発表のポイント
- 量子科学技術研究開発機構と新むつ小川原株式会社の間で連携協力協定を締結
- フュージョンエネルギーをはじめとする量子科学技術を通じた科学技術・イノベーションの活性化に寄与
概要
量子科学技術研究開発機構(理事長 小安重夫、以下「QST」)と新むつ小川原株式会社(代表取締役社長 福田健𠮷、以下「SMO」)は、令和6 年3 月27 日、連携協力協定締結式を行いました。
小安重夫QST理事長(左)と福田 健𠮷SMO代表取締役社長(右)
QST は青森県六ヶ所村の「むつ小川原開発地区」に所在する六ヶ所研究所において、フュージョン(核融合)エネルギーの実用化に向けた研究開発(※1)を推進しています。
SMO は我が国に残された数少ない大規模産業立地スペースとして、六ヶ所村を中心とした5,180 ヘクタールの敷地を一体的に保有・造成・分譲しており、広範な関係者との連携のもと、当地での国家的プロジェクトの推進に貢献しています。
これまで両者は(1)フュージョンエネルギー研究開発への産業界の参画促進、(2)SMO 主催視察会におけるQST 六ヶ所研究所視察、(3)QST 六ヶ所研究所発のスタートアップ企業(※2)の支援及び(4)「青森県から日本・世界の環境・エネルギー問題を考える地元高校生向けワークショップ」(青森県ITER 計画推進会議主催)(※3)による人材育成支援等、多彩な連携活動を行ってきました。
令和5 年4 月に統合イノベーション戦略推進会議にて策定されました「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」(※4)においては、“フュージョンエネルギーの産業化”が掲げられており、産業界の更なる参画を促進するとしています。
今般、本連携協力協定を締結することにより、双方が有する情報やノウハウ等を用いて産業界に対する多面的な協働アプローチを展開し、六ヶ所村を中心に青森県におけるフュージョンエネルギーをはじめとする量子科学技術を通じた科学技術・イノベーションの更なる活性化を図り、新たな産業の創出及び育成並びに集積による地域の発展に貢献していきます。
補足説明
(※1)フュージョン(核融合)エネルギーは、わずか1gの水素同位体燃料から石油8トン分という膨大なエネルギーを取り出すことができ、二酸化炭素を排出しないことから環境にやさしい将来のエネルギー源として期待されています。太陽のエネルギー源でもあることから、核融合炉は「地上の太陽」とも称されます。
当該分野の研究を担うQST 六ヶ所研究所では、(1)大型国際プロジェクトとしてフランスで建設が進められている核融合実験炉ITER を支援・補完し、次段階の原型炉の早期実現を目指す日欧協力プロジェクトである幅広いアプローチ活動、(2)フュージョンエネルギーを熱として取り出すとともに燃料を生産する重要機器であるブランケットを、ITERを用いて試験するための「テストブランケットモジュール」の開発など、フュージョンエネルギーの実現に重要不可欠な研究開発を担っています。
六ヶ所研究所HP:https://www.qst.go.jp/site/rokkasyo/
(※2)QST 六ヶ所研究所発技術の社会実装を担う企業として下記2社が設立され、QST 認定ベンチャーに指定されています。六ヶ所村内にも事業拠点を構えながら、事業を企画・推進中です。
株式会社MiRESSO(2023 年5 月設立)https://miresso.co.jp/
革新的な低温精製技術により、低コストかつ省エネルギーでベリリウムをはじめとする鉱物資源の確保を目指す。
LiSTie 株式会社 (2023 年7 月設立)https://listie.co.jp/
海水や使用済リチウムイオン電池から、超高純度でリチウム資源を回収し、EV 化等で需要が増大するリチウム資源の確保を目指す。
※3)青森県から日本・世界の環境・エネルギー問題を考える地元高校生向けワークショップ(青森県ITER 計画推進会議主催)
https://www.iter-aomori.jp/ins/archives/770
(※4)令和5 年4 月、統合イノベーション戦略推進会議にて「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定。
https://www8.cao.go.jp/cstp/fusion/fusion_senryaku.pdf