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令和2年度文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しました

掲載日:2020年6月17日更新
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 令和2年4月7日、那珂研核融合研究所の研究員3名が、令和2年度文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞しました。今年度は、新型コロナウィルスによる影響で、文部科学省主催の表彰式は行われませんでしたが、6月17日に那珂核融合研究所にて授与式を行いました。
 この賞は、文部科学省が日本の科学技術水準の向上への寄与を目的として定めているもので、社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発若しくは発明を行った者に贈られるものです。受賞した内容は以下のとおりです。

「イーター中心ソレノイド用超伝導導体の開発​」
那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部
 布谷 嘉彦 ITER計画管理グループグループリーダー
 辺見 努  超伝導磁石開発グループ主幹研究員
 諏訪 友音 超伝導磁石開発グループ研究員

※本件は、高橋 良和氏(日本アドバンストテクノロジー株式会社)、堤 史明氏(株式会社トータル・サポート・システム)を含む5名で受賞しました。

 従来製法技術によるイーター中心ソレノイド用超伝導導体は、必要な約3万回の繰返し運転により超伝導性能の著しい低下がサンプル試験で判明し、新たな開発が必要とされました。本開発では、製作時の素線の変形を許容変形量内に抑えつつ、繰り返し電磁力による超伝導素線の変形も抑制できる短い撚りピッチのケーブル( 撚線) を製作することができる独自の方法を考案しました。また、中性子解析を用いて、導体内部の素線のひずみ状態を直接測定できる新たな手法を確立しました。
 本開発により、イーター中心ソレノイドに用いることができる超伝導性能が低下しない大電流超伝導導体を滞りなく製作することができました。また、その導体の性能評価方法を確立しました。これらにより次期核融合炉の設計にも応用できる重要な工学技術に貢献しました。本成果は、全導体の製作をスケジュール通りに完了させ、国際約束を履行し、イーターにおける日本の国際的プレゼンスの向上及び次世代の核融合デモ炉や電力系統安定化の大電力電力貯蔵システム(SMES) に用いる超伝導導体の技術基盤の構築に寄与しています。 

 

那珂研での受賞式の様子
那珂研での表彰式の様子(左から 堤氏、諏訪研究員、栗原核融合エネルギー部門長、高橋氏、布谷グループリーダー)