現在地
Home > 分類でさがす > お知らせ・ご案内 > プレスリリース > エネルギー > > プレスリリース > JT-60SAがギネス世界記録TM「最大のトカマク型装置」に認定~世界最大のトカマクとしてプラズマ体積160立方メートルを達成~

プレスリリース

JT-60SAがギネス世界記録TM「最大のトカマク型装置」に認定~世界最大のトカマクとしてプラズマ体積160立方メートルを達成~

掲載日:2024年10月4日更新
印刷用ページを表示

QST横ロゴF4Eロゴ令和6年10月4日
​国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
​Fusion For Energy


【発表のポイント】

  • 日欧共同で茨城県那珂市に建設したトカマク型超伝導プラズマ実験装置JT-60SA(以下「JT-60SA」という。)において、プラズマ体積160立方メートルを達成し、ギネス世界記録TM「最大のトカマク型装置」に認定。
  • 10月19日、那珂フュージョン科学技術研究所において、ギネス世界記録TM公式認定証の贈呈式を開催予定。

概要

JT-60SA全景 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長小安重夫。以下「QST」)は、Fusion for Energy(代表 マーク・ラシェーズ)とともに日欧共同で実施している幅広いアプローチ活動等を通じて、JT-60SA※1計画を進めてきました。
 JT-60SA は、フュージョンエネルギーの早期実用化を目指し、イーター計画※2 と並行して日欧が共同建設した世界最大のトカマク※3 型超伝導プラズマ実験装置です。令和5 年10 月23 日に初プラズマを達成した後、統合試験運転※4を継続し、初めてのプラズマ試験として超伝導コイルを用いたプラズマ制御手法の最適化等を進めてきました。本試験結果を精査したところ、従来の他装置におけるプラズマ体積100 立方メートルの記録を大きく超える、プラズマ体積160 立方メートルの達成が確認されました。この成果は、プラズマの閉じ込め性能はプラズマの大きさにも依存するため、今後の加熱実験において世界最高性能が期待されます。また、より大きなプラズマを扱うイーターや原型炉※5に向けた制御法の開発に繋がるものと考えられます。
 本成果は、世界最大のトカマクプラズマ(Largest Tokamak、最大のトカマク型装置)のギネス世界記録TMとして、令和6 年9 月4 日に認定されました。10 月19 日に開催する那珂フュージョン科学技術研究所施設見学会にあわせて、「JT-60SA ギネス世界記録TM 贈呈式」を実施する予定です。
 QST は、JT-60SA で得られた知見をイーター及び将来の原型炉に積極的に活かすとともに、フュージョンエネルギーの早期実用化に向けた中核的な拠点として引き続き邁進いたします。

【用語解説】

※1…JT-60SA(JT-60 Super Advanced、ジェーティーロクジュウ スーパー アドバンス)

 広いアプローチ(BA)活動として日欧共同で実施するサテライト・トカマク計画と我が国で検討を進めてきたトカマク国内重点化装置計画の合同計画として、茨城県那珂市のQST 施設に建設された、現時点では世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置となります。その目的は、イーターの技術目標達成のための支援研究、原型炉に向けたイーターの補完研究、人材育成です。JT-60SA は、約-269℃(絶対温度約4K)に冷却された強力な超伝導コイルを使用して1億℃にも達するプラズマを閉じ込めます。
URL:https://www.qst.go.jp/site/jt60/5150.html (日本語)

※2…イーター(ITER)計画

 日本、欧州、ロシア、米国、中国、韓国、インドの7極の国際協力の下、その建設・運転を通じてフュージョンエネルギーの科学的・技術的実現可能性を実証する計画であり、加熱システムによる入力エネルギーの10 倍のフュージョンエネルギー(Q≧10)を得ることが目標です。現在、サイトがあるフランスのサン・ポール・レ・デュランスにおいて、プロジェクト実施のための国際機関であるイーター機構を中心に運転開始に向けた建屋の建設や機器の組立が行われるとともに、各極において担当する様々なイーター構成機器の製作が進められています。
URL:https://www.fusion.qst.go.jp/ITER/ (日本語)

※3…トカマク

 高温プラズマを磁場により閉じ込める方式の一つ。外部コイルによって作られる主たる磁場である周方向のトロイダル磁場と、プラズマ中に周方向の電流を流すことにより作られる径方向のポロイダル磁場を組み合わせ、高温プラズマを閉じ込めます。イーターもトカマク型の装置です。

※4…統合試験運転

 JT-60SA の動作を確認するために行う一連の運転。具体的には、JT-60SA の真空排気から始まり、超伝導コイルの冷却と通電試験、その後実際にプラズマを発生させ、その制御も含めて、JT-60SA 全体の動作を確認する一連の運転を指します。

※5…原型炉

 原型炉とは、JT-60SA やイーターの成果に基づいて建設される次期装置であり、フュージョンエネルギーによる発電と経済性を実証する装置です。現在、世界各国で原型炉の概念設計が進められています。