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量子生命・医学部門

放射線の人体への影響(放射線全般に関するQ&A)

掲載日:2020年4月28日更新
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  1. 普通に暮らしていても日常生活で被ばくしているというのは本当でしょうか?
  2. 人工放射線と自然放射線とで、人体への影響に違いがありますか?
  3. 100ミリシーベルト(mSv)の意味について教えてください
  4. 確定的影響と確率的影響を教えてください
  5. 放射線を浴びるとがんになりますか?
  6. 放射線を浴びると、妊娠しにくくなったりすることがありますか?
  7. 原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質は、人にどのような影響がありますか?
  8. 時計にはトリチウムが使われているものがあると聞きました。被ばくしませんか?

 
Q.普通に暮らしていても日常生活で被ばくしているというのは本当でしょうか?

A.普通に生活していても、大人一人あたり年間2.4ミリシーベルト(世界平均)の放射線を自然界から受けています。自然放射線の量は、地質的なもの食事や住居といった生活様式が影響するため、地域により差があります。

普通に生活していても、年間2.4ミリシーベルト(世界平均)の放射線を自然界から受けています。自然放射線の量は、地域により差があります。

放射線というと、原子力発電所や病院での被ばくのような人工放射線を連想しますが、自然界にもいろいろな種類の放射線が存在しています。

大地からの放射線は、地球誕生から存在する地球上の放射性物質に由来しています。また宇宙からも放射線が飛んできますし、大気中のラドン等から放出される放射線もあります。また人の体の中には、食物から取り込まれる放射性物質(カリウム40やポロニウム210など)もあります。

これらの自然放射線の量は世界平均で年間2.4ミリシーベルトですが、日本での平均は2.1ミリシーベルトと言われています。

自然放射線の量は地域による差が大きく、世界の中でも高自然放射線地域と呼ばれる地域で、年間10ミリシーベルト以上の放射線を受ける地域もありますが、このような地域で健康影響が発生しているという明確な証拠はありません。

 

日本の自然放射線の線量について

2011年3月時の記載(年間1.5 mSv)は、1992年8月に発行された「生活環境放射線(国民線量の算定)」(財団法人 原子力安全研究協会)から引用しました。

2011年12月に「新版生活環境放射線(国民線量の算定)」が発行されたことから、その信頼性を検証し、2.1 mSvの値を採用することといたしました。値が変わった理由の一つに、食品中のポロニウム210による内部被ばく線量が計算に加えられたということがあります。

(平成25年10月31日更新)

Q.人工放射線と自然放射線とで、人体への影響に違いがありますか?

A.内部被ばくの場合でも人体への影響は、放射性物質の化学的な性質と、放出する放射線の種類やエネルギーによって影響が違ってきますが、“自然”か“人工”かの違いで人体への影響が変わることはありません。

放射線を出す放射性物質には、セシウム137やストロンチウム90など、核実験や原子力発電などによって生成される人工放射性物質と、カリウム40やトリウム232など、天然に存在する自然放射性物質があります。人工放射性物質から放出される放射線を人工放射線、自然放射性物質から放出される放射線を自然放射線と言う事がありますが、人工放射線も自然放射線も物理的な放射線の種類としてはアルファ線、ベータ線、ガンマ線などであり、同じものです。そのため、同じ種類、同じエネルギー、同じ量の放射線が人体の同じ部位に当たった場合、人工放射線も自然放射線も影響は同じです。自然放射線は体に良く、人工放射線は体に悪いということはありません。内部被ばくの場合でも人体への影響は、放射性物質の化学的な性質と、放出する放射線の種類やエネルギーによって影響が違ってきますが、“自然”か“人工”かの違いで人体への影響が変わることはありません。

Q.100ミリシーベルト(mSv)の意味について教えてください

A.原爆被爆者を主とした疫学調査では、およそ100ミリシーベルト以上の線量でがん死亡率が増加することが確認されており、100ミリシーベルトあたりおよそ0.5%増加するとされています。

がんは放射線だけでなく、食事、喫煙、ウィルス、大気汚染など様々な要因によって発症すると考えられます。生じた個々のがんが放射線によるものであると特定することはできません。従って、放射線でがんが起きているかどうかを検証するには、多くの集団において、受けた線量とともにがんが起こる確率も上昇するかどうかを調べる必要があります。原爆被爆者を主とした疫学調査では、およそ100ミリシーベルト以上の線量では、線量とともにがん死亡が増加することが確認されています。およそ100ミリシーベルトまでの線量では、放射線とがんについての研究結果に一貫性はなく、放射線によりがん死亡が増えることを示す明確な証拠はありません。しかしながら、国際放射線防護委員会(ICRP)では、放射線防護の目的のためにより安全側に立った考え方として、100ミリシーベルト未満の被ばくをする場合であっても放射線によるがん死亡は増加するとし、その割合は100ミリシーベルトあたりおよそ0.5%であるとしています。

日本人は元々約30%(1,000人のうち300人)ががんで亡くなっています。この国際的な推定値を用いると、仮に1,000人の方が100ミリシーベルト※※の線量を受けたとすると、生涯にがんで亡くなる方が300人から305人に増加すると計算できます。ICRPはまた、上記で述べた考え方について、確実ではないが起こる可能性のある障害を予防するという考え方であり、100ミリシーベルトよりもごく低い線量を合計して集団で出るがんなどの症例数を計算するといった影響の評価に適用することは、不確実性が大きく適切ではないと述べています。

