で生じる活性分子種の同定と定量、およびそれらの初期生成密度の解析と、それらにより誘導される細胞・生体応答への影響について調べます。活性化学種の初期生成密度は、引き続き起こる化学反応の道筋を決定しうる重要な因子と考えられ、それらの活性分子種が引き起こす連鎖的酸化還元(レドックス)反応を予想することにより、化学反応から生物学的応答へと結びつく反応の道筋を模索します。そうした予測に基づき、既知あるいは新規の機能性分子を用いて標的活性種の制御を試みるとともに、生体内分子の化学的障害機構とそれにより誘導される細胞や生体の応答への線質効果の影響の解明を目指します。

化学反応量の定量的評価を通して放射線障害の分子機構を探る研究の画像1化学反応量の定量的評価を通して放射線障害の分子機構を探る研究の画像2

研究グループ

  • リスク評価グループ
  • 組織再生治療研究グループ
  • 体内除染研究グループ
  • 障害分子機構解析グループ

関連リンク