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令和3年度文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞授与式

掲載日:2021年4月14日更新
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令和3年度文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞を受賞した核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所の技術員 佐々木駿一に対する授与式を、4月14日に那珂核融合研究所で行いました。

この賞は、文部科学省が日本の科学技術水準の向上への貢献を目的として定めているもので、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に贈られます。

受賞者に対しては、文部科学省への推薦機関において科学技術週間の行事の一環として科学技術週間中に伝達することになっており、核融合エネルギー部門の部門長 栗原研一が佐々木技術員に賞状とメダルを授与しました。

受賞した内容は以下のとおりです。

氏 名:佐々木 駿一 年齢:33

所 属:核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部 NB加熱開発グループ

業績名:大電流負イオンビーム装置の統合安全体系の考案

令和3年度文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞授与式

令和3年度文部科学大臣表彰創意工夫功労者賞を受賞した佐々木技術員(左から3人目)。栗原部門長(左から2人目)、ITERプロジェクト部​の井上多加志部長(左端)、NB加熱開発グループの柏木美恵子グループリーダー(右端)と​​

業績の内容

那珂核融合研究所の負イオンビーム試験装置は、現在、エネルギー1MeVにて世界で唯一、アンペア級の大電流負イオンビームを生成できる装置である。この装置を用いて、核融合実験炉ITERのプラズマ加熱に必要不可欠な中性粒子入射装置(NBI)の製作にむけ、原理実証、開発研究及び設計最終化に必要な技術データ取得を行っている。本件受賞は、この装置開発の作業管理者として、安全と効率を両立する仕組みを考え、(1)ハード面を充実させた集中管理システムの構築、(2)ソフト面の充実として作業者各人の安全意識を高める環境構築を行い、統合安全体系を構築した。

この集中管理システムの構築により、業務の効率は大幅に向上した。制御盤(専用機器)を汎用機器に入れ替え、自ら迅速にシステムを改造・追加できるようにするとともに、汎用機器を活用し、地下ピット内の設備の計器の全信号を制御室に送るように改良するなど、従来と比べて作業時間を約2割削減する効率化に成功した。ソフト面では、作業前の打合せを活用して安全確保に必要な作業を全員で抽出し、作業要領書の読合せとリスクアセスメントの徹底に加え、グループ内で安全標語を募集し、毎年更新する「安全八訓」の作成と毎朝唱和による安全意識の徹底など安全文化の醸成に貢献した。

佐々木技術員の喜びのひとこと

この度は、令和3年度文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞をいただき大変光栄に存じます。本活動は、ITER用NBIの製作に向けて負イオンビーム試験装置の研究開発を確実に進めるべく、限られた時間・人員の中、常日頃から「作業の効率化」と「安全の徹底」の両立を検討・協議し、それらを継続して実行してきたことが、作業時間の削減や無災害で装置を運転し続けてこられたことに繋がっていると感じております。本活動にあたり、様々なご指導・ご助言をいただいた皆様方に深く感謝申し上げます。今後も今回の受賞を励みに、さらなる安全文化の醸成に努めて参ります。

グループ内で募集した安全標語「安全八訓」の唱和

グループ内で募集した安全標語「安全八訓」を唱和する佐々木技術員