植物のイオンビーム育種
イオンビームを照射することで、植物に新しい性質を生み出します。
色の変化、成分の変化、姿形の変化、育ち方の変化、吸収する元素の変化など様々な変化が期待できます。
原因となる遺伝子が明らかになっていない性質についても適用することができます。
照射後の植物の栽培には特に制限を受けません。
目的に応じてさまざまな形の植物に照射することができます。
種子・幼植物・挿し木など、育種のさまざまな試料に照射可能です
新しい花色のバリエーション
花弁の形の新しい変化
これらの成果は民間事業者さんによる有償利用制度を利用した実施例です
C60イオンビーム照射技術
試料表面に与えるインパクトは革新的!集団的原子衝突が従来のイオンビーム照射では観測されない未知の照射効果を誘発します。
- 20keV~9MeVの幅広いエネルギー範囲とトップレベルのビーム強度
- MeV級では世界初のマイクロビーム化に成功
シリコン表面の欠陥形成(基礎研究)
単原子のイオンビームを照射してもシリコンには欠陥(イオントラック)は形成されません。重たいウランイオンを大型の加速器でGeV級のエネルギーまで加速して衝突させても、シリコンにはイオントラックが形成されることはありません。図Aは30~750keVのC60イオンビームを照射したシリコン表面の電子顕微鏡画像です。白いドットは1個のC60イオンの衝突によって形成されたイオントラックです。C60イオンなら小型のイオン注入装置で加速したわずか60keVのエネルギーでもイオントラックが観測されます。詳しい形成機構は分かっていませんが、この結果は新しい物性の創出を期待させます。
図A 単結晶シリコンウエハのTEM画像
H. Amekura et al., Materialia 39 (2025) 102317.
植物試料の分子マッピング(開発中)
イオンビームを用いた2次イオン質量分析法は、材料や生体試料を構成している分子の強度分布を調べるときに有効な手段です。C60イオンビームは従来のイオンビームに比べ、2次分子イオンの放出量が非常に多く検出感度が高いことから、分析が難しいとされる植物試料などに特に有効です。図Bは、タンデム加速器のC60イオンマイクロビームを用いて得られたトマトの茎断面の分子マッピングの結果で、特徴的な質量(分子)について表示しています。
高崎地区施設供用についてはこちらのページへ