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​生体模倣システム創製研究アライアンス

研究紹介 - 生体模倣システム創製研究アライアンス

掲載日:2024年4月26日更新
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​はじめに

健康寿命の延伸や国民が健康で安心して暮らせる質の高い生活を実現するためには、再生医療や診断、創薬、個別化医療など先進医療に応用できるバイオデバイスの開発が喫緊の課題であり、研究開発戦略センターなどでも積極的な議論が行われています。再生医療や創薬、診断、治療を支える基礎基盤となりうる技術の一つとして、マイクロ流体チップを用いたバイオ分析・測定システムが注目されています。これまでマイクロ流体チップ内で細胞を培養して薬剤評価に利用する研究開発が進められつつあるものの、薬剤効果が5倍も異なるなど、適切なチップ素材が無い、チップ内でミニ臓器を3次元的に作製する技術が確立されていない、さらには、細胞代謝物を含めた影響評価技術が確立していないという業界全体に係る技術的な課題が残されています。

研究開発

私達は、微量化学物質の分離・検出等の処理が可能な、マイクロ流体チップの内部にミニ臓器を形成、連結することで、薬剤や量子ビームの影響を迅速かつ正確に評価できると着想しました。しかし、現時点では最適なチップ素材が存在せず、第一候補であるシリコーン樹脂には、疎水性の化学物質を吸着しやすく、定量評価が困難という致命的な課題が残されています。また、化学物質の影響を正確に評価するためには、細胞を本来の生体内に近い環境で3次元培養し、臓器と同等の機能を持つミニ臓器を形成して評価に用いることが重要であるものの、チップ内での3次元ミニ臓器形成には技術的な課題が残されています。加えて、微量薬剤の吸収・代謝、量子ビームの照射効果、複数臓器に及ぶ代謝物の影響など、複雑な生物学的影響を正確に評価するのは困難でした。

これらの課題に対し、量子ビーム物理、化学、生物学者に加え、企業研究者・開発者が集い、チップ素材やミニ臓器形成、薬剤や量子ビームの影響評価・解析に関する課題解決に挑戦し、ミニ臓器内蔵マイクロ流体チップを創出することで、生体模倣システムの具現化とその社会実装を目指します。