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量子技術基盤・量子生命拠点

最先端研究を身近に届ける 量子生命科学の開拓者

掲載日:2023年8月4日更新
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量子生命科学の開拓者

量子生命概念図 国の量子技術イノベーション戦略に基づき2021年2月に量子技術イノベーション拠点(QIH)の一つとして量子科学技術研究開発機構(QST)が「量子生命拠点」に指定された。量子生命拠点のミッションは、「量子生命技術の国際競争力の強化を行うとともに、量子技術と生命科学の融合によりイノベーションを創出・推進し、研究開発段階から産業応用までをつなぐハブとしての役割を果たすこと」である。

 「量子生命科学」はわが国独自の学問として開拓がはじまり、量子論・量子力学を基盤とした視点から生命全般の根本原理を明らかにすると同時に、医療・工業・情報・宇宙・環境・農業・エネルギーなどの分野において革新的応用を目指す新しい学術領域である。

 量子生命拠点では、この量子生命科学を標榜し、生体ナノ量子センサや超高感度の磁気共鳴断層撮影装置(MRI)/核磁気共鳴(NMR)などの量子計測・センシング技術による生命科学の革新、そして、生命における量子効果の測定や生物機能の量子論的メカニズム解明などの「生命現象の量子論的解明・模倣」の研究開発を推進する。

 それぞれの分野で、基礎研究から技術実証までを踏まえた出口戦略を構築し、次世代を担う若手研究者や企業技術者の人材育成などを一元的に進めている。

 量子生命技術の発展には、それを支えるさまざまな分野の専門人材とこれら技術を利活用する人材が必要不可欠となる。QSTイノベーションハブ・量子技術イノベーション拠点推進事業では、量子ネイティブの育成から研究者・技術者に向けたリスキリング(学び直し)教育などの幅広い人材育成と、産業界との情報や人材交流の場を構築し、量子科学技術の普及活動を推進することを目的としている。

 この活動推進のために、世界に類を見ない、個体組織・細胞実験が可能なテストベッドを22年に完成した量子生命棟に整備していく。今後、企業の研究者や異分野の研究者などが量子技術を実体験しながら習得する場として、ユースケース開拓・実証研究へと展開していく。

 本事業を推進することで、次世代の診断技術・治療技術の開発や生物機能を模倣した高機能材料の創出などの技術革新を起こし、健康・長寿社会の実現や、わが国が抱えるさまざまな課題の解決に貢献していく。

執筆者紹介

三枝さん量子生命・医学部門 量子生命科学研究所/イノベーションセンター 主幹研究員
三枝 公美子

ゲノム医科学研究にて博士号(医学・大阪大学)取得。癌研、阪大、理研を経て現QSTへ赴任。現在はこれまでの研究経験を活かし量子生命拠点や大型プロジェクトのヘッドクォーター活動など研究開発マネジメントの強化を支える業務に従事。認定URA