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量子生命・医学部門

放射性核種の環境挙動(東京電力福島第一原子力発電所事故に関連するQ&A)

掲載日:2020年4月28日更新
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セシウム

  1. 腐葉土にたくさんセシウムが入っていると聞きました。腐葉土を手で触ったのですが、大丈夫でしょうか?
  2. 庭などで線量率の高い場所ができることがあると聞きました。どのような場所でしょうか?また、除染の方法を教えてください
  3. 川底や海底土に蓄積していると聞きました。大丈夫ですか?
  4. 落ち葉を燃やしました。セシウムを吸い込んだのではないですか?

プルトニウムとストロンチウム

  1. 平成24年3月8日に発表された論文において、検出されたプルトニウムの量は、事故前に検出されたプルトニウムの量に比べてどうだったのでしょうか?また平成23年6月の調査で、文部科学省がプルトニウムを検出していますが、それと比較して今回の値はどうだったのでしょうか?
  2. 平成24年3月8日に発表されたプルトニウムに関する論文の概略を教えてください

トリチウム

  1. トリチウムはなぜ汚染水から除去できないのですか?

Q.腐葉土にたくさんセシウムが入っていると聞きました。腐葉土を手で触ったのですが、大丈夫でしょうか?

A.被ばく線量から考えて、大丈夫です。

市販の腐葉土は、暫定許容値(400ベクレル/kg)に基づいて管理されています。この暫定許容値は、腐葉土を農地に散布する作業者であっても、被ばく線量が基準値(10マイクロシーベルト/年)を下回るように設定されています。したがって、そうした放射性セシウムを含む腐葉土を短時間手で触れたとしても、人体に影響が生じることはありません。また仮に市販されていなく放射性セシウム濃度が管理されていない腐葉土であったとしても、短時間扱うことで健康に問題になるような放射線量を被ばくすることはありません。

農林水産省HP「放射性セシウムを含む肥料・土壌改良資材・培土及び飼料の暫定許容値の設定 について」

農林水産省HP「肥料・土壌改良資材・培土の暫定許容値設定に関するQ&A」 

Q.庭などで線量率の高い場所ができることがあると聞きました。どのような場所でしょうか? また、除染の方法を教えてください

A.泥が溜まりやすい場所で放射線量率が高くなることがあります。泥を除くことで線量率を下げることができる場合があります。

雨水の溜まりやすい場所(側溝や地面に直接排水する形式の雨樋の下など)などで局所的に放射線量率が高くなりやすい傾向があります。福島第一原子力発電所から環境中へ放出された放射性物質のうち、今後も気を付けなければいけないのは放射性セシウムです。この放射性物質は泥などに含まれる小さな粒子(粘土鉱物)に取り込まれやすく、泥は雨水と共に流されそして溜まるからです。事故直後は常葉樹の葉っぱも汚染されており、それらの落葉も線量率を高くする原因の一つでした。そのため、泥の除去、落ち葉の回収などにより線量率を下げることができる場合がありましたが、現在は落ち葉の濃度レベルも減少しており、その回収によって空間線量率を減らすことは難しいかもしれません。除染作業の実際については放射線安全管理学会、農林水産省、福島県などのホームページもご参照ください。

放射線安全管理学会震災関連ホームページ

放射線安全管理学会震災関連ホームページ 「個人住宅を対象とするホットスポット発見/除染マニュアル」

農林水産省ホームページ 「除染について」

環境省ホームページ 「放射性物質汚染対処特措法」

福島県ホームページ 「放射線量低減化対策パンフレットについて」

Q.川底や海底土に蓄積されていると聞きました。大丈夫ですか?

A.川底や海底土中の放射性セシウム濃度は減少傾向にあります。

福島第一原子力発電所事故に伴い放出された放射性セシウムは河川水や海水を通じて河床や海底へと蓄積しました。事故直後は空間線量の高い地域や原発周辺の海域で事故前と比べて高いセシウム濃度を記録していましたが、時間経過と共に減少傾向にあります。これは、一旦川底や海底土に蓄積したセシウムを含む粒子が、(1)水に再び溶ける(再溶出)や(2) 川床や海底付近の水の流れ(底層流)によって再移動するためです。

 

関連リンク

環境省 公共用水域放射性物質モニタリング調査

福島復興ステーション 放射線モニタリング

海洋モニタリング結果 原子力規制庁

Q.落ち葉を燃やしました。セシウムを吸い込んだのではないですか?

A.落ち葉を燃やした燃焼温度では,放射性セシウムがガスとして放出されることはほとんどありません。ガスよりも残り灰を体に取り込まないように注意してください。

放射性セシウムは800℃以上の高温で気体として排ガスと共に大気に拡散します。木材の着火温度は260℃とされており,木材より乾燥している落葉は、更に低い温度で着火すると考えられます。つまり、落ち葉を燃やした程度では放射性セシウムがガスとして放出される割合は低いと言えます。たとえ放射性セシウム(セシウム-137)を1ベクレル吸い込んだとしても、それによる内部被ばく線量は0.039マイクロシーベルトと計算され、この値は1年に自然放射線から受ける日本人の平均被ばく線量の5万分の1程度です。燃やした後の灰に放射性セシウムが残っていますので、灰を吸い込んだり、口に入ったりしないように気をつけてください。

放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト

Q.平成24年3月8日に発表された論文において、検出されたプルトニウムの量は、事故前に検出されたプルトニウムの量にくらべてどうだったのでしょうか? また平成23年6月の調査で、文部科学省がプルトニウムを検出していますが、それと比較して今回の値はどうだったのでしょうか?

