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​生体模倣システム創製研究アライアンス

研究紹介 - 生体模倣システム創製研究アライアンス

掲載日:2025年4月25日更新
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​背景

健康寿命の延伸や国民が健康で安心して暮らせる質の高い生活を実現するためには、再生医療や診断、創薬、個別化医療など先進医療に応用できるバイオデバイスの開発が喫緊の課題であり、研究開発戦略センターなどでも積極的な議論が行われています。再生医療や創薬、診断、治療を支える基礎基盤となりうる技術の一つとして、マイクロ流体チップを用いたバイオ分析・測定システムが注目されています。これまでマイクロ流体チップ内で細胞を培養して薬剤評価に利用する研究開発が進められつつあるものの、薬剤効果が5倍も異なるなど、適切なチップ素材が無い、チップ内でミニ臓器を3次元的に作製する技術が確立されていない、さらには、細胞代謝物を含めた影響評価技術が確立していないという業界全体に係る技術的な課題が残されています。

基盤技術開発

私たちは、量子ビームが誘起する化学反応の空間分布や方向を制御・活用して様々な生体材料を改質・加工し、医療や生命科学に応用可能な各種バイオデバイスを開発しています。

具体的には、
1)生体内環境を模倣したタンパク質ゲル、
2)新規マイクロ流体チップ素材、
3)機能性マイクロ流体チップ

です。これら基板技術を高度化することで生体模倣システムを創出し、『心豊かな暮らし well-being』の達成に貢献します。

 

 1)生体内環境を模倣したタンパク質ゲル
私たちは、生体内環境を高度に再現することを目指し、量子ビーム架橋技術を駆使して、タンパク質を基材とした新しいゲル材料を開発しています。このゲルは、細胞外マトリックス(ECM)を模倣した組成や硬さ、表面微細構造を有していることに加え、高い生体適合性や生分解性、顕微鏡観察に適した透明性などを有しています。

ゲル

2)新規マイクロ流体チップ素材
私たちは、生体模倣システムに適した特性を有するシリコーン樹脂の開発を進めています。素材の化学構造や分子量を検討するとともに、量子ビームにより改質することで、高い透明性や酸素透過性を維持しつつ、微細加工精度を向上する一方で、シリコーン樹脂の弱点である薬剤吸着を低減させた新しい素材を開発しました。

チップ素材

3)機能性マイクロ流体チップ
私たちは、再生医療技術を応用して、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いて、6種類の臓器を作製しました。これらの臓器がそれぞれの機能を有していることを確認しています。さらに、これらの臓器を連結する「多臓器連結チップ(BLOC: Buildable and Linkable Organ on a Chip)」を開発し、薬剤の人体への影響評価を進めています。

チップ

関連する特許

1.『接合体とその接合方法及びマイクロ流体デバイスとその製造方法』 特開2024-156750

2.『物品、物品を製造する方法、複合体、及び複合体を製造する方法』 特開2022-121219

3.『細胞培養用ハイドロゲル、ゲルキット、細胞培養物の製造方法、及び細胞培養用ハイドロゲルの製造方法』 特許第7414224号

4.『医薬、並びにその製造方法』 特許第7156665号

5.『細胞培養用ハイドロゲル、ゲルキット、細胞培養物の製造方法、及び細胞培養用ハイドロゲルの製造方法』 特許第7658611号

6.『マイクロ流体装置、マイクロ流体ユニット、及びマイクロ流体モジュール』 特願2024-170313