量子科学技術研究開発機構(量研)が国内機関をつとめるITER計画の実施主体、ITER国際核融合エネルギー機構(ITER機構)が日本電信電話株式会社(NTT)と同計画に関する包括連携協定を締結しました。5月15日にNTTが発表しました。ITER機構が日本の民間企業とこうした包括連携協定を結ぶのは今回が初めてです。
ITER計画は、日本・欧州・ロシア・米国・韓国・中国・インドの7極が協力して人類初の核融合実験炉(ITER)を実現しようとする超大型国際プロジェクトで、量研は超伝導コイルなどの機器・装置の製作・物納や日本からの人的貢献の窓口を担っています。
本協定により、両者は戦略的観点から、超高速/超低遅延ネットワーク接続、データストレージ、コンピューティング、グローバルネットワークインフラを含む未来の情報通信技術に関する探査、IOWNに関する探査などの領域で連携します。ITERの2025年初期運転開始及びそれ以後の運転などに向けて、NTTは情報流通基盤や制御基盤整備のための技術的貢献を行うということです。
ITER機構のベルナール・ビゴ機構長は、今回の協定締結について「NTTのような世界的ICT企業が、グローバルでのICT技術を革新させる事、及びIOWN構想のように核融合にとって不可欠なイノベーティブな未来のテクノロジーへ向けた戦略を掲げる事のできる企業として、包括連携をするパートナーの一員となったことを嬉しく思います。」と述べました。
量研のみならず、日本の民間企業もITER計画に重要な役割を担うこととなり、日本のテクノロジーが核融合エネルギーの実現により大きな貢献をしていくことが期待されます。
写真:ITER機構提供
南フランスに建設中のITER全体図
核融合実験炉ITER