現在地
Home > 分類でさがす > お知らせ・ご案内 > プレスリリース > その他の分野 > > プレスリリース > 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構理事長の平野俊夫が、これまでの大阪大学等でのインターロイキン6の発見とその一連の研究成果に対して、「2021年クラリベイト引用栄誉賞」を受賞いたしました。

プレスリリース

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構理事長の平野俊夫が、これまでの大阪大学等でのインターロイキン6の発見とその一連の研究成果に対して、「2021年クラリベイト引用栄誉賞」を受賞いたしました。

掲載日:2021年9月22日更新
印刷用ページを表示

お知らせ

 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構理事長の平野俊夫が、これまでの大阪大学等でのインターロイキン6の発見とその一連の研究成果に対して、「2021年クラリベイト引用栄誉賞」を受賞いたしましたので、お知らせいたします。

(以下受賞内容の概要)

平野俊夫理事長が「2021年クラリベイト引用栄誉賞」を受賞

 ​国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構理事長の平野俊夫が、イノベーションを加速する信頼性の高い知見や分析を提供する世界的リーディングカンパニーのClarivate plc(NYSE:CCC)より、本年度の引用栄誉賞(Citation Laureate)に選ばれました。受賞者は2,000回以上引用された論文の著者の中から選ばれ、その研究成果が、「ノーベル賞クラス」と見なされる研究者です。

受賞発表ホームページ 

(日本語)https://clarivate.com/ja/products/scientific-and-academic-research/citation-laureates/

(英語)https://clarivate.com/citation-laureates/

 

【受賞に際して】

1986年のインターロイキン6(IL-6)の発見以来、IL-6の生理作用や作用機序など基礎的な研究を続けてきました。その過程で、IL-6の過剰産生が関節リウマチで生じていることを発見するとともに、IL-6シグナル異常が実際に関節リウマチに酷似した関節炎を引き起こすことを動物実験で証明しました。これらの基礎研究は製薬企業らによるIL-6阻害抗体医薬の開発への道を開きました。そして関節リウマチや、CAR-T治療におけるサイトカインストーム症候群、さらには重症の新型コロナウイルス感染症の治療にIL-6阻害剤が有効であることも明らかになりました。35年にわたるIL-6研究がこのような形で世の中に貢献できたこと、大変嬉しく思います。そして、IL-6発見35周年にあたる2021年にクラリベイト引用栄誉賞に選ばれたことに感激するとともに、大変光栄であります。多くの共同研究者や家族に感謝したいと思います。

【研究について】

がん、糖尿病、心臓血管疾患などの様々な疾患は加齢と密接に関係しています。これらは生活習慣病とも言われています。また、これらの病気には慢性炎症が深く関与しています。慢性炎症を予防したり、抑制したりすることで、これら加齢にともなう病気の予防や治療に繋がります。私たちや、世界中の多くの研究者により、慢性炎症にはIL-6が中心的な役割を果たしていることが明らかになってきました。私たちは、組織損傷などの刺激や神経刺激などの局所引き金がIL-6増幅回路などを活性化して慢性炎症に関与していることを示してきました。今後はこれらの慢性炎症を早期にみつける鋭敏な検査技術を開発するとともに、慢性炎症の兆候を未然に体から取り去ることにより、加齢にともなう様々な疾患を予防して健康寿命をのばし、人生100年時代を、生き生きと生きることができる健康長寿社会実現に貢献したいと考えています。

 

【日本の若手研究者へのメッセージ】

私はいつも若い人に言っている言葉が2つあります。

「目の前の山を登り切る」と「夢は叶えるためにある」です。

 

「目の前の山を登り切る」

頂上に登らなければ、新しい景色を見ることはできません、次に進むべき道を展望できません。実際の登山では9合目には9合目の標識があります。そこまでくればいくら疲れていても、病気や怪我でもしない限り、頑張って頂上に登ります。しかし実際の人生や研究にはどこにも標識はありません。今いる位置が9合目なのか、あるいは3合目かはわかりません。疲労困憊し、諦めてしまうことがしばしばです。一度でも良いから、目の前の山を登り切ることが大事だと言っています。

「夢は叶えるためにある」

夢は、人や組織により異なります。しかし、共通していることは、その人にとり、その組織にとり、実現することが不可能と思えることです。夢は所詮夢であり、自分とは関係ないと考えれば、夢は永久に夢です。しかし、夢に向かって目の前の1つ1つの山を乗り越えていけば、必ず夢は近づいてきます。そしていつの日か夢は現実のものとなります。しかし、たとえ夢を叶えることができなくても、夢に向かって努力する、その過程がその人の人生を実り多く充実したものにしてくれます。夢は叶えるためにある。若い人には夢を追い求めて欲しいと思います。

 

【主な受賞歴】(◎は国際賞)

・エルウィン・フォン・ベルツ賞(昭和61年)

・日本チバガイギー・リウマチ賞(平成2年)

・The Sandoz Prize for Immunology (現Novartis Prize for Immunology)◎(平成4年)

・大阪科学賞(平成9年)

・持田記念学術賞(平成10年)

・ISIトムソン・サイエンティフィック社(アメリカ)引用最高栄誉賞

(ISI Citation Laureate Award, 1981-1998)(平成12年)

・藤原賞(平成16年)

・日本医師会医学賞(平成17年)

・紫綬褒章(平成18年)

・The Crafoord Prize(クラフォード賞 )◎(平成21年)

・吹田市長賞(平成21年)

・大阪市長特別表彰(平成22年)

・日本国際賞◎(平成23年)

・ITOC7 Lifetime Achievement Award◎(令和2年)

・2021年クラリベイト引用栄誉賞◎(令和3年)