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量子生命・医学部門

放射線の人体への影響(東京電力福島第一原子力発電所事故に関連するQ&A)

掲載日:2020年4月28日更新
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放射線

  1. 基準値以下のレベルの食品であっても少し心配です。妊婦や子どもへの影響はありますか?
  2. 今後妊娠しても大丈夫でしょうか?
  3. 私は妊婦です。放射線の影響はありませんか?
  4. 事故初期には小さい子どもはホールボディ・カウンタ測定の対象になっていませんでした。どうしてでしょうか?
  5. 首都圏に住んでいますが、事故から数日後に雨に濡れました。健康に影響はないでしょうか?
  6. 「放射線を浴びると鼻血が出る」のは本当ですか?
  7. 東京電力福島第一原子力発電所の事故当時に、放射性物質が鼻の粘膜に付着することで、鼻血がでることは考えられますか?

セシウム

  1. 放射性セシウムによる内部被ばくがとても心配です。放射性セシウムを体から排出させるのに効く薬があると聞きましたが、飲むことができますか?
  2. 母乳への移行はどれくらいですか?(放射性セシウム)
  3. 微量の尿中セシウムによって膀胱がんが増加するのでしょうか?

プルトニウムとストロンチウム

  1. 東京電力福島第一原子力発電所の敷地内で微量のプルトニウムが検出されたようですが、健康への影響はありませんか?
  2. 平成24年3月8日に発表された論文において検出されたプルトニウム241の結果から、どれくらい被ばくすると考えられますか?
  3. 平成24年3月8日に発表された論文のプルトニウムの量は本当に健康に問題ないのでしょうか?
  4. ストロンチウムは骨に蓄積されるので、危険だと聞きました。食品中のストロンチウム量についての規制はないのでしょうか(その1.規制について)
  5. ストロンチウムは骨に蓄積されるので、危険だと聞きました。食品中のストロンチウム量についての規制は無いのでしょうか(その2.骨への蓄積について)

ヨウ素

  1. 子どもの甲状腺がんのリスクはどれくらいですか?
  2. ヨウ素131は半減期が短いため、今調べてもどれくらい被ばくしたのかわからないと聞きました。子どもが本当はたくさん被ばくしていて、将来甲状腺がんになってしまうのではないかと心配でたまりません。
  3. チェルノブイリ事故のあと、周辺地域に住んでいた子ども達に甲状腺がんが多発したと聞きました。実際にはどれくらいの線量を被ばくしていたのでしょうか?
  4. 母乳への移行はどれくらいですか?(放射性ヨウ素)
  5. 一度体内に取り込まれた放射性ヨウ素はどうなるのでしょうか?
  6. 東京に住んでいます。これから福島県でボランティア活動をしたいのですが、被ばくが心配です。安定ヨウ素剤は入手できますか?
  7. 安定ヨウ素剤はどのように服用すれば良いですか?
  8. 安定ヨウ素剤に代わるものはありませんか?カリウムがよいと聞きましたが、バナナを食べるのはどうでしょうか?
  9. 私は甲状腺機能亢進症で加療中ですが、水道水中の放射性ヨウ素の影響は大丈夫でしょうか?
  10. 私にはヨードアレルギーがあります。安定ヨウ素剤は飲めないのでしょうか? 量を減らしても駄目でしょうか?
  11. ヨードアレルギーです。今回首都圏に降下した放射性ヨウ素でアレルギーが起きるでしょうか?
  12. 私は橋本病(慢性甲状腺炎)と診断されており、特に加療はしていませんが、経過観察中です。今回の原発事故で放射性ヨウ素のことがよく言われていますが、病気への影響はありませんか?

 
Q.基準値以下のレベルの食品であっても少し心配です。妊婦や子どもへの影響はありますか?

A.食品中の放射性物質による内部被ばくについて、現行の規制の上限数量である1mSv/年以下であれば、食品であっても問題ありません。

食品中の放射性ヨウ素や放射性セシウムによる内部被ばくについて、現行の規制の上限数量である1mSv/年以下であれば、自然放射性物質である食品中の放射性カリウム等による年間平均線量である0.98mSvとほぼ同じであり、妊婦や子どもへの影響を心配するようなレベルではないと言えます。日本産科婦人科学会などの見解も参考にしてください。

参照:
日本産婦人科学会「水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内」[PDF 103KB]

日本産婦人科学会「水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内(続報)」[PDF 148KB]

日本産婦人科学会「放射性ヨウ素(I-131)が検出された母乳に関し、乳児への影響を心配しておられる授乳中女性へのご案内」[PDF 102KB]

日本産婦人科学会「食材中の放射性セシウムについて心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内」[PDF104KB]

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会資料(平成23年7月12日 資料4)

食品安全委員会『放射性物質を含む食品による健康影響関するQ&A』

Q.今後妊娠しても大丈夫でしょうか?

A.原爆被爆後に妊娠して産まれた子ども(2世)については、今のところ、発がんの上昇や遺伝子の変化などの影響は確認されておらず、心配する必要はないと考えられます。

人間を対象にした調査では、原爆被爆後に妊娠して産まれた子ども(2世)については、今のところ、発がんの上昇や遺伝子の変化などの影響は確認されていません。原爆被爆者の子どもの染色体異常を調べたところ、被ばくしていない人と差がないと発表されています

動物実験では、数シーベルト相当※※の高線量を受けた親動物から生まれた子どもに、遺伝子の変化がごく低い頻度(一個の遺伝子に注目して調べると、1万匹に1匹程度の割合で遺伝子に変化が見つかる)で見られることが知られています。なお、放射線被ばくがない場合でも、数パーセントの新生児に何らかの遺伝的異常があることが知られています。

東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連して、住民が受けた線量は非常に低いため、心配する必要はないと考えられます。

※原爆被爆者の子供における放射線の遺伝的影響(公益財団法人 放射線影響研究所)

※※シーベルトという単位は動物には使いませんが、ここでは人間との比較でわかりやすいように、シーベルトを使いました。

Q.私は妊婦です。放射線の影響はありませんか?

