用語集<ら・ラ行>

掲載日:2022年10月17日更新
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ら・ラ

ライトシート蛍光顕微鏡(Light sheet fluorescent microscopy)

シート状の励起光を試料の側面から当てることで、背景光の発生を防ぎ、観察している焦点面のみの明瞭な蛍光像が得られる顕微鏡。深さ方向に試料を移動することで3次元画像を構築できる。

ラジカル(Radical)

電子は、原子あるいは分子軌道において、二つのスピンが対となって存在すると安定になる。ラジカルとは、電子軌道において対をなさない不対電子をもつ原子や分子、あるいはイオンのことを言う。

ラマン効果(Raman effect)

物質内に入射して散乱した光の中に、入射光と異なった波長の光が含まれる現象。このラマン散乱光と入射光のエネルギー差は物質内の分子構造を反映するため、物質の同定などに用いられる。

り・リ

リキッドバイオプシー(Liquid biopsy)

血液などの体液中に含まれる腫瘍組織由来のバイオマーカーを用いることで診断を行う技術。腫瘍部位を採取することなく診断が可能なため、患者への負担が少ないという利点がある。

リボ核酸(Ribonucleic acid/RNA)

DNA(デオキシリボ核酸)を鋳型として合成される一本鎖の核酸。DNAの構成要素である糖がデオキシリボースであるのと異なり、RNAの糖成分はリボースである。塩基としてはアデニン、グアニン、シトシン、ウラシルの4種がある。RNAの主な役割は、生物がタンパク質を合成する際に必要な遺伝情報の部分をDNAから写し取ることである。

両眼視野闘争(Binocular rivalry)

双安定性知覚の一種。左右の眼に異なる2つの視覚パターンが呈示された時、一時点で当事者に知覚されるのはいずれか1つであること、また2つのうちのどちらが知覚されるかは時間経過と共に交替することを特徴とする。

量子コンピュータ(Quantum computer)

古典力学、電磁気学的な現象を原理とする従来コンピュータにおけるタイムスパンや計算規模では解くことのできなかった高度な問題を解くことが期待される量子力学的な現象 (重ね合わせ、量子もつれ(用語「量子もつれ」参照) を原理とするコンピュータ。

量子ドット(Quantum dots)

量子ドットは、直径が数ナノメートルの半導体微粒子である。光で励起すると粒径によって特定の波長の光を発するため、バイオ研究においては蛍光色素としても用いられる。近赤外蛍光発光も容易なことから、生体イメージングへの応用も強く期待される。

量子認知(Quantum cognitive brain science)

量子論の数学的形式を認知現象のモデル化に適用することを目指した分野。脳による情報処理、たとえば言語、意思決定、記憶、推論、知覚などを検討の対象とする。ペンローズやハメロフによって提唱された量子脳(quantum mind)とは異なり、理論に対応する形での微視的な量子力学的現象の存在は仮定していない。

量子符号化分子(Quantum encoded molecule)

「量子符号化」を担う分子のこと。超偏極技術における「量子符号化」とは、主に核スピン状態の測定を鋭敏化する「量子敏感符号化」と、測定とは関係のない外部環境からの揺動を鈍感にする「量子鈍感符号化」のことであり、後者はデコヒーレンスフリー状態と呼ばれる状態への符号化になる。符号化状態はパルスシーケンスによって生成する。

量子メモリ(Quantum memory)

量子ビットの状態の保持が可能なメモリ。核スピンがその媒体として有望視されている。

量子もつれ(Quantum entanglement)

量子多体系において、古典力学では説明不能な複数量子ビット間の量子力学的な相関をいう。(量子) エンタングルメントとも呼ばれる。量子コンピュータの開発基盤として応用されている。

る・ル

れ・レ

レドックス(Redox)

レドックス(Redox)とは、英語のReduction (還元)とOxidation (酸化)を合わせた言葉で、日本語では「酸化還元」を表す。​

初版:2022年10月17日公開