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TIARA施設利用の手引き(実験計画書作成における事前の安全評価について)

掲載日:2019年9月2日更新
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実験計画書作成における放射線管理に関する事前評価に関して

 実験計画書作成における事前評価については、次の留意事項や方法を参考に評価してください。

留意事項

1) 放射性同位元素(RI)の使用許可を受けている場合は、補足欄に核種と許可数量を記載してください。RIの使用許可が無い場合には、実験装置(チャンバー)から試料を取り出す時点におけるRIの生成量及び濃度が、定義量を充分下まわる(原則として1/10以下に減衰する)ように実験計画を策定してください。
2) ビーム利用実験に際しては、あらかじめ試料の放射化量及び濃度の評価が必要です。評価は「照射試料測定記録」の測定データ、またはIRACコードシステム等による生成放射能、核反応のしきいエネルギー等の計算データに基づいて行ってください。
 「照射試料測定記録」の作成及びIRACコードシステムによる評価方法については、1.評価方法を参照してください。評価を測定データ(Ge半導体検出器等)による場合は「測定記録による」を、計算データによる場合は「計算評価による」をチェックしてください。
3) 冷却時間は、放射化量の評価に用いた放射能の冷却時間で、実際の照射実験ではこの冷却時間を十分考慮(遵守)し、試料を照射チェンバーから取り出していただきます。
4) 測定データまたは計算データのうち、主な生成核種(2~3種類)とその生成量を(試料の全数分、Bq単位で)記載してください。また、RI濃度は、試料に生成するRIの全量(Bq)を試料の重量(g)で割った値を記入してください。
5) RI定義の割合の和は、照射終了後に照射容器から取り出す試料の全数分について生成する生成量と濃度(評価結果)及び、それぞれのRI生成と濃度定義量との割合の和を記載してください。RI生成及び濃度について、それらの定義量の割合の和が1/10を越える場合は、許可を取得している核種の割合の和及び許可の無い核種の割合の和を記入してください。
6) 「照射試料測定記録」またはIRACコードシステム等を用いて計算した結果を記入する「評価条件及び評価結果の表」は、必ず実験計画書に添付してください。
7) 照射試料の処置、照射部品の処置では、放射化の程度の如何に係わらず、管理区域内で所定の容器に廃棄する場合は「廃棄」に、そのまま装着若しくは同一管理区域内の所定の保管場所(照射試料保管室またはRI貯蔵室等)に保管する場合には「保管」に、管理区域内から持ち出す場合には「持出し」に、それぞれチェックしてください。一定期間保管したのち廃棄若しくは持ち出す場合には、両方にチェックしてください。持ち出す場合には持ち出し先がどこであっても、必ず「研究試料搬出汚染検査票」により保安管理課の汚染検査を受けてください。持ち出し先は「材料科学研究棟320号室」というように具体的に書いてください。RIで高崎量子応用研究所外へ持ち出す時は、放射性同位元素運搬記録票による他、受入先の「放射性同位元素受入同意書」が必要です。詳しくは保安管理課に相談してください。
8) 400kVイオン注入装置による実験利用の場合、または3MVシングルエンド加速器の電子ビーム実験利用の場合には、「放射線管理上の事項」について記載する必要はありません。
   

1.評価方法

 本施設利用者は、放射線管理に関する事前評価を各自が行って、実験を安全に進めるための実験計画を立案することが必要となります。これらの事前評価結果は、実験計画書に添付して提出してください。
評価方法として、以下の方法または任意の計算コードにて評価する方法があります。

(1) 「照射試料測定記録」の測定データによる評価

 以前に実験を行い、区域放管に照射試料の放射能測定を依頼し、「照射試料測定記録」が作成されている場合で、「照射試料測定記録」に記載されていた実験条件の範囲内で実験を行う場合に適用できる方法です。
実験条件の範囲以内とは、照射試料及びイオン種が同一であること、エネルギー及び照射・冷却時間が測定された試料の実験条件以下であることです。
ビーム電流を変更する場合は、変更するビーム電流と測定された試料のビーム電流との比に測定された核種の生成放射能を乗じて、ビーム電流変更後の生成放射能を求めてください。
「照射試料測定記録」結果を「実験計画書」の放射線管理上の事項に記入する場合は、試料取り出し時の値とし、「照射試料測定記録」のコピーを「実験計画書」に添付してください。
「照射試料測定記録」は、実験開始前に区域放管に照射試料の測定を依頼し、照射試料の測定をしてもらうことにより作成できます。