A.100ミリシーベルト以下の被ばくでは、胎児への影響(奇形、精神遅滞など)について原爆被爆者の調査ではみられていません。

妊婦の方も一般住民の方と同じ対応で問題ありません。胎児が放射線を受けた場合のがんリスクは、成人が受けた場合より2~3倍程度高いと考えるべきといわれています(国際放射線防護委員会(ICRP)刊行物No.103)。しかしながら、妊娠期間中に100ミリシーベルト以下の被ばくでは、胎児への影響(奇形、精神遅滞など)は原爆被爆者の調査ではみられていません。

また、胎児へのその他の影響(小児期や成人期での発がん)について、現在の状況で住民の方が受ける可能性のある少量の放射線から予測される危険性は、生活習慣など放射線以外のものを原因として生じる危険性と比べて、遥かに小さいと考えらます。

さらに、今回の事故の影響で受ける累積の放射線量は、世界各地で受ける自然放射線の累積量の違いの範囲内におさまる程度であると考えられます。ですから、妊婦だからといって過度に心配する必要はありません。その他、妊婦さんの注意点は、厚生労働省のホームページをご参考ください。

胎内被爆者の身体的・精神的発育と成長(公益財団法人 放射線影響研究所)

Q.事故初期には小さい子どもはホールボディ・カウンタ測定の対象になっていませんでした。どうしてでしょうか?

A.測定中に動いてしまうためです。現在は検査が行えるようになっています。

ホールボディ・カウンタ測定では、体の中にある放射性物質から出てくる放射線を体の外にある放射線測定器で測ります。放射線の検出の効率は、体と放射線測定器の位置関係(距離)が変われば変わってしまいます。

一般住民の方のホールボディ・カウンタの測定時間は2~3分間で行われていますが、小さな子どもはこの間じっと動かずにいることが難しく、正確な測定ができないため測定の対象から外れていました。

注)福島県では、検査実施が困難であった4歳未満の子どもを対象とした検査について、平成25年8月から順次検査を実施しています。

参照:ホールボディ・カウンタによる内部被ばく検査について(ふくしま復興ステーション)

Q.首都圏に住んでいますが、事故から数日後に雨に濡れました。健康に影響はないでしょうか?

A.当時の雨に含まれている放射性物質は被ばく線量としては低く、拭き取り、もしくはシャワーで流して除染すれば問題ありません。

平成23年3月11日の事故以降に降った雨の中には事故によって放出された放射性物質が含まれていると考えられますが、その量はわずかです。これまで報告されている空気中の濃度から計算すると、雨に濡れて放射性物質が皮膚についたとしても、健康に影響を与えるような量ではありません※1ので、心配する必要はありません。また、現在では雨の中に原発由来の放射性物質は含まれていません。(東京電力(株)は、11月2日に空気中への放射性物質の放出は事故直後に比べ、800万分の1程度と発表しています。また、東京都健康安全研究センターは、6月1日から11月11日までの間で、8月5日(セシウム134と137の合計で10.4Bq/m2)および8月6日(セシウム134と137の合計で8.4Bq/m2)以外では、ヨウ素とセシウムは不検出と発表しています。) 東京都健康安全研究センター「環境放射線測定結果」

※1 東京で事故後に初めて雨が降ったのは3月21日から23日にかけてで、雨に含まれていたと考えられる放射性物質の量は3月21日がピークでした。21日の朝9時から22日朝9時の24時間の間にI-131、Cs-134、Cs-137がそれぞれ3.2、0.53、0.53Bq/平方センチメートルずつ降下しました。これが皮膚に付着したとすると体の受ける線量はほぼ皮膚でのベータ線からの線量となります。一日の降下量が、全て皮膚表面に付着したとすると、1時間・単位面積(cm2)当たりの皮膚の等価線量率は、

I-131 : 3.2Bq/cm2 × 1.6(μSv/h)/(Bq/cm2) = 5.12μSv/h

Cs-134 : 0.53 Bq/cm2 × 1.4(μSv/h)/(Bq/cm2) = 0.742μSv/h

Cs-137 : 0.53 Bq/cm2 × 1.6(μSv/h)/(Bq/cm2) = 0.848μSv/h

合計6.71μSv/hとなります。拭き取り、もしくは帰宅後のシャワーまでこの線量率で被ばくしたとしても、これは皮膚障害が起きるとされている量※2に比べてとても少ない線量です。実際には3月には衣服に覆われていた面積が大部分であり、ベータ線は衣類により遮へいされ、皮膚には届きにくくなります。衣類による遮蔽係数は、春0.2-0.3、冬0.001とされていますので(ICRP Publication 71)、受けた線量はもっと小さくなります。(IAEA-TECDOC-1162の値を使用)。

※2 3~5グレイ(Gy、ベータ線やガンマ線の場合はほぼ3,000~5,000ミリシーベルトに相当)のガンマ線を浴びた場合、1%の人で一時的に皮膚が赤くなる(ICRP Pub103)。皮膚が赤くなるような障害は確定的影響と呼ばれ、線量としてシーベルトは使わない。

(平成23年11月14日更新。計算に用いた放射性物質降下量が間違っていたため訂正しました。これにより1時間あたりのベータ線による皮膚への等価線量率は6.76マイクロシーベルト/時から6.71マイクロシーベルト/時になりました。)

Q.「放射線を浴びると鼻血が出る」のは本当ですか?

