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量子生命・医学部門

量子科学技術でつくる未来 標的アイソトープ治療(連載記事 全7回)

掲載日:2022年5月24日更新
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連載企画「量子科学技術でつくる未来」(第39回ー第45回)について

量子科学技術研究開発機構が進める事業や研究開発を広く一般の方にご紹介するため、2021年5月から日刊工業新聞の「科学技術・大学」面にて毎週木曜日に「量子科学技術でつくる未来」を連載しています。

がん細胞に結合する化合物に、放射性同位体を載せた放射性医薬品を用いる「標的アイソトープ治療(TRT)」に関する連載(第39回ー第45回)では、QSTで研究開発中のTRT製剤の中から代表的なものを解説しています。記事内容を掲載しますので、ぜひご覧ください。

核融合発電に関する連載(第1回ー第21回)についてはこちらをご覧ください。

超省エネスマホを題材としたスピンフォトニクス技術に関する連載(第22回ー第28回)についてはこちらをご覧ください。

革新的な小型重粒子線治療装置として研究開発中の量子メスに関する連載(第29回ー第38回)についてはこちらをご覧ください。

※新聞掲載版は各リンク先(日刊工業新聞HP)をご参照ください。

※日刊工業新聞社の承諾を得て掲載しております。
※新聞連載記事とは内容が一部異なる場合があります。

量子メス第39回
「薬」「放射線」兼ねる治療

量子科学技術研究開発機構(QST)が研究と開発を進める、「薬でかつ放射線治療」というユニークな治療法、標的アイソトープ治療(TRT、Targeted Radioisotope Therapy)は、がん細胞などの標的を特異的に認識する抗体、リガンドやホルモン等を利用して薬剤を届ける分子標的薬としての「薬」と、薬剤に標識された殺細胞性のアイソトープががん細胞に対し体内で行う「放射線治療」の両方の特徴を持ち(図)、体外からのX線や重粒子線の照射による治療が苦手とする転移巣への治療にも有効である。(続き→

標的アイソトープ治療のしくみ説明図

 

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部 部長 東 達也(ひがし・たつや)

■日刊工業新聞 2022年3月31日(連載第39回)「薬」「放射線」兼ねる治療

 

標的アイソトープ治療第40回
α線源 加速器で製造

放射線科学の教科書には、放射線の生体に対する悪影響、いわゆる内部被ばくに関する解説がある。影響が大きい順に、α線、β線、γ・X線と続く。この教えにならえば、人体に有害なα線(高いエネルギーを持った質量数4のヘリウム)を放出する放射性薬剤(線源)を体内へ投与することは荒唐無稽に聞こえるが、がん治療の現場では、α線を出す治療薬の開発競争が世界中で繰り広げられている。続き→

廃棄物ラジウムを解体、精製して固定化し、アクチニウムの原料とする

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部 放射性核種製造グループ グループリーダー 永津 (ながつ・こうたろう)

■日刊工業新聞 2022年4月7日(連載第40回)α線源 加速器で製造

 

標的アイソトープ治療第41回
中皮腫 治療薬候補を開発

量子科学技術研究開発機構(QST)は、中皮腫に対するアルファ(以下α)線放出核種を用いた核医学治療薬候補の開発に成功し、動物実験でその抗がん効果を明らかにした。中皮腫は、胸膜などにある中皮から発生する悪性腫瘍で、80-85%が胸膜から発生する。続き→

アクチニウム225を結合した抗体と、結合していない抗体の治療効果の比較

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部 核医学基礎研究グループ グループリーダー 辻 厚至(つじ・あつし)

■日刊工業新聞 2022年4月14日(連載第41回)中皮腫 治療薬候補を開発

量子メス第42回
放射性治療薬 低酸素化腫瘍に高集積

現在、再発をきたした悪性脳腫瘍に対して、有効な治療法は確立されていない。このため、新規治療法の開発が強く望まれている。従来の化学療法や放射線治療が効きづらい原因として、腫瘍の中では腫瘍細胞が活発に増殖し、血管が乏しくなり、薬剤が届きにくくなることに加え、放射線治療の際に必要となる酸素が腫瘍内部において濃度低下するためである。続き→

図・写真

執筆者:量子科学技術研究開発機構 分子イメージング診断治療研究部 上席研究員 吉井 幸恵(よしい・ゆきえ)

■日刊工業新聞 2022年4月21日(連載第42回)放射性治療薬 低酸素化腫瘍に高集積

 

量子メス第43回
目印分子にアルファ線放出

国内で2020年にがんで亡くなった人は約38万人であり、1981年以降、がんは死因の一位を占めていることから、がんの治療法の開発は医学分野においては大きなテーマであり、活発な研究が行われている。

標的アイソトープ治療は細胞殺傷性のアルファ線やベータ線を放出するアイソトープをがん細胞などの患部に送達して、病的細胞を焼き殺す治療法であり、がんの原発巣だけでなく転移や播種した病巣にも効果的な放射線治療である。続き→

図・写真

 

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部

放射線がん生物学研究グループ 長谷川 純嵩(はせがわ・すみたか)

■日刊工業新聞 2022年4月28日(連載第43回)目印分子にアルファ線放出

 

量子メス第44回
RI標識薬 がんに局所照射

標的アイソトープ治療は他の放射線療法では難しい転移性や播種性のがんに有効と考えられている。通常の放射線がん治療と異なることは、体外から放射線をがんめがかけて照射するのではなく、放射線を出す性質がある放射性同位元素(RI)をがんに集めて体内から照射することである。RIと結合した分子標的薬剤(RI標識薬剤)が血中をめぐって向かう先はがん細胞であり、がん細胞一つひとつに放射線が限定的に局所照射される点が他の治療法にはない特長である。続き→

 

図・写真

執筆者:量子科学技術研究開発機構 放射線医学研究所 

計測・線量評価部 放射線計測グループリーダー 小平 聡(こだいら・さとし)

■日刊工業新聞 2022年5月12日(連載第44回)RI標識薬 がんに局所照射

 

量子メス第45回
希少疾患の根治治療に期待

がんに放射線をあて、細胞の増殖を抑えたり、死滅させたりする治療法を放射線治療という。放射線治療というと体の外から放射線をあてる外照射を指すことが多いが、標的アイソトープ治療は、放射線を出す薬を投与し、体の内でがんに放射線を照射する治療である。標的アイソトープ治療で使う薬は、放射線を放つ部位(放射線同位体)とがん細胞に結合する部位(ドラッグデリバリー)で構成されることから、薬の体内循環により、散在するがんの照射が可能であり、近年導入されたアルファ線放出薬剤では体内に潜んでいる転移性のがん細胞を完全に死滅させるような大きな効果も期待できる。(続き→

図・写真

α線がん治療薬211At-MABGに対して特異的に応答する4つの遺伝子を特定

執筆者:量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所

放射線生物応用研究部 部長

石岡 典子(いしおか・のりこ)

■日刊工業新聞 2022年5月19日(連載第45回)希少疾患の根治治療に期待