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量子科学技術研究開発機構 設立5周年誌 「QST5年間の成果」

掲載日:2021年9月27日更新
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04QSTが担う新たな役割

QSTは、次世代放射光施設の整備・運用を進める国の主体に指名されるとともに、原子力災害など万が一に備える基幹高度被ばく医療支援センターに指定されました。

1.次世代放射光施設整備・運用の推進


新しい光で未来を切り拓くイノベーションを創出

 QSTは2018年1月に文部科学省から「次世代放射光施設の整備・運用の検討を進める国の主体」に指名されました。次世代放射光施設とは、従来施設よりも高い光源性能を持つコンパクトな加速器が作り出す強力な光を使った、世界最高水準の分析機能を持つ巨大な顕微鏡のようなものです。QSTは一般財団法人光科学イノベーションセンター(代表機関)、宮城県、仙台市、東北大学、一般社団法人東北経済連合会という地域や産業界のパートナーと連携して施設の整備・開発を進めることになりました。2018年9月「、次世代放射光施設(軟X線向け高輝度3GeV級放射光源)の整備・運用に係る詳細の具体化に関する連携協力協定」を締結。官民地域パートナーシップという新しい枠組みに対応するため、2018年12月に量子ビーム科学部門に次世代放射光施設整備開発センターを設置しました。2019年3月には次世代放射光施設の整備・運用を進める国の主体に指名されました。

 次世代放射光施設の特徴は、軽元素を感度良く観察できる高輝度な軟X線領域の放射光を使用する点です。物質の構造解析だけでなく、物質の機能に影響を与える電子状態の可視化が可能で、触媒化学や生命科学などの学術研究から、磁性・スピントロニクス材料、高分子材料の開発といった産業利用まで、広範な分野での利用が期待されています。

 施設は電子を3GeV(ギガ電子ボルト)まで加速する長さ110mの線型加速器、電子を蓄積して放射光を発生する周長349mの蓄積リングおよび放射光を取り出して利用実験に供するビームラインで構成されています。特に蓄積リングは、ユニットセル(磁石列の基本単位)の中の電子ビームを曲げる偏向電磁石の数をこれまでより多くしたマルチベンドアクロマート(MBA)ラティスを採用することで、電子ビームの広がりを小さく抑え、高い輝度とコンパクト性を兼ね備えた設計となっています。

 次世代放射光施設は東北大学青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)に整備が進められ、2020年4月にパートナー側による基本建屋の建設が始まりました。QSTは2023年度の完成を目指して、加速器やビームラインなどの製作を進めています。2021年12月からは機器の設置を開始する予定です。

次世代放射光施設の完成イメージ(提供:一般財団法人光科学イノベーションセンター)

 

 

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