A.東京電力福島第一原子力発電所の事故では、住民の外部被ばく線量は低く、放射線被ばくによる鼻出血は考えられません。

鼻出血が起きる原因には、幾つかありますが、血小板の減少もその原因の一つです。全身に高い線量の放射線に被ばくすると、骨髄に障害が生じて血小板が減少します。このため、高い線量を被ばくした場合に鼻出血が起きる可能性があります。
過去の被ばく事故から得られた科学的知見に基づき、1%の方に血小板減少などの骨髄障害の症状が現れる線量(しきい線量)は500ミリグレイ(500ミリシーベルト)とされています(国際放射線防護委員会(ICRP)刊行物No.103)。
今回の東京電力福島第一原子力発電所の事故において、住民の外部被ばく線量は500ミリグレイを大きく下回っており※※、放射線被ばくによる鼻出血は考えられません。

※ガンマ線の外部1回被ばく(急性被ばく)の場合。

※※福島県健康管理調査において、最高値25ミリシーベルト、平均値0.8ミリシーベルトと報告されています。 福島県「県民健康調査」検討委員会の資料より

Q.東京電力福島第一原子力発電所の事故当時に、放射性物質が鼻の粘膜に付着することで、鼻血がでることは考えられますか?

A.東京電力福島第一原子力発電所の事故当時に、放射性物質が鼻の粘膜に付着することで、鼻の粘膜に影響が出て、鼻血がでることは考えにくいと判断しています。

高線量の放射線に被ばくすることで、皮膚や粘膜が障害を受けることがあります。1%の方に皮膚障害の軽い症状である発赤が現れるしきい線量は、3から6 グレイであり、出血が起きる可能性がある放射線熱傷と呼ばれるやけどのような症状は、5から10 グレイとされています(国際放射線防護委員会(ICRP)刊行物No.103)。事故当時に、鼻の粘膜から出血するほどの放射性物質を鼻から吸い込んだとするならば、鼻腔粘膜にやけどのような症状が現れますが、そのような報告はありません。

 鼻から吸い込むことで鼻腔粘膜に放射性セシウム137Cs(塩化セシウムの形で)が、付着したことを考えてみましょう。大きさ1μm(ミクロン、マイクロメートル)の137Csが24時間付着したままだった場合(ICRP66)で、粘膜の深さ0.4mmの部位(ICRU 56)で線量が3 シーベルト(3000ミリシーベルト、発赤が現れる線量に相当)となる条件を考えてみます。

 そのためには、137Csが1cm2あたり、3.3×105 Bqの量で付着している必要があります。このような付着を起こすためには、成人の場合で、4.4×107 Bq(44 MBq、メガベクレル)、5歳児の場合2.1×107 Bq (21 MBq)、吸入により摂取する必要があります(ICRP66)。

 しかし、吸入により44 MBqもの摂取があるとは考えられません。

福島県民の健康調査でホールボディ・カウンター等で内部被ばくを確認していますが、吸入により44 MBqもの摂取があれば、摂取から相当の日が経過してもホールボディ・カウンター等で検出可能なはずです。

 また、福島県内の航空機モニタリングマップ等にあるセシウムの地表面濃度で比較的高い地域で1MBq/m2~ですので、仮に1 m2の土にあるセシウムを全て取込んでも1 MBqです。福島第一原子力発電所に入域して影響が生じたのであれば,退域時の身体サーベイで確実に汚染が発見できます。また敷地内の137Csの大気中最大濃度は270Bq/m3であり、1日の最大吸入摂取量は成人で6.0kBq、5歳児で2.4 k Bqであり(ICRP 71)、この1000倍以上も吸入摂取することは考えられません。

更に、事故から時間が経過したあとでは、放射性物質が半減期を迎えるなどして減衰し、なくなっていきます。皮膚も修復していくので、徐々に被ばくが蓄積するというケースでも、かなりあとになってから急性の症状が出ることは考えられません。

Q.放射性セシウムによる内部被ばくがとても心配です。放射性セシウムを体から排出させるのに効く薬があると聞きましたが、飲むことができますか?

A.放射性セシウムを排出するプルシアンブルーという薬はありますが、効果があるのは大量に放射性セシウムを摂取した場合に限られます。

放射性セシウムの排出にはプルシアンブルーという薬が厚生省から認可されており、効果があります。

放射性セシウムは体内に多量に存在するカリウムと似た物質で、摂取すると体内に取り込まれやすい性質があります。セシウムは代謝により便や尿とともに排出されますが、プルシアンブルーには、血液中から腸内に排出されたセシウムが再び腸から吸収されるのを防ぐ働きがあります。ただし効果があるのは放射性セシウムが大量に取り込まれ300ミリシーベルト以上の被ばくがある場合だけで、被ばく量が30ミリシーベルト以下の場合は効果がないと言われています。

したがって、プルシアンブルーの投与は放射性セシウムの体内摂取を確認後に医師の処方により行うこととされています。被ばくが30ミリシーベルトに達するのは大人の場合、230万ベクレルの経口摂取に相当します(ICRP pub72 に示される係数から計算)が、今回の東電福島第1原発の事故ではそのような高濃度の放射性セシウムを取り込んだ方はいらっしゃいませんので、このような薬を飲む必要は全くありません。

