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平成31年度 新入職員歓迎式 理事長訓示

掲載日:2019年4月1日更新
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平成31年度 新入職員歓迎式 理事長訓示

 

 皆さん、こんにちは。理事長の平野です。

 

 本日、皆さんのような夢と希望に満ちた前途有望な方々を、量研/QSTの新しい仲間としてお迎えすることができたことは、私たちにとって大きな喜びであり、役職員一同、心より歓迎いたします。

 皆さんは、それぞれに喜びと不安の入り混じった気持ちで、ここにおられることと思いますが、ここにいる我々や配属される職場においては、大きな可能性を秘めた皆さんを大いに期待しているところです。

 QSTは、放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構の一部が再編統合され、3年前の2016年4月1日に誕生したばかりの研究開発法人です。そのQSTは、5月1日に始まる新しい元号、「令和」を先取りする形で、本日「QSTver.2」として再始動します。合言葉は「未来を開く、量子で拓く」です。皆様方は、平成最後の年に、そして令和元年にQSTver.2の第1期生として本日その第一歩を踏み出すことになります。皆様方は、日本の新しい時代、令和の担い手であるだけでなく、QSTver.2の牽引役でもあります。

 QSTはこれまで、重粒子線等によるがんの治療や、放射線の人体への影響や医学利用、放射線防護や被ばく医療等の研究、量子ビームによる物質・材料科学、生命科学等の先端研究開発、高強度レーザー等を利用した光量子科学研究、国際協定に基づくITER計画及び幅広いアプローチ(BA)活動を中心とした人類究極のエネルギー源である核融合の研究等を推進しています。これに加え、「量子目線」で分子機能を追求し、生命の根本的理解に迫ることを目的とした新たな学問分野として、量子生命科学の確立と研究の推進を目指し、「量子生命科学領域」という新たな組織が本日からスタートします。

 この結果、量子医学・医療領域、放射線安全領域、量子材料・物質科学領域、量子光学領域、量子エネルギー理工学領域、量子生命科学領域の6研究領域を、5研究所、2センター、そしてQST病院で展開していくことになります。これらの英知と力を結集し、「世界トップクラスの量子科学技術研究開発プラットフォーム」を構築するとともに、量子科学技術分野の研究シーズを探索し萌芽的研究として育てることで、量子科学技術と医学・生命科学の融合領域等、新たな研究分野の地平を開き、「世界に冠たる“QST”」として先導的役割を果たしていかなければなりません。

 さらに、得られた成果を広く社会に還元するため、大学や産業界等との人材交流や共同研究などを通じて産学官連携活動に積極的に取り組むことで、量子科学技術による世界中の人々との協働を介して新たな知の創造や異文化理解・尊重を育み、QSTの理念である「調和ある多様性の創造」を推進し、平和で心豊かな人類社会の発展に貢献していきたいと考えています。

 

 ここで、簡単に、QSTの理念を説明したいと思います。

 

 人類の歴史は多様性ゆえの発展と対立の歴史であったと思います。多様性ゆえに心豊かな生活を送ることができます。また、多様性はイノベーションの源泉でもあります。一方、多様性ゆえに対立や紛争、そして幾多の戦争を経験してきました。量子科学技術は、学問、芸術やスポーツと同じく人類共通言語であり、多様性の壁を乗り越える大きな力を有しています。QSTでは、この多様性の壁を、量子科学技術を介して乗り越えることにより、量子科学技術そのものを推進するのはもちろんのこと、異分野融合領域を開拓していくことにより、世の中に革新を起こして行きます。またそれだけに止まらず、世界中の多様な人々との共同研究などの人的な交流を介して異文化理解や異文化尊重を育んで行きます。そして、平和で心豊な人類社会の発展に貢献して行きたいと考えています。皆様も、本日より、このQSTの理念を心に深く刻み、それぞれの立場でQSTの発展に貢献してほしいと思います。

 

 新しい元号、「令和」は万葉集第五巻、梅花の歌三十二首の序文、「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。」から、令月の「令」と、風和らぎの「和」の2文字を取ったものだそうです。安倍総理は「春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように一人ひとりが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、決定した」と記者会見で語られました。

 これはQSTの理念にも通じるものがあります。そして、皆様が、QSTが、それほど遠くない未来に、見事に花を咲かしている、その様子がまぶたに浮かぶようです。

 

 私は常々「夢は叶えるためにある」と言っています。

 

 夢は人により、組織により様々です。しかし夢に共通することは、その人にとり、あるいはその組織にとっては実現することが大変困難で、到底不可能にすら思える点です。しかし、夢は所詮夢で、我が身や組織には無関係であると諦めてしまえば、夢は永久に夢です。夢に向かって目の前の1つ1つの山を登り切っていけば、夢は自然と近づいて来ます。夢が実現すればこれほど素晴らしいことはありませんが、たとえ実現しなくても夢を目指して目の前のことを解決する努力をする、その過程がみなさんの人生を豊かにし、組織を活性化します。

 「夢は叶えるためにある」。このことを胸に刻んで、QSTで皆様方の新しい人生の一歩を踏み出してほしいと思います。

 

 最後になりますが、皆さんはQSTの新入職員として、内外から期待と注目を浴びていることを認識して、常に良識ある行動に心掛けて下さい。その上で、健康に十分注意を払いながら、皆さんの持てる力を存分に発揮し、職場にフレッシュな風を吹き込んでいただきたいと思います。また、QST内ホームページにある理事長つぶやきのコーナーも時間のあるときに訪れてください。

 みなさんと一緒に夢の実現に向けて頑張りたいと思います。

 

 皆さん方のこれからのご活躍を心から祈念して、お祝いと期待の言葉とさせていただきます。

 

平成31年4月1日

 

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

理事長  平 野 俊 夫

 

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