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播磨地区開催

関西光科学研究所 | 第20回QST播磨セミナー 発光による衝突後効果の変化を利用するアト秒ストップウォッチ ―原子の内殻過程をアト秒で追及す る新しい手法―

掲載日:2021年2月18日更新
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第20回QST播磨セミナー

発光による衝突後効果の変化を利用するアト秒ストップウォッチ
―原子の内殻過程をアト秒で追及する新しい手法―

講演者

ハリーズ ジェームズ上席研究員
(関西光科学研究所 放射光科学研究センターコヒーレントX線利用研究グループ)

場所 Webex Meeting
日時 2021年2月24日(水曜日)10時00分~11時00分
使用言語 日本語

 

発光による衝突後効果の変化を利用するアト秒ストップウォッチ
―原子の内殻過程をアト秒で追及する新しい手法―

ハリーズ ジェームズ上席研究員

(関西光科学研究所 放射光科学研究センターコヒーレントX線利用研究グループ)

概要

 X 線放射光を原子にあてると、外殻電子が光電子として飛び出すほかに、内殻電子も飛び出します(内殻光イオン化)。生成した内殻空孔に外殻電子が落ちてエネルギーが放出されますが、そのエネルギーは蛍光発生、または、外殻電子の放出(オージェ電子の発生)になります。特に、内殻光イオン化に必要なエネルギーよりもわずかに高いエネルギーの X 線で内殻空孔を作ると、光電子は極遅く、後で発生するオージェ電子はずっと速いので、先に生成した光電子を追い越すことになります。この追い越す際のオージェ電子・光電子間の相互作用によって、それぞれの電子のエネルギーが変化します。これをPCI ( Post-Collision-Interaction :衝突後相互作用)といいます。従って、電子のエネルギーを高分解能で測定すると、 PCI を経験した光電子を区別できます。原子の内殻励起に続く蛍光発光の寿命はアト秒オーダーであるため、 PCI を経験したオージェ電子と蛍光発光との時間相関を測定することによって、アト秒スケールで原子の多段階内殻緩和過程を調べることができます。今回は SPring-8 のビームライン BL19LXU および BL17SU を用いて、クリプトン原子の内殻緩和過程を探求しました。