参照:「医療関係者の皆様へ プルシアンブルー使用に関する注意喚起」

Q. 母乳への移行はどれくらいですか?(放射性セシウム)

A.食品や飲料水として摂取した量の12%、呼吸を通して大気から体内へ取り込んだ量の4.3%が母乳に移行します。

安定セシウム(放射性ではないセシウム)は、食品や飲料水として摂取した量の12%、呼吸を通して大気から体内へ取り込んだ量の4.3%が母乳に移行します(ICRP Publication 95, Table 5.24.1)。放射性セシウムも安定セシウムと同様の動きをすると考えられますので、100 ベクレル(Bq)の放射性セシウム(Cs-134とCs-137)を取り込んだと仮定すると母乳に出てくる量を以下のように推定できます。

食品や飲料水として放射性セシウムを100 Bq摂取すると、

100 Bq × 0.12 = 12 Bqが母乳へ移行。

呼吸を通して放射性セシウムを100 Bq摂取すると、

100 Bq × 0.043 = 4.3 Bqが母乳へ移行。

次に、上記の計算から100 Bqの放射性セシウムを食品や飲料水として取り込んだ場合の被ばく量(預託実効線量)を計算してみます。赤ちゃんが母乳の全量を飲んだ(つまり、母乳に移行した放射性セシウムを全て取り込む)場合、換算係数を用いて下記のように計算します。現在ではほとんどがCs-137ですが、事故当時のようにCs-134とCs-137が同量とすると

赤ちゃん(生後3ヶ月)の被ばくは

Cs-134は、12 Bq÷2×0.026マイクロシーベルト/Bq = 0.156マイクロシーベルト

Cs-137は、12 Bq÷2×0.021マイクロシーベルト/Bq = 0.126マイクロシーベルト

合計約0.3マイクロシーベルト

お母さんの被ばくは

セシウム134は、100ベクレル ÷ 2 × 0.019マイクロシーベルト/ベクレル = 0.95マイクロシーベルト

セシウム137は、100ベクレル ÷ 2 × 0.013マイクロシーベルト/ベクレル = 0.65マイクロシーベルト

合計1.6マイクロシーベルト

放射性セシウムの物理的半減期は約30年と長いですが、特定の臓器に集まらずに全身に広がり、また、代謝によって体外に排出されます(生物学的半減期は成人で80から100日で半減)。代謝は若年者の方が早いことが知られています。換算係数は年齢による代謝の違いも考慮されています。

また、現在では放射性セシウムは空気中に殆ど飛散していません※※ので、呼吸による被ばくは考えなくても良いと考えられます。

※預託実効線量とは摂取量から将来(大人50年、子ども70年)を含めた線量です。詳しくは「内部被ばくの場合の線量である預託実効線量とはなんですか?」をご参照下さい。

※※福島のモニタリングデータより

Q.微量の尿中セシウムによって膀胱がんが増加するのでしょうか?

A.微量の尿中セシウムによって、膀胱がんが増加したり、膀胱がんに進展する膀胱炎が起きたりすることはありません。

WHOならびにUNSCEARの報告において、チェルノブイリ事故による放射線被ばくによる身体への健康影響について、現在までのところ、小児の甲状腺がん以外の影響は認められていません。尿中にセシウム-137が数ベクレル/リットル(Bq/L)存在することにより膀胱がんが発生したという報告がありますが、そのレベルの濃度による被ばく線量は、自然放射性物質で通常我々が受けているK-40による被ばく線量のおよそ20分の1程度にすぎず、放射線被ばくが原因とは考えられません。

Q.東京電力福島第一原子力発電所の敷地内で微量のプルトニウムが検出されたようですが、健康への影響はありませんか?

A.東京電力福島第一原子力発電所事故の前と後とでプルトニウムの濃度が著しく増加したとは言えず、健康への大きな影響はないと言えます。

プルトニウムは主に原子炉内で生成され、核兵器の原料の1つであるため、元々自然界にはほとんど存在しない核種です。しかし、現在では微量ですが土壌中に普通に存在します。これは1950から1960年代に盛んに行われ、その後1980年代まで続いた世界中の大気圏や陸上、海洋で行われた核実験によって放出された痕跡が記録されています。プルトニウムの同位体の中には半減期が数万年であるものがあるため、これらの核種が土壌や海水などの様々な環境試料に記録されています。今回の事故で、測定されたプルトニウムは微量で※※、上記の核実験に由来するものとほぼ同じレベルであり、この程度であれば、健康への影響はありません。

プルトニウムの沸点は3228℃であり、セシウム(沸点:約671℃)やヨウ素(沸点:約184.3℃)と比べて非常に高い温度にならないと気化することはありません。よって現時点では健康に影響が出るような量のプルトニウムが広範囲に飛散する事はありません。ただ、今後の調査により、海側も陸側もその汚染の広がりを慎重に確認していく必要があります。

関連リンク
※原子力規制庁「環境放射線データベース」によると2008年の福島市ではPu-238およびPu-239及び240がそれぞれ0.011~0.22、 0.029~4.3Bq/kgが検出されました。過去の放射性物質降下に関するデータは「環境放射能調査研究成果発表会」の第52回成果論文抄録集もご参照下さい。
原子力規制庁「環境放射線データベース」
環境放射能調査 研究成果発表会 第52回成果論文抄録集

※※東京電力福島第一原子力発電所敷地内グランドから3月21日に採集した土壌からPu-238およびPu-239, 240がそれぞれ0.54±0.06、0.27±0.04Bq/kg検出されました。同所から8月29日に採取した土からは、それぞれ0.25±0.02、0.12±0.01Bq/kgが検出されています。
東京電力ホームページ「福島第一原子力発電所周辺環境への影響」

Q.平成24年3月8日に発表された論文において検出されたプルトニウム241の結果から、どれくらい被ばくすると考えられますか?

