QSTでは、PETやMRIといった量子イメージング技術を用いて、認知症などの精神・神経疾患の診断や治療、予防法の研究を行っています。認知症の脳内には「アミロイドβ」や「タウ」などのタンパク質が蓄積することが死後脳研究で知られていましたが、QSTでは2013年にPET検査用薬PBB3を開発、世界で初めて脳内に蓄積したタウを生体で可視化することに成功し、科学的根拠のある認知症の早期診断確立に向けて大きく前進しました。現在は研究を「治療」へと広げ、タウを生体で可視化する技術をタウの除去により認知症を改善する新規薬剤の評価や、認知症予備軍の方に向けた予防用補助食品の開発に活用しています。
精神・神経疾患のメカニズムを探るには、脳内の神経細胞や回路がどのような機能を担っているかを明らかにする必要があります。そのための手法の一つ「DREADD※(ドレッド)」は、「人工リガンド」という薬剤にのみ反応する人工受容体(DREADD)を脳の特定部位で増やしておいて、人工リガンドの投与で神経回路を操作する技術です。QSTでは、人工受容体を生体で画像化する新技術を駆使しながら、神経回路を操作して行動に変化を起こさせる動物実験に成功しました。加齢などで損傷を受けた脳の回路を正常化するなど治療での活用を目指して、研究を進めていきます。
※Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Durgs
インタビュー
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近年の主なプレスリリース
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認知症治療薬開発へのとびらをひらくPET薬剤の開発に成功-脳内タウ病変の可視化による病態解明、早期診断、新規治療薬の開発促進に役立つ-(2020年10月30日)
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脳の「スイッチ」にピンポイントで作用する薬剤候補を開発―すぐに効いて副作用のない精神・神経疾患の治療法としての応用に期待―(2020年7月7日)
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老年期うつ病を引き起こす可能性のある異常タンパク質を生体内で可視化‐老年期うつ病の治療・予防に光明が見えた!(2020年7月1日)
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サルで“他者のこころを読む”脳部位を特定― 自閉症の脳病態を解明する動物モデルの開発へ新しい道 ―(2020年4月1日)
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認知症に対する点鼻ワクチンの開発―遺伝子治療による免疫療法と分子イメージング― (2020年3月25日)