放射線防護の対象は(1)公衆、(2)職業上被ばくする原子力発電所や病院などの職員、(3)放射線治療や検査により被ばくする患者の3つ。
そのうち(1)については東京電力福島第一原子力発電所事故後の被ばくを定量化する研究を行っています。QSTでは、国連科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)に科学的データを提供しています。例えばこれまで微量すぎて計測不能だったプルトニウムを作物中から分離し測定する世界唯一の技術を開発。プルトニウムが作物に移動するのは、土中の濃度のわずか1万~10万分の1にすぎないことを明らかにしました。事故後の不安に対して科学的根拠に基づき応えるために、プルトニウム以外の放射性物質についても長期的に分析を続け、知見を蓄積していきます。
(2)については被ばくにより白内障のリスクが高まる水晶体の線量測定方法などの研究を進めています。(3)では、QSTが提唱した「医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)」が中心となって、放射線検査で用いる線量を最適化する活動を実施しています。QSTは放射線防護対策をオールジャパン体制で推進する際のまとめ役、情報のハブとして貢献しています。
インタビュー
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近年の主なプレスリリース
- 「放射能環境動態・影響評価ネットワーク共同研究拠点」が始動、研究テーマの公募受付開始(2019年4月10日)
- 土壌や植物中のストロンチウム90の新たな分析法を開発-従来の放射能分析法よりも、少ない試料量かつ短時間で高精度な測定が可能に-(2019年3月15日)
- CT検査の患者全員分の被ばく線量管理の実現に向けて―患者被ばく線量評価システムWAZA-ARIv2がもっと使いやすく―(2018年4月11日)