A.今回、土壌からプルトニウム241が一番高い値が検出された地域に住み続けた場合、プルトニウム241からの線量は、今後50年間で0.44mSvになると推定されます。

今回*、土壌からプルトニウム241が検出されたのは3カ所です。そのうち一番高い値が検出された地域に住み続けた場合、プルトニウム241からの線量は、今後50年間で0.44mSvになると推定されます。**

*Jian Zheng et al.:
Isotopic evidence of plutonium release into the environment from the Fukushima DNPP accident. Scientific Reports 2, 304; DOI:10.1038/srep00304 (2012).

** 文部科学省による、プルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について」で使用されているIAEA-TECDOC-955の条件を用いて計算しました。この計算方法は、一度地面に落ちた放射性核種(この場合はプルトニウム241)が地面にくっついたまま留まると仮定し、くっついたあとの一定期間(今回は50年間)分の実効線量の合計を評価する手法として定められているものです。なお、この実効線量には「土からの外部被ばく線量」と「土の粒子が、風などで舞い上がり、放射性核種を吸入することで起こる内部被ばくの預託実効線量」が含まれます。また、この計算には、半減期や気象による影響も含まれています。詳しくは、文献をご覧ください。
(文献URL)http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/te_955_prn.pdf

(解説)

プルトニウム241が壊変してできるアメリシウム241の危険性が指摘されていますが、プルトニウムの半減期が14.4年であるのに対してアメリシウムの半減期は432年であり、プルトニウム241と比べて長いので、同じ原子の数があったとしてもアメリシウム241の方が放射能は小さくなります(具体的にはプルトニウム241が1の時、アメリシウム241は約1/30.3になります)。今回検出されたプルトニウム241の原子が全てアメリシウム241になったと仮定した場合、アメリシウムによる被ばくは同様に計算すると0.50mSvになります。

原子の数が同じなら半減期が短い方が放射能は大きくなる。たとえば原子の数が1024個だった場合、1Bqは1秒間に1壊変と定義されていますので、
A:半減期が1秒:1回だけ半減期を迎えるので、512個が壊れる。合計512Bq
B:半減期が0.5秒:2回半減期を迎えるので最初の0.5秒で512個が壊れ、次の0.5秒ではその半分の256個が壊れる。512+256=768Bq
C:半減期が0.33秒:3回半減期を迎えるので512+256+128個が壊れる。512+256+128=896Bq
半減期の長さはA>B>C、放射能はC>B>A

Q.平成24年3月8日に発表された論文のプルトニウムの量は本当に健康に問題ないのでしょうか?

A.福島第一原発事故で放出されたプルトニウムの量は事故以前から日本でも検出されていたレベルと同じ程度です。そのため、健康影響に変化が出るほどの量とはいえません。

今回の発表では、プルトニウム241だけではなく、プルトニウム239及びプルトニウム240についても報告しています。プルトニウム239と240の土壌中の濃度は、プルトニウムが1950年代終わりから行われた大気圏内核実験等により放出され世界中に降下したため、今回の事故以前から日本でも検出されていたプルトニウムのレベルと同じ程度です。そのため、健康影響に変化が出るほどの量とはいえません。(もし、今回報告された量で健康への影響があるのであれば、1970年代以降に大きな健康への影響が出ていると考えられるからです。)

プルトニウム241による被ばく線量は今後50年で0.44mSvと計算されます(検出された最大値を用いて外部被ばくと内部被ばくを計算)。なお、土壌中に含まれるPuが農作物へ移行する量は極めて小さく、被ばくは無視できるレベルです。

 1年間に受ける自然放射線からの被曝が日本人の平均で約2.1mSv(ミリシーベルト、50年では105mSv)であることを考えると、プルトニウム241からの被ばくにより大きな健康影響が出ることは考えにくいといえます。被ばく線量の推定について詳しくは「今回検出されたプルトニウム241の結果から、どれくらい被ばくすると考えられますか?」をご覧ください。

今回のデータと過去のデータの比較につきましては、「今回検出されたプルトニウムの量は、事故前に検出されたプルトニウムの量に比べてどうだったのでしょうか?」や「過去にプルトニウム241が検出されたことはありますか?」をご覧ください。

*Jian Zheng et al.:
Isotopic evidence of plutonium release into the environment from the Fukushima DNPP accident.
Scientific Reports 2, 304; DOI:10.1038/srep00304 (2012).

