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平成30年度文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しました

掲載日:2018年12月26日更新
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 量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所の研究員2名が、平成30年度文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞しました。
 この賞は、文部科学省が日本の科学技術水準の向上への寄与を目的として定めているもので、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に贈られるものです。受賞した内容は以下のとおりです。

「脳内タウタンパク病変画像化の実現による認知症研究」
放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部
部長 須原哲也
チームリーダー 樋口真人

 国内の全認知症患者の半数にのぼるとされるアルツハイマー病患者の脳内では、アミロイドβ(Aβ)やタウといったタンパク質の蓄積に伴い神経細胞が死ぬことで、物忘れなどの症状が現れてきます。
 PET(陽電子断層撮影法)は生体脳でのこれらのタンパク質の蓄積を画像化する、精度の高い診断に役立つ技術で、樋口らは2013年に世界で初めてタウを可視化するPET薬剤PBB3の開発に成功しました。
 PBB3さらにはその誘導体はアルツハイマー病だけでなく、他の認知症で形成されるタウ病変も描出し、神経細胞の脱落を鋭敏に検出できることから、どのタイプの認知症かを鑑別する診断にも応用できると期待されています。また、須原らによって現在複数の施設での臨床研究が組織されており、これまでの臨床研究から症状の進行に伴ってPBB3が蓄積する脳内の領域が広がっており疾患の進行度の客観評価や、製薬企業が開発したタウを標的とする認知症治療薬の効果の評価に利用できると期待されています。今後は量子イメージング創薬アライアンスなどを通じて、PBB3の誘導体から認知症で蓄積する他の病的タンパクのイメージング剤の開発なども視野に入れた研究に発展していくことが期待されます。

表彰式(樋口(左)、須原(右))の画像
表彰式(樋口(左)、須原(右))

 また、那珂核融合研究所の技術員が、同表彰創意工夫功労者賞を受賞しました。
「核融合実験炉イーター機器用通水型検査方法の考察」
那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部プラズマ対向機器開発グループ
主幹技術員 横山堅二

横山が考案したイーター機器のための新たな検査方法は、赤外線カメラで温度を測り、機器接合部の健全性を検査するものです。従来の方法よりも大幅に検査時間を短縮することができるようになります。この検査方法はイーターなど核融合分野だけでなく、医療分野への応用にも期待されています。