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プレスリリース

「令和2年度 触媒工業協会技術賞」を受賞 水素酸化処理や水素インフラに貢献する「疎水性貴金属触媒の開発」が評価される

掲載日:2020年10月15日更新
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 TANAKA ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員:田中 浩一朗)は、田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員:田中 浩一朗)が、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研 本部:千葉県千葉市、理事長:平野 俊夫)との共同研究による「疎水性貴金属触媒の開発」において、一般社団法人触媒工業協会より「令和2年度 触媒工業協会技術賞」を受賞したことをお知らせいたします。10月14日にオンラインで開催された「令和2年度 触媒工業協会 表彰式」においては、表彰状を授与されるとともに、田中貴金属工業の久保仁志と量研の岩井保則が受賞記念講演を行いました。

疎水性貴金属触媒    水に浮かぶ疎水性貴金属触媒

疎水性貴金属触媒             水に浮かぶ疎水性貴金属触媒

 

製品例の少ない「疎水性貴金属触媒」

 技術賞を受賞した疎水性貴金属触媒は、ITERなどの核融合研究施設における室温水素酸化の技術として田中貴金属工業と量研が共同で開発したものです。本貴金属触媒は前述の通り、水素を酸化処理する際に使われますが、室温でも触媒反応を維持できる「疎水性」であることが特徴です。従来の触媒は、処理ガス中に含まれている水分や反応により生じる水蒸気が触媒表面を覆って触媒反応を止めてしまうため、加熱による水蒸気の被覆防止が必要でした。また、通常用いられるプラスチックを担体とした触媒は、反応による触媒温度の上昇によって燃えてしまうなど、熱に弱いという課題がありました。

 この度の開発では、触媒の土台となる担体にプラスチックより熱や放射線に強い無機物を使用し、それに疎水基(水となじみにくい物質)を付与することにより、担体表面を均一に疎水化し、耐熱性と疎水性の両特性をもたせました。この担体に白金をコーティングした貴金属触媒は、田中貴金属工業内評価において450℃で24時間の間、疎水性を維持できることが確認されています。

 当触媒を使用することによって、核融合施設に限らず水素や可燃性ガスを酸化処理する際に加熱ヒーターなどが不要となり、屋外で電源がとれない環境や、災害による停電時においても処理を行えるようになります。疎水性という特徴を生かして、爆発災害などを未然に防ぐための安全設備に適用が可能と考えており、特に水素エネルギー社会におけるインフラ構築での活用を期待しています。

「令和2年度 触媒工業協会技術賞」受賞内容

○表彰種別:技術賞

○受賞者名:田中貴金属工業株式会社 久保 仁志

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 岩井 保則

○受賞題目:「疎水性貴金属触媒の開発」

 

※一般社団法人触媒工業協会は、触媒を製造する企業および触媒関連資材を生産する企業、ならびに触媒製品に携わる企業により、健全な触媒工業の発展を促進する目的で設立されました。大手触媒メーカーが参加する、日本を代表する触媒工業の業界団体です。本表彰制度は、触媒工業協会がその年に優れた触媒関連での先進技術、触媒工業への貢献度の高い技術を「技術賞」、「功労賞」、「特別賞」として表彰するものです。

※ITER(イーター)は、平和目的のための核融合エネルギーが科学技術的に成立することを実証するために、人類初の核融合実験炉を実現しようとする超大型国際プロジェクトです。ITER計画は、日本・欧州・米国・ロシア・韓国・中国・インドの7極が参加し、2025年の運転開始を目指しています。