(平成25年10月31日更新)

Q.ストロンチウムは骨に蓄積されるので、危険だと聞きました。食品中のストロンチウム量についての規制は無いのでしょうか(その1.規制について)

A.ストロンチウムは骨に集積されやすいが、体外に排出されます。食品中の放射性ストロンチウム濃度の規制はありませんが、食品中の放射性物質の基準値は、放射性ストロンチウムの影響を十分に考慮しています。

現在使われている食品の放射性物質に関する基準値に、ストロンチウムは単独では記載されていません。しかしこの基準値を決める際には、ストロンチウムはセシウムと混ざっているとして一緒に計算されています*1。すなわち、比較的短時間で測定可能な放射性セシウム(セシウム134とセシウム137の合計)の量に注目することで、ストロンチウムの寄与も考慮している事になります。緊急時には、時間のかかるストロンチウム測定は現実的ではないため、より短時間で測定できるセシウムを測定することで、代表させています*2

*1 基準値は、事故後の土壌や河川水の試料の測定結果から、ストロンチウム90はセシウム137の土壌で0.3%、河川水で2%として、それぞれ農作物や水産物にこの割合で放射性ストロンチウムが含まれているとして定められています。

また、セシウム134とセシウム137の比は0.92としています。

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会報告書「食品中の放射性物質に係る規格基準の設定について」(平成23年12月22日)より

*2 「食品、上水中の放射性物質はなぜセシウム134、セシウム137やヨウ素131の濃度しか発表されないのですか?」および「ストロンチウム90はどのように測定するのですか?」もご参照ください。

(平成25年10月31日更新)

参考リンク

厚生労働省 「飲食物摂取制限に関する指標について」(平成10年3月6日)

文部科学省放射線モニタリング情報 「福島第1原子力発電所の事故に係る陸土及び植物の放射性ストロンチウム分析結果(平成23年3月16日、17日、19日)」

文部科学省 「文部科学省による、プルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について」

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会報告書「食品中の放射性物質に係る規格基準の設定について」(平成23年12月22日)

Q.ストロンチウムは骨に蓄積されるので、危険だと聞きました。食品中のストロンチウム量についての規制は無いのでしょうか(その2.骨への蓄積について)

A.ストロンチウムは骨に集積されやすいが、体外に排出されます。食品中の放射性ストロンチウム濃度の規制はありませんが、食品中の放射性物質の基準値は、放射性ストロンチウムの影響を十分に考慮しています。

ストロンチウムはカルシウムと化学的性質が似ているため、体内に入ると骨に集積します。しかし、骨に蓄積するから危険ということではなく、危険性は蓄積した量により変わります。実効線量は、放射性物質の代謝や集積する場所での影響も考慮して計算されます。したがって、実効線量であらわされた線量(シーベルト、Sv)が同じであれば、外部被ばくも内部被ばくも影響は同じと考えられています。

食品中のストロンチウムについての規制ですが、基準値は、事故後の土壌や河川水の測定結果から、放射性セシウムに対する放射性ストロンチウムの存在割合は、土壌で0.3%、河川水で0.2%として、それぞれ農作物や水産物にこの割合で放射性ストロンチウムが含まれているとして定められています。

参考:

Q.子どもの甲状腺がんのリスクはどれくらいですか?

A.事故時0歳以上18歳未満のこどもにおいて、甲状腺が1グレイの放射線を受けると、甲状腺がんになる可能性が2倍になります。また、被ばく時年齢が低いほど、甲状腺がんリスクは高くなります。

ウクライナにおけるチェルノブイリ原発事故の疫学研究によると、事故時0歳以上18歳未満の男女集団において、ヨウ素131の内部被ばくによる甲状腺がん発症の、過剰相対リスク(ERR)は1グレイあたり1.91(95%信頼区間0.43-6.34)、過剰絶対リスク(EAR)は1万人・年1グレイあたり2.21(95%信頼区間0.04-5.78)でした。EARでは、1万人の子どもが甲状腺等価線量として1グレイの被ばくを受けたとして、10年間に22.1人の放射線による過剰な甲状腺がんが発症するリスクを示しています。
また甲状腺がんのリスクは被ばく時年齢に依存して低くなります。ERRで比較すると、0歳以上4歳未満の集団で7.43と高く、4歳以上12歳未満で1.57、12歳以上18歳未満では0.69になります。

Q.ヨウ素131は半減期が短いため、今調べてもどれくらい被ばくしたのかわからないと聞きました。子どもが本当はたくさん被ばくしていて、将来甲状腺がんになってしまうのではないかと心配でたまりません

A.ご当人の正確な被ばく量は不明ですので、甲状腺がんの可能性については明確に判断できませんが、子供たちに推定されている被ばく量の分布からは、放射線による甲状腺がんの発生確率は低いと考えられています。

ヨウ素131は半減期が約8日と短いため、今調べてもどれくらい被ばくしたのかはわかりません。しかし、平成23年3月26から30日に、国が福島県いわき市、川俣町、飯館村の0から15歳の子ども、計1,080人の甲状腺をサーベイメータ(放射線検知装置)で検査したところ、当時の原子力安全委員会が定めた基準値(1時間あたり0.2マイクロシーベルト、一歳児の甲状腺等価線量として100ミリシーベルトに相当)を下回っていたことが報告されています(第31回原子力安全委員会 資料第4-3号)。

この地域は、SPEEDIの計算による推定から、ヨウ素131による被ばくの可能性が非常に高い地域であると指摘されていました。それでも、この地域で小児甲状腺がんのリスクが高まる被ばく線量にはなっていなかったことから、他の地域の子どもも、そのような被ばくは受けていないと推定されます。

しかしながら、その他の地域では甲状腺の被ばく線量を実際に測定できなかったことを考え、長期の健康調査の一環として、福島県内のすべての子どもを対象に甲状腺の超音波検査が行われています。

*詳しくは、「チェルノブイリ事故のあと、周辺地域に住んでいた子ども達に甲状腺がんが多発したと聞きました。実際にはどれくらいの線量を被ばくしていたのでしょうか?」をご参照ください。

(平成25年10月31日更新)

Q.チェルノブイリ事故のあと、周辺地域に住んでいた子ども達に甲状腺がんが多発したと聞きました。実際にはどれくらいの線量を被ばくしていたのでしょうか?

