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量子技術基盤・量子生命拠点

最先端研究を身近に届ける 量子技術と企業をつなぐ

掲載日:2023年8月4日更新
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量子技術と企業をつなぐ

アライアンス図 量子科学技術研開発機構(QST)では、イオンビームやレーザー、フュージョンエネルギー、放射線の医学利用など、異分野融合研究を含め多岐にわたる研究開発を行っており、これまでにない研究成果の創出が期待される。また、重粒子線照射施設(HIMAC)などの他機関では類を見ない最先端の研究設備を有していることも特徴である。

 QSTでは、得られた研究成果を産業界を通じて社会実装するため、2つのイノベーションハブ事業を実施している。

 そのうちの1つであるアライアンス事業では、QSTの研究成果のうち、社会実装に近い最先端の技術を中心としてアライアンスを形成し、産業界に存在する共通的な技術的課題を複数の企業郡と協調して解決、個々の企業ごとの個別の課題解決と、段階を経た研究開発を行うことでイノベーションを創出することを目的としている。同事業は2023年度より第2期を脳疾患創薬に関する課題で開始した。さらに、社会実装の芽を積極的に育てるため、リチウム回収技術、生体摸倣システム、次世代PET開発に関する3課題についてフィジビリティースタディー(事業化調査)として進めている。

 QSTが推進している「量子技術」は、近年、国の政策においてもよく聞かれるようになった。量子技術とは、原子や電子といった微細な世界で働く「量子力学」を利用する技術のことで、量子コンピューターや高感度な量子計測・センシングなどに応用され、医療や材料、エネルギーなどさまざまな分野での発展が期待されている。

 その中でもQST は国の量子技術イノベーション拠点の一つである量子技術基盤・量子生命拠点として、量子技術と生命科学の融合や高機能・高性能な量子マテリアルをコアとした量子技術の社会実装を推進することをミッションとしている。

 もう1つのイノベーションハブ事業である量子技術イノベーション拠点推進事業は、量子技術基盤・量子生命拠点の社会実装を支援するための事業であり、その障壁の一つである企業における量子技術の認知の不十分さを解決するため、産業界の人材育成と量子技術の普及活動に注力し、量子技術の社会実装の早期実現を目指す。

 今回を含め7回の連載で、量子技術イノベーション拠点推進事業とアライアンス事業の各課題について紹介する。

執筆者紹介

高草木さん本部イノベーションセンター イノベーション戦略課 知的財産活用課 主任技術員
高草木 香織

QST内における研究成果の発掘、知財の創出から利活用、社会実装までを一気通貫で担当。産学官の共創を誘発する連携プロジェクトの策定にも従事。博士(理学)、認定URA