プレスリリース
放医研プレス 2017年09月21日
放射線医学総合研究所が緊急被ばく医療分野において国際原子力機関の緊急時対応能力研修センターに指定
国際原子力機関(IAEA)は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所(以下「量研放医研」という。)をアジア地区における被ばく医療対応および線量評価分野の緊急時対応能力研修センター(Capacity Building Centre: CBC)に指定しました。平成29年9月20日にIAEA本部(ウィーン)にて、野田 耕司 放医研所長とJuan Carlos Lentijo事務局次長がこの実施に関する取決めに調印しました。
CBCを設立する目的は、IAEA加盟国の強みを認識し、緊急時準備と対応に関する知識や優れた事例を効率的かつ効果的に発信、提供し、地域的にも国際的にも持続的に人材育成できるよう、研修の手腕をさらに高めることです。教育、訓練、あるいは情報共有活動を実施する能力を有する機関や複数の機関のグループがCBCとして指定されます。CBCは、IAEAが推進する緊急時準備と対応に関する教育や訓練および技術移転の中心としての働きをします。
量研放医研は人と放射線に関連したテーマを幅広く扱う研究所で、日本における緊急被ばく医療分野の中心的な機関として被ばく患者を治療した経験を有することから、福島県にあるCBCに続き、日本で2番目に「放射線関連事故の緊急時準備と対応(Emergency Preparedness and Response: EPR)」に関するCBCに指定されました。
今後の展開
IAEAは量研放医研をCBCとして活用し、アジア地区における被ばく医療対応および線量評価分野の専門家の教育を継続します。原子力や放射線の危機は稀ですが起きるので、研修や教育を通じて情報を共有することは重要です。量研放医研には、CBCとして関連分野の知識や技能をアジア地区に拡げることが期待されています。
この実施取決めの下、最初の活動として“NIRS Training Course on Radiation Emergency Medicine in Asia 2017”を平成29年9月19~21日に量研放医研で実施します。この研修を受けた専門家は、アジア地区における原子力や放射線技術の平和利用の安全性の向上に貢献します。
野田 耕司 放医研所長(写真左)とJuan Carlos Lentijo事務局次長(写真右)