A.チェルノブイリでは、放射性ヨウ素汚染ミルクの経口摂取による内部被ばくによって、甲状腺等価線量として概ね0.2から5.0シーベルトの範囲で被ばくしたと推定されています。

チェルノブイリでは、放射性ヨウ素汚染ミルクの経口摂取による内部被ばくによって小児甲状腺がんが増加したと考えられています。2006年のウクライナの報告によると、事故当時0から18歳で放射性物質高汚染地域に住んでいた人の中で、1998から2000年に超音波検診を受けた13,127人から45人の甲状腺がん手術例が報告されています。甲状腺発がんを発症した45人の平均甲状腺等価線量は約2,000mSv、甲状腺がんを発症していない人の平均線量は約750mSvと推定されています。
国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書では、小児甲状腺がんの発生の増加が見られたベラルーシでの小児甲状腺被ばく線量は、特に避難した集団で概ね0.2から5.0シーベルトの範囲にあり、一部5.0シーベルト以上被ばくした例もありました。また、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの増加には、住民の日常的なヨウ素の欠乏も関係しているのではないかと考えられています。

Q.母乳への移行はどれくらいですか?(放射性ヨウ素)

A.お母さんが、ヨウ素を食品や飲料水として経口摂取した場合は33%、大気から体内へ吸入摂取した場合は11%が母乳に移行するとされています。

安定ヨウ素(放射性ではないヨウ素)は、食品や飲料水として摂取した量の33%、呼吸を通して大気から体内へ取り込んだ量の11%が母乳に移行するとされています(ICRP Publication 95, Table 5.23.2)。そこで、放射性ヨウ素も同じ動き方をすると考えられますので、100ベクレルの放射性ヨウ素(ヨウ素131)を取り込んだと仮定すると、母乳に出てくる量を以下のように推定できます。

食品や飲料水の場合、100ベクレル×0.33=33ベクレル が母乳へ移行。

呼吸を通して、100ベクレル × 0.11 = 11ベクレル が母乳へ移行。

日本人では、食生活などの影響により、元々体内での安定ヨウ素量が多いため、母乳への放射性ヨウ素の移行はICRPの計算より少ないとする説もあります。

次に上記の飲食による場合、母乳による赤ちゃんの預託実効線量(1回の摂取から受ける一生分の実効線量)を線量係数を用いて計算します。母乳へ移行した全量を赤ちゃんが飲んだと仮定すると、赤ちゃん(生後3ヶ月)の預託実効線量は

33ベクレル × 0.18マイクロシーベルト/ベクレル (5.9マイクロシーベルトにほぼ等しい)

このときのお母さんの預託実効線量は

100ベクレル × 0.022マイクロシーベルト/ベクレル (2.2マイクロシーベルトにほぼ等しい)

ヨウ素131 は、摂取すると甲状腺に特異的に集まるため、放射線防護上重要な核種の一つとされています。福島第一原発事故では、避難・屋内退避指示の他、ヨウ素131で汚染された水、原乳、野菜等の摂取制限や出荷制限等の措置が取られました。上記の計算から赤ちゃんの預託実効線量は母親のものより高くなること、基準値レベルを守れば預託実効線量を低く押さえることができることが考えられます。

※東京電力福島第一原子力発電所事故発生の後、平成23年3月から「年間5ミリシーベルトに基づく暫定規制値が食品中の放射性ヨウ素や放射性セシウムに対して適用されていましたが、平成24年より、より一層の安全/安心を確保するため「年間線量1ミリシーベルト以下」に基づく基準値が定められました。その時点では放射性ヨウ素は半減期が短いため検出されなくなっているので、放射性ヨウ素については定められていません。

Q.一度体内に取り込まれた放射性ヨウ素はどうなるのでしょうか?

A.一度体内に取り込まれた放射性ヨウ素は、時間と共に排泄され、また物理的に崩壊して減衰して、最終的には検出されなくなります。

放射性ヨウ素は呼吸や食べ物を通じて体内に入り、血中に移行します。血液中に入ったヨウ素の10から30%は甲状腺に蓄積されますが、その割合は、放射性でないヨウ素の摂取量に左右されます。つまり、放射性でないヨウ素が多く摂取されていれば、放射性ヨウ素の蓄積は少なくなります。甲状腺に取り込まれた放射性ヨウ素は、一生涯そこに留まるわけではなく、少しずつ体外に排出されます。また放射性ヨウ素は時間とともに減衰し、ヨウ素131の場合、放射線を出す能力が約8日で半分に減ります。80日目には放射線を出す能力が1000分の1以下となり、ほとんど検出されなくなります。
体内に取り込まれた放射性ヨウ素による内部被ばくについては、「原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性物質は、人にどのような影響がありますか」もご参照ください。

Q.東京に住んでいます。これから福島県でボランティア活動をしたいのですが、被ばくが心配です。安定ヨウ素剤は入手できますか?

A.現在の福島県内の空間線量率は、多くの市町村でほぼ事故前のレベルにまで低下しており、被ばくを心配する必要はありません。

令和2年3月現在、福島県での環境放射能測定結果(空間線量率:単位マイクロシーベルト/時間)によると、福島市0.13(平常値0.04)、郡山市0.07から0.08(同0.04から0.06)、白河市0.06から0.07(同0.04から0.05)、南相馬市0.06から0.07(同0.05)、いわき市0.06から0.07(同0.05から0.06)となっており、ほぼ事故前のレベルに低下しています。このレベルであれば、1年間における被ばく線量が1ミリシーベルトよりも低くなっており、心配する必要はありません。

安定ヨウ素剤は医師が処方する薬で、通常この様な目的では処方されません。また現時点で、東京電力福島第一原子力発電所内で作業するなどの場合を除き、安定ヨウ素剤は不要です。

参照:福島県空間線量モニタリング結果情報

Q.安定ヨウ素剤はどのように服用すれば良いですか?

