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理事長室へようこそ

第2期中長期における研究開発

掲載日:2023年11月9日更新
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QSTにおける研究開発―世界最高水準の研究開発機関を目指してー

 QSTは、量子科学技術に関わる研究開発を通じて、新たな価値を創出・提供することで、経済・社会・環境が調和した持続可能な未来社会の実現への貢献に取り組んでいます。第2期中長期期間において研究開発を推進するにあたり、以下の方向性を掲げ、引き続き、世界最高水準の研究開発推進と研究成果を創出していきます。

  • 世界最先端かつ高性能な大型研究開発施設群とその基盤技術を活用して、QSTと国内外の研究者の協創や施設供用により、量子科学技術のみならず幅広い分野で世界を牽引します。
  • 国の指定を受けた量子技術基盤拠点、量子生命拠点、フュージョンテクノロジー・イノベーション拠点、基幹高度被ばく医療支援センター、3GeV高輝度放射光施設等の研究開発拠点では、国の量子科学技術基盤の中核として人材、知財、施設を強化します。
  • 量子科学技術基盤に立脚した4つの研究分野(量子技術イノベーション、量子医学・医療、量子エネルギー、量子ビーム科学)を中心に、先進的かつ独創的な研究開発を展開します。

持続可能な未来社会の実現中核的に担う研究分野

 QSTでは唯一無二の大型研究開発施設群を開発、維持、そして供用する体制を構築し、内外の研究者に効率的な利用を可能とするワンストップサービスを提供します。QSTは、国の戦略、政策における重要な役割を担い、さまざまな拠点に指定されています。着実な取組みを通して、国や社会からの強い期待に応えていきます。第1期では設立までの歴史的な背景も踏まえた体制で研究を推進し、成果の創出に繋げてきました。第2期となる現在では、機構内のさまざまな連携、協力が進むとともに、新たな融合研究の推進も期待できます。そのため、量子科学技術による持続可能な未来社会の実現に向けた4つの研究分野を設定し、研究所や病院をまたいだ活発な研究活動を推し進めます。

1.量子技術イノベーション研究分野

​ 国の「量子未来産業創出戦略」等で認定されている「量子技術基盤拠点・量子生命拠点」においてイノベーション創出に向けて取り組みます。

1)量子技術基盤研究では、量子コンピューティング、量子通信・量子センシング等の技術の確立を目指し、それに不可欠な量子マテリアル・デバイスの研究開発を行い、量子技術基盤を確立するとともに、最先端光技術との融合による新たな量子機能創製に向けた研究開発を推進します。また、世界最先端の量子マテリアルの安定供給基盤を構築し、幅広い分野における実用化・社会実装を促進します。

2)量子生命科学研究では、量子計測技術の活用ならびに量子論的観点からの生命現象解明に向けた研究開発を進め、医療・創薬分野における応用研究の推進と併せ、人類究極の問い「生命とは何か」の解明につながる新しい学術分野を開拓します。

2.量子医学・医療研究分野

 健康長寿社会を実現するために、重粒子線がん治療の標準治療化に向けた研究開発や次世代重粒子線がん治療装置「量子メス」の社会実装を進めるとともに、精神・神経疾患、固形がん、多発・微小がん等に対する診断・治療技術の研究開発に取り組みます。量子生命科学や放射線影響研究の知見に加え、QST病院を有する強みを活用することで、基礎から臨床研究、実診療まで一気通貫に研究開発を推進します。さらに、こうした強みを放射線被ばくから国民を守るための研究開発にも生かし、被ばく治療技術・線量評価技術等の開発・実用化に取り組むことで、様々な放射線事故に対する強靭な社会の醸成に貢献します。

3.  量子エネルギー研究分野

 国際協力によりフュージョンエネルギーの科学的・技術的成立性を実証する「ITER計画の推進」、反応炉で燃料を燃やし続ける研究をする「先進プラズマ研究開発」及び高品質プラズマの実現を支える「核融合理工学研究開発」を三本柱とし、フランスでの実験炉ITERの建設、それに先立つ那珂研究所におけるトカマク型超伝導プラズマ実験装置JTー60SAの運転など、総合的に研究開発を推進します。​

4.量子ビーム科学研究分野

 イオンビーム、電子線、レーザー、硬・軟X線放射光等の量子ビームの発生、制御、利用技術の開発・高度化を推進し、国内外の研究者・技術者への世界にも類を見ない高性能量子ビーム施設群の供用および共同研究による利用を促進します。このような取り組みを通して、工学、バイオ、医学医療等の幅広い分野で先導的研究開発を推進し、さらに新たな共創を生み出します。3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuについては、官民地域パートナーシップに基づき、地域パートナーと連携・協力しながら、その整備・運用とともに、共用促進法に基づく共用に取り組みます。

 

 QSTは、研究開発を通じ、生産性革命や新産業創出等による我が国の経済成長、がんや認知症等の克服による健康長寿社会、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー等によるグリーントランスフォーメーションの実現に貢献し、持続可能な未来社会の創造を目指します。

 

令和5年11月

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
理事長 小安重夫