用語集<A~Z>

掲載日:2022年10月17日更新
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D

DAPI(4, 6-diamidino-2-phenylindole)

細胞核染色に使用される蛍光色素の一つ。DNA(デオキシリボ核酸)に結合し、紫外光励起によって青い蛍光を発する。

H

HiPIP(High-Potential Iron-sulfur Protein/高ポテンシャル鉄硫黄タンパク質) 

タンパク質内部に[4Fe-4S]型の鉄硫黄クラスターを持つタンパク質。このクラスターを介して、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)などの補酵素の酸化還元反応を触媒する。これにより、電子を移動させることができる。​

I

iPS細胞(Induced pluripotent stem cell/人工多能性幹細胞)

山中伸弥 京大教授が樹立したマウスの皮膚細胞(線維芽細胞)に4つの遺伝子を導入することでES細胞(胚性幹細胞)と同様の分化万能性をもたせた細胞のこと。iPS細胞は見た目も機能もES細胞と類似した万能細胞である。

M

MOVIE(Moving observation with efficient real-time autofocus)

3次元透明化サンプルをライトシート顕微鏡により高速かつ高精度に撮影するための撮影手法。

N

NMRチューブ(Nuclear magnetic resonance tube)

核磁気共鳴(用語「核磁気共鳴(NMR)」参照)分光法において、溶液サンプルを入れるのに使うガラス製の管。超偏極の計測においては、直径 5 mmの一般的なサイズに加えて、10 mmの管も使用する。細胞や実験動物由来の組織より調製した破砕液を管へ入れて、偏極信号を増幅させたプローブ溶液と速やかに混合し、核磁気共鳴装置へ供することで代謝反応を検出する。

Q

QM/MM法(Quantum mechanics/Molecular mechanics)

酵素反応の反応部位など、重要な部位は正確な量子力学的手法 (QM) で計算を行いつつ、分子全体は計算コストの比較的かからない分子力学法(MM)によるシミュレーションを適応したもので、各々の長所を組み合わせた計算化学の手法。

R

RNP複合体(RiboNucleoProtein Complex (又はRNA-polyPeptide complex))

RNP複合体とは、リボ核酸(用語「リボ核酸(RNP)」参照)とタンパク質の複合体である。例として、リボソームやスプライセソーム、テロメラーゼなどがある。

S

SBDD(Structure-based drug design)

構造生物学的手法によって解かれた標的タンパク質の立体構造に基づいて、阻害剤を設計する創薬研究。

T

TROCY法(Transverse relaxation optimized spectroscopy)

タンパク質の立体構造解析に用いられている二次元 NMR(用語「核磁気共鳴(NMR)」参照)分光法の一つである。緩和干渉効果の結果生じる長い横緩和時間をもつシグナルを利用して、高分子量タンパク質の 2 次元相関シグナルを高感度に観測し、分子構造や立体構造に関する情報を得る。

T細胞(T cell)

血液中を流れる白血球の内、リンパ球と呼ばれる細胞の一種。骨髄で産生され胸腺(Thymus)で分化成熟するためT細胞と呼ばれる。細胞表面にT細胞抗原受容体を有しており、マクロファージ(白血球の一種)や樹状細胞などの抗原提示細胞から抗原情報を受け取る。主なものにキラーT細胞とヘルパーT細胞があり、キラーT細胞はウイルスに感染した細胞や癌細胞を殺す。一方、ヘルパーT細胞は他の免疫細胞と協力して抗体産生を行う。

 

初版:2022年10月17日公開