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Kansai Photon Science Institute   |   The 17th KPSI Seminar 宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー(ILC)計画

Update:2019年1月28日更新
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Seminar

The 17th KPSI Seminar

宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー(ILC)計画

 

Presentor Prof. KAWAGOE Kiyotomo and Associate Prof. TAKAHASHI Tohru
Jobstatus Prof. KAWAGOE Kiyotomo(Graduate School of Sciences, Kyushu Univ.)
Associate Prof. TAKAHASHI Tohru(Graduate School of Advanced Sciences of Matter, Hiroshima Univ.)
Title 1) ILC current status of physics, measuring instruments and plan, Dr. KAWAGOE
2) ILC accelerator, Dr. TAKAHASHI
Place ITBL G201 room (KPSI)
Date 15:30 - (Mon.) Dec. 19, 2016
Language Japanese
abstract [PDFfile/148KB]

宇宙創成の謎にせまる国際リニアコライダー(ILC)計画

KAWAGOE Kiyotomo
(Graduate School of Sciences, Kyushu Univ.)

TAKAHASHI Tohru
(Graduate School of Advanced Sciences of Matter, Hiroshima Univ.)

abstract

素粒子物理学は,物質の根本的構成要素とそれらの間にはたらく相互作用の解明を目指す分野だが,その研究はとりもなおさず,我々の宇宙創成の謎の探求を意味する。現在の素粒子物理学は標準理論という体系が確立しており,地上における実験においてそれに明確に反する現象は観測されていない。また標準理論の最後の構成要素であったヒッグス粒子も2012年に欧州原子力研究機構(CERN)のLHC実験で発見された。宇宙創成に迫るという観点からは,標準理論は宇宙創成から100億分の1秒後の宇宙で起きていた現象を記述していることに相当する。

一方,近年の宇宙観測から,我々の宇宙はその27%が暗黒物質,68%が暗黒エネルギーという標準理論には含まれない「何か」で占められており,標準理論の説明する「物質」は宇宙全体の5%にすぎないことが分かっている。また,粒子と反粒子はその性質がほとんど同じであるにも関わらず,現在の宇宙には物質のみが存在する。この消えた反物質の謎も標準理論では説明することができず,現代素粒子物理学に残された大きな謎である。

標準理論は地上における現象を正確に記述できるも関わらず,宇宙が現在観測されている様になっていることを説明できない。この状況から実験によって標準理論を超えた物理現象を見いだすことを通じて,暗黒物質に代表されるような謎を解明し,さらに宇宙創成の謎にせまることが,現代素粒子物理学の大きな課題である。

国際リニアコライダー(ILC)はこのような素粒子粒理学に残された謎に迫ることを目的として計画された全長約30kmの電子陽電子衝突線形加速器である。ILCはその計画の初期段階から世界中の研究者の国際協力のもと研究開発・設計を行うグルーバルプロジェクトとして行われており,2012年に技術設計が完成したことをうけ,世界の関連する科学者が日本における実現を期待している。現在,産学が連携してその実現に向けた努力を行っているとともに,政府においても日本における実現の検討が行われている段階である。

ILCはヒッグス粒子,トップクォークなどの既知粒子の精密測定から標準理論を超えた新しい物理による量子効果を探索することや、LHCでは探索することの難しい現象物を発見することがと目的としており,そのためには今までに達成したことのない高精細・高分解能な検出器の開発、最先端の超伝導加速技術を用いた加速器設計が必要である。またその規模の大きさから,素粒子実験に携わる研究者だけでなく,広く科学者コミュニティー,一般国民の理解をえることも非常に重要なテーマである。

本セミナーではILCの物理的意義とそれを実現するための、測定器、加速器の開発状況,また計画を実現するための国内外の取り組みについて、非専門家の方々に理解していただくことを目標として解説する。

 

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