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横浜国立大学と量子科学技術研究開発機構が連携し、量子技術による未来の安全な通信社会実現のための研究を加速

掲載日:2023年11月29日更新
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 国立大学法人横浜国立大学(学長:梅原 出、以下「横浜国立大学」)先端科学高等研究院(研究院長:梅原 出)と国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長:小安 重夫、以下「QST」)量子技術基盤研究部門(部門長:河内 哲哉)は、令和5 年11 月28 日に量子情報基盤技術における研究協力を推進するための連携協定を締結しました。本協定のもと両機関の強みを最大限に発揮し、量子技術による未来の安全な通信社会実現に向けた量子インターフェース実用化研究を加速することを目指します。

 連携協定締結の様子と集合写真

右側写真は左から QST量子技術基盤研究部門量子機能創製研究センター 大島センター長、QST 茅野理事、QST量子技術基盤研究部門 河内部門長、横浜国立大学 梅原学長・先端科学高等研究院長、横浜国立大学先端科学高等研究院 小坂量子情報研究センター長

 世界的に注目されている量子技術は、未来社会に向けて革新的なイノベーションをもたらす事が期待されており、世界中で大きな研究開発投資が行われています。特に、量子インターネット技術は、世界を安全に繋ぐ次世代の通信技術として注目され、その基盤要素となる量子インターフェースの開発が世界各国で進められています。
 横浜国立大学先端科学高等研究院は、ダイヤモンド中の窒素空孔(NV 中心)(注1)を用いた量子インターネット・量子コンピュータにかかわる実践研究や超伝導素子を用いた極低消費エネルギー集積回路の研究で顕著な成果を上げています。QST 量子技術基盤研究部門は、NV 中心をはじめとする量子機能材料の研究開発で世界をリードするとともに、国の量子技術イノベーション拠点の1 つである「量子技術基盤拠点」(注2)として、量子インターフェースの実用化に有用な量子機能材料の供給や産業支援を推進しています。
 両機関は、相互の研究施設やノウハウを共有した研究開発や人事交流等を通して双方の強みを最大限発揮し、量子情報基盤研究を強力に推進することを目的として連携協定を締結します。本締結により、未来の安全な通信社会実現に向けた量子インターフェースや宇宙分野における超伝導技術等の実用化研究をより一層加速し、世界トップを目指す研究組織として量子技術による未来社会の発展に貢献していきます。

これまでの実績

 横浜国立大学先端科学高等研究院量子情報研究センターの小坂英男センター長がプロジェクトマネージャーを務める、科学技術振興機構(JST)ムーンショット型研究開発事業の目標 6「2050 年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」(注3)の量子計算網構築のための量子インターフェース開発プロジェクト(注4)に、QST 量子技術基盤研究部門高崎量子応用研究所の研究者が課題推進者として参画。

用語解説

注1:ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)

 ダイヤモンド中の隣接した二つの炭素において、一つの炭素が窒素(N)に、もう一つの炭素が空孔(V)に置換されたものです。NV中心は、電子スピンや核スピンを持ち、これがスピン量子ビットとして用い られます。そのメモリ時間は、最大で1秒を超えるほどで、超伝導量子ビットや半導体量子 ドットなどの他の材料に比べて非常に長いことが知られています。

注2:量子技術基盤拠点

 国の量子未来産業創出戦略の中で、量子技術イノベーション拠点の強化が決定されました。

注3:科学技術振興機構(JST)ムーンショット型研究開発事業の目標 6「2050 年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」

 2020年に内閣府のプロジェクトとしてスタートしました。

注4:量子計算網構築のための量子インターフェース開発

 ムーンショット型研究開発事業の目標 6「2050 年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」の中のプロジェクトとして2020 年にスタートしました。