(2)IRACコードシステムを用いた計算データによる評価

 新規の照射実験や実験条件の変更時等には、イオンビームの利用によって生成する放射性核種と放射能を何らかの方法で評価する必要があります。本施設では、実験によって生成する放射能を各実験者が簡単かつ同一レベルで評価できるように、新たにIRAC(Induced Radioactivity Analysis Code)コードシステムを開発し、用意してあります。
 図1にIRACコードシステムの構成概要を示します。コードシステムはイオン及び中性子によって生成する放射能、その放射能による線量当量率を計算するIRACコード、核反応のしきいエネルギーを計算するTHRESコード、イオンに対する阻止能・飛程・エネルギー損失を計算するELOSSコード、及びデータライブラリーで構成されています。
 IRACコードシステムを用いて、放射線管理上の事項の事前評価を行う手順、記入方法(2)に示します。なお、IRACコードシステムの利用方法については、こちらを参照してください。

2)IRACコードシステムを用いた評価方法

  照射試料の放射化量及び濃度の事前評価のために、次の2つの計算コードが用意されています。

・IRACコード

 IRACコードは、計算に必要な放射化断面積及び崩壊データ等がシステムとして用意されており、「放射線管理に関する評価 I.評価条件」(図2)に記載した数値を入力することによって、生成核種の半減期、照射・冷却時間毎の放射能と線量当量率等の計算結果が得られます。なお、放射化断面積は、入射粒子と天然存在核種の全ての組み合わせについて用意されているわけではありません。放射化断面積の無い場合の計算方法は、利用管理課に相談してください。

・THRESコード

 入射粒子とターゲット核種を入力することにより、生成核種としきいエネルギーが計算されます。低エネルギーの重イオンビームを用いる場合等に適用し、イオンビームの利用によって放射性核種が生成しないことを確認します。

2.評価条件の記入方法

 照射試料・ホルダー、照射するイオン(中性子)・ビーム条件、試料の取り出し等の照射条件について、IRACコードシステムで生成放射性核種と放射能を計算した数値を記入します。
 「放射線管理に関する評価 I.評価条件」(図2)に、次の要領で記載します。記入例をこちらに示します。

(1)ターゲットの記入方法

 照射試料、実験機器及びそれらをフィルム等で梱包した場合フィルムも、容器に入れて照射する場合はその容器もターゲット物質として種類毎に記入します。同一ターゲットで厚さ毎にビーム条件が異なる場合は、厚さ毎に記入します。ただし、イオンによる生成放射能のみが評価対象で、ターゲット厚さが射影飛程以上の場合は、射影飛程に一番近い厚さのもので代表します。
 照射面積(cm×cm)は、1個の照射試料の値を記入します。ビームを拡大した照射での取扱は後述します。
 組成は、重量比の合計が0.99以上になるまで天然存在核種を記入します。ただし、大部分が低原子番号の元素からなるターゲットで、高原子番号の微量元素を含む場合は、全て核種を記入します。

(2)ビーム条件、生成放射能評価に関する条件の記入方法

 イオン種毎に、試料を照射するビーム条件を記入します。実験計画書に記載された全試料数に対するビーム条件(同一条件を除く)を記載してください。

 
イ. ビーム径 :  mmφ(拡大照射:mm×mm)
ロ. エネルギー :  MeV(窓材等の減衰は、その他に記入)
ハ.  電流 :  pμA、pnA、ppA、pfA
二. 粒子数 :  ions/sec
ホ. 照射時間 :  このビーム条件での最大照射時間
ヘ. 冷却時間 : 放射能の冷却時間です。
真空容器、照射装置から取り出すまでの時間。
実験時にはこの冷却時間を考慮してください。
ト. ビームと試料1個の面積比g : ビーム径より試料が大きい場合・・1
拡大照射・・ ビームと試料1個の面積比
チ. 照射試料数h : このビーム条件で照射する試料数を記入してください。全試料の評価を行うため、この欄の合計が実験計画書に記載された全試料数と一致しなければなりません。
リ. 計算用補正係数 i : 計算に使用するビーム径と試料数の補正係数
 i=g×h
  =ビームと試料1個の面積比×照射試料数
ヌ. その他の条件 : 上記事項の補足など、計算の条件を記述します。