A.安定ヨウ素剤は、国(原子力規制委員会)の判断により、国(原子力災害対策本部)又は地方公共団体が服用を指示します。

安定ヨウ素剤は体の中に入ると甲状腺に集積するので、放射性ヨウ素を摂取する前や直後に安定ヨウ素剤を適切なタイミングで服用すると、放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みを減らすことができます。すなわち、放射性ヨウ素にばく露される24時間前からばく露後2時間までの間に安定ヨウ素剤を服用することにより、放射性ヨウ素の甲状腺への集積の90%以上を抑制することができます。しかし、安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素が体の中に入った場合のみに有効で、外部被ばくや他の放射性核種には効果がありません。

また、個人によっては安定ヨウ素剤により急性のアレルギー反応などの副作用をおこす場合もありますが、安定ヨウ素剤の服用で副作用が生じる可能性は極めて低く、服用指示が出た際に、服用を優先すべき対象者である妊婦、授乳婦、乳幼児を含む未成年者への服用を躊躇することが無いよう、副作用のリスクよりも服用しないことによる内部被ばくのリスクの方が大きいことについて、知っておく必要があります。

参照: 「安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって」原子力規制庁

Q.安定ヨウ素剤に代わるものはありませんか?カリウムがよいと聞きましたが、バナナを食べるのはどうでしょうか?

A.安定ヨウ素剤の代替品はありません。

現時点では、代わりになるものはありません。カリウムはヨウ素とは化学的性質が異なりますので、安定ヨウ素剤の代わりにはなりません。日本人は、一般的には海産生物を多く摂取しており、特に海藻類はヨウ素が豊富に含まれていることから、日常的にヨウ素が欠乏することはありません。しかしながら、原子力災害等で放射性ヨウ素が環境中に著しく放出された場合、その吸収を減らすために安定ヨウ素剤が処方されるわけですが、それに代わるものはありません。

Q.私は甲状腺機能亢進症で加療中ですが、水道水中の放射性ヨウ素の影響は大丈夫でしょうか?

A.現状の水道水からは放射性ヨウ素は検出されていません。心配はありません。

放射線の観点からもヨウ素の濃度の観点からも、現在レベルは、病気への影響が懸念されるレベルではありません。主治医によくご相談ください。

水道水における放射性ヨウ素などの放射性物質は、高精度の測定機を用いても検出されていません。ご心配の方は、以下もご参照ください。(令和2年3月19日)

福島県の水道水のモニタリング結果

東京都水道局の測定結果

※放射性ヨウ素の物質としての量は著しく微量なので、ヨウ素自体として影響する心配はありません。「ヨードアレルギーです。今回首都圏に降下した放射性ヨウ素でアレルギーが起きるでしょうか?」もご参照ください。

Q.私にはヨードアレルギーがあります。安定ヨウ素剤は飲めないのでしょうか? 量を減らしても駄目でしょうか?

A.アレルギーのある方は、少量であっても服用しないでください。

ヨードアレルギーの方には投与できません。量を減らしてもアレルギーが出る可能性があります。(平成23年4月8日更新)

Q.ヨードアレルギーです。今回首都圏に降下した放射性ヨウ素でアレルギーが起きるでしょうか?

A.発災直後に首都圏に飛来した放射性ヨウ素は微量です。直接にアレルギーの発症を引き起こすことはないとみられます。

東京都労働産業局は1時間当たりの浮遊塵中に、3月中に観測された最大値で1立方メートル当たり241ベクレルの放射性ヨウ素が有ったと発表しています。また、東京都健康安全研究センターによると、3月1ヶ月で降下した放射性ヨウ素量は1平方メートル当たり29000ベクレルでした。大量のヨウ素が飛んでいたと思われるかもしれませんが、放出された放射性ヨウ素は物質量としてはごく微量です。

29000ベクレルの放射性ヨウ素は、0.0063ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)になります。

なお、3月中に放出された放射性ヨウ素のうち、量が多く半減期の長いヨウ素131の半減期は8日ですので、現在(平成23年9月27日)では500万分の1に減っており、ほぼ検出されなくなっています。また、新たな放出も殆どありません。(東京電力(株)は、平成23年9月8日に7月下旬から8月上旬の2週間の放出は事故直後の3月15日に比べ、1000万分の1程度と発表しています。また、東京都健康安全研究センターは、平成23年6月1日から9月25日までの間で、8月5日(セシウム134と137合計で10.4Bq/m2)および8月6日(セシウム134と137合計で8.4Bq/m2)以外では、ヨウ素とセシウムは不検出と発表しています。(平成23年9月27日更新))

関連リンク
東京都労働産業局
東京都健康安全研究センター「環境放射線測定結果」

Q.私は橋本病(慢性甲状腺炎)と診断されており、特に加療はしていませんが、経過観察中です。今回の原発事故で放射性ヨウ素のことがよく言われていますが、病気への影響はありませんか?

A.原発事故に由来した放射性ヨウ素が、橋本病の経過に影響することは考えにくいです。また現在はそのような暴露について心配する状況にはありません。

食品や水の摂取制限を守って頂く以外には特段ご注意頂く点はありません。(平成23年4月8日更新)

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