現在地
Home > 播磨地区開催 > 関西光科学研究所 | 第11回QST播磨セミナー 電子誘電体候補材料YbFe2O4の鉄欠損効果と放射光メスバウアー回折分光の展開

播磨地区開催

関西光科学研究所 | 第11回QST播磨セミナー 電子誘電体候補材料YbFe2O4の鉄欠損効果と放射光メスバウアー回折分光の展開

掲載日:2019年7月1日更新
印刷用ページを表示

第11回QST播磨セミナー

 

電子誘電体候補材料YbFe2O4の鉄欠損効果と放射光メスバウアー回折分光の展開

 

講演者 藤原 孝将 博士研究員
(公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI))
場所 放射光物性研究棟4階 応接室(QST播磨地区)
日時 2019年7月4日(木曜日)15時00分~
使用言語 日本語
要旨 [PDFファイル/378KB]

電子誘電体候補材料YbFe2O4の鉄欠損効果と放射光メスバウアー回折分光の展開

藤原 孝将 博士研究員
(公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI))

概要

希土類複電荷鉄層状酸化物 RFe2O4( R = Lu, Yb, Y等)は W層と呼ばれる二重鉄三角格子層に同数の Fe2+とFe3+が存在し,常温で極性な秩序配置を形成する。このため極性な電荷秩序に起源を持つ新原理の強誘電体であると提案されたが,電荷秩序基底状態について多くの議論があり,新しい強誘電体であるかは明確ではなかった。[1] 本研究では,良質な結晶を合成するために酸素量の他,希土類と鉄比をも評価した合成を行った。蛍光 X 線分析による精密な評価の結果,従来の方法で合成した試料には 1 割程度の鉄の欠損があること,鉄原料を過剰にした合成で鉄欠損を抑制できることを見出した。さらに鉄欠損を抑制した試料でX線回折の結果から電荷秩序単位胞を定め,電荷配置を考察し単斜晶系の 5 種類の電荷秩序模型を導出することができ,第2次高調波発生の実験で電荷秩序構造を一意に絞り込むことに成功した。
さらに磁気構造解析を行うためにオーストラリアシドニー,ANSTOの WOMBATステーションにて中性子回折実験を行い,従来の試料に見られた TLT と呼ばれる磁気相関長が急激に低下する転移が消失し,低温領域でもはっきりとした磁気ピークが観測された。また三種類の形態を持つ衛星反射を観測した。これらを,単斜晶の b 軸方向に長周期変調があり,6つのドメイン構造があるとして説明に成功した。さらに磁気転移点から 300K にかけて,1/3 1/3 0 付近に短距離磁気秩序による磁気散漫散乱が存在することを発見した。同じ温度領域のメスバウアー分光から Fe3+の磁気秩序を見出した。また 300K には比熱異常があることと短距離磁気秩序と結合した新しい転移を発見した。 本発表ではこれら一連の研究をまとめ磁性を誘電性が結合した新しい電子相を報告することに加え、これからの展開として結晶サイト選択的なメスバウアースペクトルを取得できる放射光メスバウアー回折分光を紹介し,現在までの研究の進展と今後の展開について発表する。

[1] M. Angst, Physica status solidi (RRL), 7, 383-400 (2013).

Adobe Reader

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)
Adobe Reader provided by Adobe is required to view PDF format files.