超高強度レーザー照射実験
レーザー駆動量子ビーム源の研究、超高強度レーザーによる極限状態の超高強度場利用研究
図1 超高強度”J-KAREN-P”レーザー
図2 世界トップレベルの時間品質(左)と空間品質(右)
超高強度”J-KAREN-P”レーザー
100万kW級火力発電設備100万基分に相当する1千兆W(1ペタワット=1 PW)の超高強度出力を30兆分の1秒(30フェムト秒=30 fs)程度と極めて短い時間に発振するレーザー装置です(図1)。
J-KAREN-Pレーザーは利用実験で最も重要となる時間品質(コントラスト性能)と空間品質(集光性能)で、世界トップクラスの性能を有しています(図2)。2017年には照射ターゲット上で理論限界(1 mmの1000分の1)の集光を実現し、世界最高の集光ピーク強度1022 W/cm2を生成することに成功しました。
”J-KAREN-P”レーザー仕様
- 中心波長:810 nm、パルス幅:30~50 fs
- パルスコントラスト:図2参照、プラズマミラー利用でさらに3桁向上
- 最大ターゲット照射エネルギー:~10 J
- 最大集光強度:1022 W/cm2
- 繰り返し:0.1 Hz @ ~10 J照射、10 Hz @ ~1 J照射
利用実験例
J -KAREN-Pで発生されるビームはいずれも短パルス性を有しており、この特性を生かしたビーム利用研究を推進しています。
実験室には、長焦点と短焦点の2タイプの実験チャンバーが設置されており、利用目的に合わせお選びいただけます。
下記にこれまでの利用例を示しています。ご不明な点はお問い合わせください。
1.長焦点チャンバー
相互作用距離(mm ~ cm)、集光強度(〜1021 W/cm2程度)が提供可能な実験設備です。ガスやクラスターをターゲットとすることが多く、相互作用距離を生かした研究(電子加速やアト秒X線パルス発生の研究等)が行われています。(図3)
図3 レーザー生成航跡場による電子加速
2.短焦点チャンバー
相互作用距離(μm程度)、集光強度(〜1022 W/cm2)が提供可能な実験設備です。主に、固体、薄膜、クラスターをターゲットとし、軽イオン加速研究(レーザー照射後にターゲット裏面近傍に生じるシース電場を利用)や重イオン加速(図4)、衝撃波を利用した陽子加速研究(図5)が行われています。
図4 相対論的透過現象による重イオン加速 図5 衝撃波を利用した陽子加速
そのほかにも、素粒子実験や中性子発生実験、試料への量子ビーム照射実験など、様々な利用が想定されます。
利用にかかる料金は?
料金は装置の利用時間+事務手数料+技術料金で算出されます。利用時間は実験の条件や規模などで変わるため、都度ご相談ください。大まかな目安として1週間の利用で約30万円(税別)となります。
(成果公開の場合。成果非公開の場合の料金は異なります)
kHz チタンサファイアレーザー
できること
波形制御した光パルスやサブ10フェムト秒の時間幅を持つ光パルス等を用いて、超高速な物質の応答(物質内の分子の運動)を調べることができます。
利用・実施例
- 波形制御パルスを用いた分子イオン化過程の解明
- 超高速光スイッチングデバイス開発に向けた物質の光応答の観測
- 非熱的なレーザー加工・ダイヤモンドNV中心の作成
- 光誘起化学反応の実時間計測
→ 顕微鏡にサブ10フェムト秒の光パルスを導入した顕微分光も可能です。(図1)
実施した場合の利用時間
実験内容により必要な照射時間が大きく異なるため、都度ご相談ください。ダイヤモンドNV中心形成実験では、照射条件を変えながら、4時間/日×4日等の実績があります(料金:約1万円)。
図1 (左)顕微照射装置の全体図。(右)照射部の拡大図。反射型対物鏡を用いてサブ10フェムト秒の光パルスをサンプルに照射することが可能です。2次元材料の超高速応答の観測等に用いています。
X線回折装置(RIGAKU)
X線光学素子の評価
軟X線または極端紫外線と呼ばれる光の反射鏡となるX線多層膜の周期長を評価したり、光を波長ごとに分光するX線回折格子の効率評価に使用しています。
光学素子の評価に加えて、試料に含まれる結晶の格子面間隔の導出も可能です。
評価技術
結晶材料の格子面間隔や薄膜・多層膜試料の膜厚または周期長を知ることができます。
ナノメートルスケールの膜厚をもつ薄膜の構造評価が得意です
薄膜または多層膜試料の試作についてもご相談下さい
分析にかかる料金は?
料金は装置の利用時間+事務手数料+技術料金で算出されます。利用時間は試料の条件等で変わるため、都度ご相談ください。大まかな目安として1日の利用で約1万円(税別)となります。
(成果公開の場合。成果非公開の場合の料金は異なります)
QUADRA-T(高平均出力レーザー光源装置)
日本でトップクラスの高平均出力超高速レーザーです。
それ自体の短パルス化による数サイクル近赤外光発生や波長変換などを通して赤外から軟X線まで時空間でコヒーレントな光源発生が可能です。
高出力レーザー光源の波長変換
QUADRA-Tは日本でも唯一といっていい、高平均出力の超高速レーザー光源です。もともとが高出力であるため、波長変換(~10%)を行っても高出力性を保ったまま様々な実験に応用することが可能です。
その一つとして、図1のように、赤外光源を貴ガスに集光し、極端な非線形効果を発生させることで、時空間共にコヒーレントな軟X線を発生することができ、これを用いた試料分析などに応用することが可能です。
図1:高平均出力レーザーの波長変換への応用例。高出力を保ったまま波長を倍にすることができ、それ自体を用いた研究や軟X線へと変換し、試料分析などに用いることができます。
コヒーレント軟X線として光合成や光触媒の電子ダイナミクスの解明などに使えるかも?
高平均出力な赤外光源をパルス圧縮することで、高出力フェムト秒発生などにも利用可能です。
光源利用にかかる料金は?
料金は装置の利用時間+事務手数料+技術料金で算出されます。利用時間は試料の条件等で変わるため、都度ご相談ください。大まかな目安として1週間の利用で約10万円(税別)となります。
(成果公開の場合。成果非公開の場合の料金は異なります)
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