A.平成24年3月8日に発表された論文において、検出されたプルトニウムの量は文部科学省が計測したデータよりも若干高いところがありましたが、過去のデータと比較すると今回の結果も範囲内であることが分かりました。

平成24年3月8日に発表された論文*において、福島原発周辺で検出されたプルトニウム(プルトニウム239とプルトニウム240の和**)の濃度を過去に日本の土で測定した値と比較すると次のような表になり、今回発表された最大値でも範囲内に収まることがわかります。

プルトニウム239とプルトニウム240の和
今回の値 0.019から1.4mBq/g
過去の値 0.15から4.31mBq/g

* Jian Zheng et al.: Isotopic evidence of plutonium release into the environment from the Fukushima DNPP accident. Scientific Reports 2, 304; DOI:10.1038/srep00304 (2012).

** プルトニウム239とプルトニウム240は、それぞれの核種が放出するアルファ線のエネルギーがほぼ等しいため、アルファ線核種の通常の分析では区別して定量できません。

過去の値は以下の文献を参照しました。

  • Muramatsu, Y., Yoshida, S. & Tanaka, A. Determination of Pu concentration and its isotope ratioin Japanese soils by HR-ICP-MS. J. Radioanal. Nucl. Chem. 255,477-480 (2003).

文部科学省は平成23年9月30日に放射線量等分布マップの作成等に係る検討会(第10回)を開催し、そこで「アルファ線放出核種(プルトニウム238、プルトニウム239+240)及びベータ線放出希少核種(ストロンチウム89、ストロンチウム90)のデータの処理について」及び「文部科学省による、プルトニウム、ストロンチウムの核種分析の結果について」という資料を配付しました。

この資料では、過去のプルトニウムの濃度の範囲と平成23年6月頃の文部科学省の調査で得られたプルトニウムの濃度の範囲が掲載されていますが、掲載されている値は、「放射能を面積で割った値」であり、今回のデータである「放射能を土の重さで割った値」と直接比較することができません。

そこで、土の比重を1.2として換算すると以下の表の通りで、昨年文部科学省が計測したデータよりも若干高いところがありましたが、過去のデータと比較すると今回の結果も範囲内であることがわかりました。

 
  平成23年9月30日に文部科学省が発表したデータ(Bq/m2) 平成24年3月8日に発表された論文のデータ
  平成11年~20年 事故後のデータ (mBq/g) (Bq/m2)
プルトニウム238 0から8.0(0.498) 0から4.0 - -
プルトニウム239+プルトニウム240 0から220(17.8) 0から15 0.019から1.4 0.24から16.8

Q.平成24年3月8日に発表されたプルトニウムに関する論文の概略を教えてください。

A.プルトニウム濃度は、事故前とほとんど変化ありません。今回の事故で原子炉から放出されたプルトニウムがチェルノブイリ原発事故による放出量のおよそ1万分の1という結果になりました。

今回発表された論文*の概略は以下のとおりです。

  • 今回、原発20km圏外から採取した落葉層と土壌試料を測定し、プルトニウム同位体比を算出しました。
  • プルトニウム240(240Pu)とプルトニウム239(239Pu)を足した濃度は、0.019から1.4mBq/gであり、大気圏内核実験によって土壌に存在する、いわゆるフォールアウトの濃度(0.15から4.31mBq/g)の範囲内でした(注:1mBqは1Bqの千分の1)。
  • 同位体の原子数比240Pu/239Puは、3点のサンプル(落葉層の2サンプルを含む)でグローバルフォールアウトの比よりも高くなりました。また、これら3点の試料からは、プルトニウム241(241Pu)も検出されました。(他の地点、福島県の葛尾村や、水戸、放医研内敷地では検出されませんでした。)
  • 得られた放射能比から、今回の事故で原子炉からどれくらいプルトニウムが放出されたのかをおおまかに見積もったところ、これまでの試算値と同程度であり、チェルノブイリ原発事故による放出量のおよそ1万分の1という結果になりました。
  • さらに今回の事故で、原子炉の中にあった量からどれくらいの割合でプルトニウムが放出されたのか(放出率)をおおまかに見積もったところ、チェルノブイリ原発事故の10万分の1程度でした。

* Jian Zheng et al.:
Isotopic evidence of plutonium release into the environment from the Fukushima DNPP accident.
Scientific Reports 2, 304; DOI:10.1038/srep00304 (2012).

Q.トリチウムはなぜ汚染水から除去できないのですか?

A.水を構成する水素なので、分離は非常に難しいです。

トリチウムは水素の仲間です。水素の原子核は陽子1個でできていますが、トリチウムは陽子1個と中性子2個でできており、三重水素とも呼ばれています。放射性物質の量が半分になる半減期は12.3年です。

水に溶けている放射性物質は、専用の処理設備でろ過したり、フィルターで吸着させたりすることで分離することが出来ますが、トリチウム水は普通の水と同じ性質を持つため、分離が非常に難しいです。

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