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ページID:0095928 更新日:2025年8月13日更新 印刷ページ表示

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8  海 ―深海、北極、地球と生命活動
sec8

 

地球の大きな面積を占める海に対して、人類は、これまでさまざまな視点と方法でその神秘を探究し、海がもたらす豊かな恩恵を受けて生きてきました。この展示では、「深海」「北極」「地球」の3つのテーマで、海という未知の自然に向き合う最新技術による探査・研究活動を紹介し、わたしたちと海との関係、環境の課題を、アーティストの視点とともにご紹介します。

 

大型映像「人と海」
2025

6分30秒

この展示の3つのテーマ(深海・北極・地球)にふれながら、「人と海」のありかたを問う大型映像です。幅6メートルの巨大スクリーンで映し出される映像には、実際の海洋探査で得られた貴重な映像資料がふんだんにつかわれています。海のダイナミズムを存分に体験し、「人と海」の今とこれからを考えてみましょう。

協力|海洋研究開発機構(JAMSTEC)

 

海

 

 

深海

みなさんは、海のどこからが「深海」なのか、ご存じですか? 深海とは、水深200mよりも深い海のことで、その面積はなんと海洋全体の95%を占めています。また、世界でもっとも深いマリアナ海溝は、深さ1万920mにもおよびます。
深海は、地球にとってたいへん大きな存在ですが、水圧が高く、長いあいだ人類が立ち入ることのできない世界でした。しかし、研究者や技術者たちの力によって、そのなぞめいた世界が次第に明らかになってきています。
海水は、水深1,000mで2〜4℃まで下がるとその先はほぼ同じ温度です。深海を観測すればするほど、想像を超える生命たちのたくましい姿が見えてきました。
展示では、約35年にわたり世界をリードする有人潜水調査船「しんかい6500」と、研究者たちがとらえた深海の世界をご覧いただけます。

 

海
しんかい6500  ⓒ JAMSTEC

 

展示内容
- 有人潜水調査船「しんかい6500」モックアップ
- 熱水噴出域の特徴
- 深海生物
- 深海にたまるプラスチック
- 深海の水圧はどれくらい?

 

 

 

ART
《​Mid Tide #3》
​​​
古澤 龍
2024 

ゆっくり変化する海の風景、波の動きをじっと見つめていると、いつのまにか大きく変わるその表情に驚かされます。同じ場所で長時間撮影された波は、たんなる潮の満ち引きではなく、奥行き方向に「時間の層」が重なる姿を見せます。時間の流れを「観測」し、切りとり重ねてみると、さまざまな光景が見えてきます。それは私たちが知っている時間の流れとはちがう体験です。時間と空間をこえた「観測」のふしぎさについて、考えてみましょう。

機材協力|ソニーマーケティング株式会社(BRAVIA 8 K-77XR80)

支援|令和5年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業

 

アート作品

 

 


 

 

北極

北極というと、氷の上のシロクマを想像する人も多いかもしれません。これまで北極海の多くは氷でおおわれ太陽からの熱を反射することで、南極とともに、地球の温度を下げる大事な役割をになってきました。
南極の氷が、主に陸の上の厚い氷なのに対して、北極海の氷は海に浮かぶ薄い海氷です。厚さは平均2〜3mととても薄く、地球温暖化の影響を受けやすい、もろい存在です。その北極の夏季の海氷が1980年代から最近までに面積で約40%(日本の面積の約7.4倍)も消失し、また北極の気温は、地球全体の平均上昇率の約3倍のスピードで上がっていることもわかってきました。こうした北極の環境変化は、生態系や地球全体の気候などに大きな影響をおよぼします。研究者たちは最新鋭の研究船で、その実態をくわしく調査しようとしています。

 

海
北極域研究船「みらいII」  ⓒ JMU : JAMSTEC

 

展示内容
​- 北極域研究船「みらいII」
- 海氷下ドローン「COMAI」

 

 


 

 

地球

青い地球。「水の惑星」ともいわれる地球の表面は、約7割が海です。この大きな海は、地球の環境や生命の営みだけでなく、この星の歴史や未来にも深く関わっています。
科学技術の進歩によって、人類は、さまざまな視点から海についての情報を大量に集め、利用するようになりました。ただし、私たちが実際に見て、情報で扱うことのできる領域は、地球のほんの一部でしかありません。海底や陸地をなす岩石層「地殻」は、あついところで100kmほど。地球の半径の2%にすぎず、人類はまだ地球の表層までしかふみこんでいないのです。
海底の地殻は、陸地の地殻よりうすく、1万m(10km)ほどです。世界トップレベルの掘削能力をもつ地球深部探査船「ちきゅう」は、その海底下を深く掘りすすみ、地球内部の未知に挑んでいます。

 

海
海洋状況表示システム「海しる」より

 

展示内容
- 海洋状況表示システム「海しる」
- 地球深部探査船「ちきゅう」(模型)
- 地球深部探査船「ちきゅう」の掘削ドリルビット
​- レアアース泥

 

 

ART
《タンジブル・アース 触れる地球》​​
竹村眞一
2025

「触れる地球(Sphere)」は、「生きている地球」の姿をリアルタイムに映しだす、21世紀の地球儀です。人工衛星がとらえた雲や台風、世界中の都市のライブ画像、数億年の大陸移動や地球温暖化など、たくさんのデータが「見える化」され、「宇宙のオアシスのような存在」である地球の姿をうきぼりにします。宇宙からの視点でもう一度見つめてみると、地球上には色とりどりの生命が息づいていることが感じられます。

 

アート作品

 

 

 

ART
《​漂泊するテトラレンマ: 海・空・船・身体
》​
落合陽一
2025

撮影:落合陽一(全て)

メディアアーティスト落合陽一は、2024年に、海の生物と環境の保全を目的に世界中の海を科学探査する「科学探査船タラ号」に乗船しました。この航海に触発された写真作品のほか、海洋にまつわるものを多数撮影し、数百年ものあいだ消えずに残るといわれる、安定した写真技法=プラチナプリントで制作しています。その深い諧調のなかには、つねにうつり変わりつづける一瞬が静かに写しとめられています。

 

アート作品

 

 

 

ART
《​海洋・揺れ・波・そして茶を点てる》
落合陽一
2025  

「科学探査船タラ号」に乗船しているあいだ、アーティストはふだんの生活とちがう「揺れ」に注目し、「鼓膜で感じるよりも周波数の低い揺れ」や「船の揺れと丘の揺れ」について書いた「Tara号日記」をインターネット上に発表しました。また、大きく揺れる船の上で、コンピュータで仕事をしたり、ニュース番組の生放送に出演する姿が注目を集めました。

 ※8月16日、この会場で、実際に「揺れ」の状態を感じることのできる実験を、アーティストトークと併せて行います。詳細はウェブサイトのステージプログラムをご確認ください。

 

 

 

ART
《​リキッドユニバース II》​
落合陽一
2024

「リキッドユニヴァース」は、生成AIをもちいて万物の変化やお互いの関係性を表現した作品です。「デジタルネイチャー=計算機自然」という概念のもと、伝統と革新、神秘と科学、物質と非物質の境界をシームレスにつなぐように、AIによる動画がたえまなく変化をくりかえし、海洋生物や龍の姿が生まれては消えていきます。始まりも終わりもない世界の流転、それは量子・海・宇宙をむすぶ「ウロボロスの蛇」のようにも見えます。

機材提供・技術協力|株式会社セイビ堂(LED vision)