※この線量は臓器ごとに放射線感受性の重みづけをして足し合わせた実効線量と呼ばれる線量です。「等価線量と実効線量について教えて下さい」もご参照ください。

※※ここで言う100ミリシーベルトとは、これまで受けた積算線量として考えています。また、この100ミリシーベルトには自然界から受ける放射線量は含まれません。

横軸を蓄積線量、縦軸をがんによって死亡する人の割合としたグラフ

2021年8月13日にこのQ&Aを改訂しました。改訂箇所等につきましては、『Q. 100ミリシーベルト(mSv)の意味について教えてください』の回答の改訂について [PDFファイル/421KB]をご覧ください。

Q.確定的影響と確率的影響を教えてください

A.「確定的影響」は、一定量の放射線を受けると必ず現れる影響をいい、「確率的影響」は、放射線を受ける量が多くなるほど現れる確率が高まる影響をいいます。

確定的影響は、ある一定以上の放射線量を浴びた場合に見られる影響で、発生する線量にしきい値が存在し、線量が高くなると影響の現れる頻度も増加します。全体の1%の人に影響が現れる線量を「しきい線量」といいます。造血能低下、不妊、やけど、脱毛、白内障などがあります。

確率的影響も、放射線量に依存して影響の現れる頻度も増加しますが、しきい値は無いと仮定されています。これには、がんや白血病、遺伝性影響などが含まれます。それらの影響は、放射線を全く受けなくてもある程度の頻度で発生があり(自然発生率といいます)、被ばくが加わると上積みする形で発生する頻度が増加します。

Q.放射線を浴びるとがんになりますか?

A.原爆被ばく者の疫学調査等により、放射線に被ばくすると、がんの発症頻度が増加することがわかっています。

放射線を被ばくしてから、何年何十年後に現れる晩発障害にがんや白血病(血液のがん)があります。これは、放射線を余分に受けなくても、ある程度の発生があり(それを自然発生率と言います)、さらに被ばくが加わると、上積みする形で、がんが発生する頻度が増加します。

発がんの仕組みは複雑ですが、正常細胞に放射線が当たると、遺伝子(DNA)に傷がつき、一部は傷が修復されて元通りに回復しますが、修復が出来なければ死んでしまいます。きちんと修復がされない場合、一部は突然変異を起こして変異細胞になり、生き残った細胞がさらにほかの遺伝子にもいくつも変異を起こしますと、その一部ががん細胞となります。

変異細胞ががんになるまでには、いろいろな過程があり、数年から数十年かかると言われていますが、白血病の発症は被ばく後数年という早い時期に急激に増えることがわかっています。

また、放射線被ばくによって、がんになりやすい臓器があることも分かっており、骨髄(白血病)、肺、結腸、胃、乳腺などががんを起こしやすい臓器です。

Q.放射線を浴びると、妊娠しにくくなったりすることがありますか?

A.非常に高い線量であれば、男女とも永久不妊になる場合があります。100ミリグレイ程度の低線量であれば、男性の一時的不妊が起こる可能性がありますが、その頻度は1%以下です。

比較的低い線量(精巣に一度に100ミリグレイ)でも、まれに男性の一時的不妊が起こることがありますが、自然に治癒しますし、その後の妊娠や子どもへの影響もありません。

治らない不妊が生ずるしきい値の線量※※は、男性で約6グレイ、女性で約3グレイと非常に高い線量を受けた場合に限ります。

事故の汚染地域でこのような線量を受ける事はありません。

※ガンマ線、ベータ線の場合は、ほぼ1ミリグレイ=1ミリシーベルト(等価線量)です。

※※多数の人がある同じ線量を被ばくしたとき、全体の1%に影響が現れる線量をしきい線量としています。

Q.原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質は、人にどのような影響がありますか?

A.放射性物質による外部被ばくや内部被ばくにより、線量に依存してがんになる危険性が高まると考えられています。

大気中に放出された放射性物質は、地表面や建物などに沈着して、環境中にとどまることがあります。この場合、沈着したところから放射線(主にガンマ線)を受けますが、体外にある放射性物質からの被ばくですので、外部被ばくに分類されます。

一方、大気中の放射性物質を吸入したり、放射性物質により汚染した飲料水や農作物を摂取することにより、体内に取り込まれた放射性物質による被ばくが考えられます。こちらは内部被ばくに分類されます。

放射線に被ばくすると健康に影響を及ぼすことがあり、内部被ばく、外部被ばくとも、その影響の程度は受けた放射線の量(以下線量といいます)に依存します。長期的な影響として、受けた線量が高いほど数年後から数十年後にがんになる危険性が高まると考えられています。また、内部被ばくでは、放射性物質の種類により、特定の臓器に沈着して臓器特異的な影響を表す場合があります。例えば放射性ヨウ素の場合は、小児の甲状腺に沈着しやすく甲状腺がんを起こす可能性があり、放射性ストロンチウムでは骨に沈着して白血病を起こす可能性を高めることがわかっています。

どのくらいの線量でどの程度の影響が発生するかについては、「100ミリシーベルト(mSv)の意味について教えて下さい」を参照して下さい。

Q.時計にはトリチウムが使われているものがあると聞きました。被ばくしませんか?

A.夜光時計に使われているトリチウムからの被ばくは、ほとんどありません。

トリチウム(物理学的半減期:12.3年)は夜光塗料として腕時計の文字盤に使用されている場合があります。これは、トリチウムが放出するベータ線を蛍光物質にあてて発光させる方法で、国際的な規格があります。国際原子力機関のSafety Series No.23には、製品一個あたりのトリチウムの量は、一般の時計では277.5MBq以下、ダイバーズウォッチなどの特殊仕様で925MBq以下となっています(後者の場合は時計に記載が必要)。トリチウムから発生する放射線は極めて弱く、人の皮膚を通過することができませんので被ばくすることはほとんどありませんし、人的被害も報告されたことはありません。製品となった時計からトリチウムが漏れないように設計されてはいますが、世界では色々な基準の製品があります。もし購入する際には、どのような製品なのか確認することをお勧めします。

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