用語集<あ・ア行>

掲載日:2022年10月17日更新
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あ・ア

アデノシン三リン酸(ATP)/アデノシン二リン酸(ADP)​(Adenosine triphosphate/adenosine diphosphate)

生物体内のエネルギー”通貨”とも言われる普遍的な化合物。高エネルギーリン酸結合を持つ。ATP(アデノシン三リン酸)からリン酸が一つ外れるとADP(アデノシン二リン酸)となり、その際放出されるエネルギーが代謝や運動など様々な生命活動に利用される。​

アデノ随伴ウイルス(Adeno-associated virus)

アデノ随伴ウイルスは非病原性のウイルスであり、細胞にDNA(デオキシリボ核酸)を送り込む能力を持つ。これを利用して、実験細胞等への遺伝子導入用ベクター(「運び屋」のこと)として用いられる。

安息香酸(Benzoic acid)

最も単純な芳香族カルボン酸であり、ベンゼンの水素原子1個がカルボキシ基に置換された構造を持つ。室温超偏極のためのトリプレットDNP法(用語「トリプレットDNP」参照)にペンタセン(用語「ペンタセン」参照)と共に使用される。

安定同位体(Stable Isotopes/SI)

同じ元素であっても質量数が異なる(陽子の数は同じだが中性子の数が異なる)核種のうち、自然界に安定に存在する放射性でないものを言う。超偏極技術の応用開発においては、13Cや15Nなどの核磁気共鳴現象を起こす 計測可能な安定同位体を利用する。

アンテナ色素タンパク質複合体(Light-harvesting bacteriochlorophyll-protein complex 2)

光合成の反応の中で最初の段階で働くタンパク質で、多くの分子から構成される複合体。光を電子の励起エネルギーに変換し、次の役割をもつ分子にエネルギーを伝達する。

い・イ

一重項状態/三重項状態(Singlet state/Triplet state)

原子や分子において、エネルギーの低い軌道に2個の電子が収まる際の二種類のパターンを区別したもの。スピンの向きが反対の電子が同一の軌道に入るパターンを一重項状態、スピンの向きが同じ電子が異なる軌道に一個ずつ入るパターンを三重項状態という。量子計測技術の原理や生命における量子現象を理解する上で、両者の区別が重要になることが多い。

インターロイキン(Interleukin) 

リンパ球やマクロファージ(白血球の一種)などから分泌され、免疫反応において重要な働きを持つサイトカイン(細胞から分泌される生理活性タンパク質)。

インフォマティックス(Informatics)

データを扱う技術や計算法を研究する学問分野のこと。情報理論や計算機科学、人工知能などの専門分野を含む総称。情報学。近年では生物学、物質科学との融合分野を指すバイオインフォマティクス、マテリアルズインフォマティクスという言葉が生まれ、それらも含む広範な分野の総称としても使われる。

う・ウ

え・エ

エクソソーム診断(Exosome diagnostics)

エクソソームとは細胞が分泌する小胞であり、血液や尿などの体液中に存在している。分泌元の細胞の特徴を反映しており、細胞ががん化した場合にはそのがん特有のエクソソームが分泌されるため、がんの早期発見も可能となる。

お・オ

オルガノイド(Organoid)

オルガノイドとは、試験管内など生体外で作られた”ミニ臓器”である。幹細胞のもつ自己複製能と分化能を利用して自己組織化させることで3次元的な細胞塊を形成する。​

 

初版:2022年10月17日公開