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平成31年度文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞を受賞しました

掲載日:2019年4月9日更新
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 那珂核融合研究所の平内慎一主任技術員が、平成31年度文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞を受賞しました。
 この賞は、文部科学省が日本の科学技術水準の向上への寄与を目的として定めているもので、優れた創意工夫により職域における技術の改善向上に貢献したに贈られるものです。受賞した内容は以下のとおりです。

「セラミック式真空中高周波電力密度測定装置の考案​」
​核融合エネルギー研究開発部門 那珂核融合研究所​
ITERプロジェクト部 RF加熱開発グループ 主任技術員
平内 慎一 

 平内は、高周波をプラズマに伝える導波管の伝送効率の診断と改善を目的として、導波管に設けたスリット内に設置したセラミックディスクの発熱分布を、真空を破ることなく測定するという、従来にない手法を考案しました。この考案を基に、運転中の装置を長時間停止させることなく、伝送高周波の電力密度分布を精度良く測定できる装置を試作し、測定を成功させました。

 核融合に必要なメガワット級の高周波加熱を行うためには導波管の伝送効率を高く維持する必要がありますが、これには伝送モード(伝送する高周波電界の振動パターン)の純度を高く保つことが鍵となります。純度の低下は電力密度分布の変化として検出できるため、本考案の高周波電力密度測定装置は、伝送効率を改善する機器調整やその劣化の診断に有用であり、核融合研究の進展のみならず高周波伝送技術の発展に大きく貢献できる技術です。

 考案した測定手法を用いることにより、従来手法で数日を要した高周波加熱装置の伝送効率の良否判断を、10分間以内で行うことが可能となります。多くの研究者、運転員が関わり大型装置を運転して行う核融合実験において、時間的効率改善は非常に有益であり、本考案の貢献は非常に大きいものです。さらに核融合研究の分野以外においても、本考案の高周波電力密度測定装置は、伝送効率を改善する機器調整やその劣化の診断に有用であることから、金属焼入れ、木材乾燥、セラミック焼結など応用の拡がる各種高周波加熱装置への適用が可能です。