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理事長室へようこそ

令和3年度 定年退職者式典 理事長挨拶

掲載日:2022年3月31日更新
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 3月31日をもってQSTを退職される皆様方に、QSTを代表し一言、ご挨拶を申し上げます。

 QSTは、平成28年4月に日本原子力研究開発機構の量子ビーム部門と核融合研究開発部門を放射線医学総合研究所に移管統合して発足しました。発足から本日でちょうど6年が経過し、第1期中長期計画も残すところあと1年ということになりました。

 ここにいらっしゃる皆様方の多くは、昭和50年代から平成の初めにかけて採用され、それぞれの組織、さらには我が国の発展に心血を注いでこられました。これまで旧組織時代を含めQSTが社会や国民の負託に応えることができたことは、ひとえに、それぞれの分野において職務に精励された皆様のご尽力の賜物であります。その皆様方のこれまでの多大なご功績とご労苦に、心からの敬意と謝意を表します。

 人類20万年の歴史を大局的に俯瞰すれば、18世紀に産業革命とともに始まった「第4の波」は、ベルリンの壁が崩壊する1990年まで約200年続きました。人類は今、多様性爆発の「第5の波」を航海中です。この大波の中で2019年末に始まった新型コロナウイルス感染症パンデミックは3年目に入りました。まだまだ油断はできませんが、ようやくピークを超えつつあります。しかし、ウクライナでは、何千万もの人々が非人道的な戦争の渦中にあります。人類は今、この大波を乗り越えて持続可能な社会を構築することができるのかが問われています。

 このような社会の変革の嵐のなかで皆様ご自身の人生においても大きな節目を迎えられました。長年、働き慣れた職場を後にすることは、色々なことが走馬灯のように脳裏を去来し、感慨もひとしおのことと思います。また、人生を見つめ直す、またとない機会であると思います。

 人生の節目においては、未来に対する不確定性故に不安も付きまといます。しかし、不安の裏返しは希望であり、可能性です。皆様一人一人が、この節目をチャンスと捉えて今までとは、一味も二味も異なる人生を手中に収めて欲しいと思います。

 全く新しいことに挑戦されるもよし、今まで温めておられた構想を実行されるもよし、あるいは仕事の合間に培って来られた趣味を生かされるもよし、どのような道を歩むかは皆様が自分自身で決めることができる貴重な時でもあります。これからが人生の本番であるとも言えます。皆様が長きに渡る人生で熟成されてこられた皆様自身の真価が生かされる時だと思います。

 本日が、今のこの時が、これからの人生で一番若い時であることを念頭に置き、新しい人生を歩んでいっていただきたいと思います。

 QSTが発足して6年が経過しましたが、まだまだ未熟な組織であり、発展途上にあります。豊富な知見と貴重な経験をお持ちの皆様方の多くは、引き続きいろいろな形でQSTを支えていただけるとお聞きしており、QSTに残る我々としては大変心強く感じております。

 

 QSTは令和元年にQST ver.2として大幅な組織改編を行いました。令和3年度の再編を経て、現在1)量子生命・医学、2)量子ビーム科学、3)量子エネルギーの3部門体制で研究開発を推進しています。明日から始まる令和4年度は、第1期中長期計画の最終年度であり、7年間の集大成を形にするとともに、令和5年度から始まる第2期中長期計画に繋いでいく、いわばQSTの未来を決めるとりわけ重要な年です。今後はこれまでの改革の効果を最大限に引き出し、真に1つの研究機関として、そして量子科学技術における日本の、ひいては世界のけん引役として、成果の最大化に向けて進んでいく決意です。その過程で直面する数々の課題に対しても決してあきらめることなく、皆様方お一人お一人の力もお借りしながら、目標に向かって全力で立ち向かっていきたいと考えています。

 最後になりましたが、今後ともQSTに対する御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様方の益々のご健勝とご多幸、ご活躍を心から祈念し、私の挨拶とさせていただきます。

 

令和4年3月31日

 

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

理事長  平 野 俊 夫