(3)評価結果の記入方法

 IRACコードシステムを用いた計算データを基に、「放射線管理に関する評価 II.評価結果」(図3)に、次の要領で記載します。

1)評価方法
イ. 使用した計算コードをチェックしてください。IRAC及びTHRESコード以外の方法で計算した場合は、その他の欄に計算方法を記入してください。
ロ. 評価条件特記事項には、ビーム及びターゲットの計算条件等の補足、生成放射能の計算結果等の補足を記入してください。
2)核反応の成否の判定の記入方法

 THRESコード等を用いて計算した核反応のしきいエネルギーを記入します。評価条件に記入したターゲットと、ビーム条件番号の組み合わせに応じて評価します。評価は、存在率の少ない天然存在核種も必ず行うものとします。計算した核反応の中で、生成する核種が放射性核種であって、かつ、しきいエネルギーが1番低い核反応を記入します。使用するビームエネルギーがしきいエネルギーよりも高い場合には、IRACコードで生成放射能を計算してください。

3)生成放射能

 評価条件に記入したターゲットとビーム条件番号、照射試料等の取扱い時の冷却時間の組み合わせに応じて評価します。

(a) 生成放射能の計算時の注意
  ターゲットやホルダーを重ねて照射する場合は、多重層として同時に計算し、評価条件特記事項に明記します。
拡大照射で複数の異なったターゲットを同時に照射する場合は、各ターゲット毎に計算評価します。
中性子による生成放射能を計算する場合、発生する中性子のエネルギースペクトル及びターゲット条件等の不明事項は利用管理課に相談してください。
 なお、IRACコードシステムは、イオンと天然存在核種についての放射化断面積が全て用意されているわけではありません。放射化断面積の無い場合の取扱いは、利用管理課にご相談ください。

 

注)放射線障害防止法の改正にともない、放射線を放出する同位元素の数量等について改正が行われましたので、以下太字のように変更いたしました。

(b) 生成放射能の記入方法
  評価条件に記入したターゲット、ビーム条件番号、冷却時間に応じて計算した生成核種の中から放射能の高い核種3~6種類を記入し、残った主要な核種をその他の生成核種欄に記入します。放射能欄には生成核種の放射能量を記入し、放射能割合欄には生成核種の放射能量と当該核種の規制対象下限値との比を記入します。また、濃度欄には生成核種の放射能量をターゲット総重量で除した値を記入し、濃度割合欄には濃度と当該核種の規制対象下限値との比を記入します。
(c) 放射線障害防止法で定める規制対象下限値
   数量と濃度について、双方が規制対象下限値を超える場合に規制対象になります。数量または濃度の一方が規制対象下限値以下の場合は規制対象にはなりません。なお、密封されていない放射性同位元素の数量については事業所全体の数量、濃度については容器(ターゲット)1個ごとの濃度がそれぞれ規制対象下限値を超えているかで判断します。
 数量については高崎量子応用研究所ではすでに規制対象下限値を超えて使用しており、実験で放射性核種が生成し検出され濃度が規制対象下限値を超えた場合は、すべて規制対象になります。
 数量:核種が1種類では、第二欄に示す数量以上
 核種が2種類以上では、第二欄に示す数量に対する割合 の和が1以上
 濃度:核種が1種類では、第三欄に示す濃度以上
 核種が2種類以上では、第三欄に示す濃度に対する割合の和が1以上
4)評価
(a) 評価の記入方法
   各条件について、生成放射能の放射能割合を合計したものを放射能割合の和欄に、濃度の割合を合計したものを濃度割合の和欄に記入します。
 各条件について、評価欄記入後、最下行に一連の実験での放射能の割合の和の総数及び濃度の割合の和を各欄に記入します。
 多重層ターゲットでの計算結果は、ターゲットごとに記入します。
(b) 判定
   放射性同位元素等の使用許可を受けている場合は、その許可条件以内とします。 許可を受けていない場合は、実験計画書に記載した一連の実験で生成する核種の規制対象下限値(濃度)に対する割合の和が0.1未満となることを確認します。(法令を順守し使用許可された以外の核種の生成を防止するため、安全係数を0.1とする) なお、生成放射能量の規制対象下限値に対する割合の和が0.1以上(0.1に近い場合を含む)の場合は、放射性同位元素等の使用許可を受けるようにしてください。

IRACコードシステムの構成 

図1 IRACコードシステムの構成

       
  放射線管理に関する評価Ⅰ.評価条件    放射線管理に関する評価Ⅱ.評価結果 
  図2 放射線管理に関する評価 I.評価条件   図3 放射線管理に関する評価 II.評価結果

 

       

 

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