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量子医科学研究所

先進核医学基盤研究部

掲載日:2024年3月27日更新
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標識薬剤開発部では、臨床診断及び治療に有用な放射薬剤の開発と、薬剤合成のために必要な新たな放射性核種の製造や標識技術の開発を行っています。新しい標的アイソトープ治療を可能とする加速器並びにRI製造装置を含む関連設備の高度化に資する研究開発を実施しています。また、微量分子を検出する高品位プローブの開発を進めると共に、生体内現象を可視化するプローブライブラリーを拡充するため、細胞から個体まで多彩なスケールで、有用かつ多様なプローブを開発しています。さらに、臨床研究に必要な安全で高品位なPET薬剤供給を行っており、これらの薬剤製造の技術を標準化することにより、外部への技術移転を推進しています。

研究テーマ

効率的な照射法の開発と医学的に有用な金属・ハロゲン核種の製造

個々の診断・治療目的に適した放射性医薬品を調製するためには、多くの種類の放射性核種が必要になります。この要求に応えるべく、我々は安全かつ効率的な核種製造を可能とするターゲット遠隔操作装置、垂直照射装置、及び容易な方法で製造核種を回収するセラミック製のターゲット容器などを開発しています。製造した高品質の放射性核種は多数の放射性医薬品に調製しています。また、画像診断に利用する核種だけでなく、放射性医薬品の投与によってがん治療を望むことができる“標的アイソトープ治療”に応用可能なα線・β線を放出する核種の製造も可能になっています。これらをもとに、有用な放射性医薬品が多数開発される期待が持たれます。

装置1

放射性核種による標識技術の開発研究

我々は、標識薬剤を開発するためにより多くの必要な核種、合成法、合成システムの開発などの技術基盤を構築しています。多様な生理機能と化学構造を有する標識薬剤が合成できるよう、放射性核種による標識反応中間体の開発・実用化、新しい標識反応の設計と自動合成装置による実現、及び高い比放射能と放射化学収率を達成するために標識技術の開発に取り組んでいます。また、有用な放射性標識中間体及び薬剤を製造・利用可能な自動合成システムも開発しています。さらに、世界最高水準な比放射能の製造技術を用い、高品位な標識薬剤の製造と応用研究を進めています。

放射性核種による標識技術の開発研究の画像

有用な標識薬剤の開発研究

我々は生体分子や機能を捕捉するための様々な標識薬剤や手法の開発、探索及びその実用化を行っています。薬物排出システムに関わる各種トランスポーターの機能が定量的に測定できるプローブを開発し、小動物などを用いて検証に取り組んでいます。また、様々な生体物質を画像化できる化合物候補を選択、設計し、標識技術を駆使して薬剤を合成し、評価を行っています。さらに、種々の動物モデルを使い、新規標識薬剤の応用研究を進め、薬剤の有用性を証明し拡充しています。一方、診断だけでなく、新しい標的アイソトープ治療を目指した、副作用の少ない標識薬剤の開発研究も行っています。

有用な標識薬剤の開発研究の画像

PET薬剤製造法及び分析法の開発研究

所内外に安定して多種のPET薬剤を提供し、さらに、治験薬等の評価でPET薬剤を利用するために、日本核医学会PET薬剤製造基準(学会GMP)に準拠し品質保証されたPET薬剤を提供していきます。さらに、PET薬剤を使用した臨床及び研究利用を促進させるために、安全で効率的なPET薬剤の製造法の開発及び確立を行い、多くのPET施設で広く利用できる迅速で簡易な分析法の開発及び確立を行います。また、今まで培ってきた世界有数のPET薬剤製造技術及び分析技術について標準化を行い、所外への技術移転を促進し、新しい診断法や治療法の開発を支援していきます。

装置2装置3

医用イメージング物理研究

Positron Emission Tomography(PET)は、がん診断など臨床現場で活躍するほか、分子イメージング研究を推進する手段として有望視されていますが、未だその潜在能力を十分に活かしきれていません。具体的には、分解能や感度、さらにはコストに課題が残され、次世代PET装置の研究開発は世界的な競争下にあります。そこで、産学協力のもと、がんや脳の疾患で困ることのない未来を目指し、次世代のPET装置および要素技術の研究開発を進めます。具体的には、世界に先駆けて実用化に成功したDOI検出器をコア技術とし、新しいアイディアを具現化していきます。

PETへの応用図

PETへの応用図

研究グループ

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