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プロジェクト「加速器中性子利用RI生成研究」

研究背景

がん・脳血管疾患・心臓疾患の三大生活習慣病や認知症の早期診断とがん治療が、身体を傷つけずに生活の質を保持した非侵襲の核医学医療により行われています。この医療では半減期(T1/2)が数時間~数日のラジオアイソトープ(RI)が重用されています。実際、我が国ではMo-99(T1/2=66時間)から生成されるTc-99m(T1/2=6時間)が、上記診断に年間70万~90万件利用されています。我が国はMo-99を含め多くの半減期の短い医療用RIを(Mo-99は毎週数回) 輸入しています。そのためこれらRIの安定確保を図ることは国民の健康に関わる重要な課題です。しかし、最近、海外の医療用RI製造用原子炉が、高経年化のため長期に計画外停止を頻発しMo-99を含む短半減期の医療用RIの確保が困難になっています。そのため中長期にわたり医療用RIを安定に確保する製造法の確立が世界中の喫緊の課題になっています。

私たちは、小・中型加速器で得られる中性子(加速器中性子)を利用してMo-99を含む医療用RIを製造する新しい方法を2009年に提案しました。この方法では平均14 MeV程度のエネルギーの加速器中性子を試料のMo-100に照射します。すると原子核反応でエネルギーの高い高温状態になったMo-101が合成されます。この状態のMo-101は原子核としては中性子の数が陽子の数に比べ多すぎて不安定です。そこで直ぐに2個の中性子がMo-101から放出されてMo-99になります。これは原子核反応の一種で、Mo-100 + n → Mo-99 + 2n と書かれ略して(n,2n)反応と呼ばれています。

また、この加速器中性子は、Mo-99に限らずY-90やCu-64, 67など多様な医療用RIを製造でき、その開発に取り組んでいます。

加速器中性子RI製造

研究概要

新しい99Mo生成法と分離・精製・医薬品標識化研究

小・中型加速器で得られる中性子(加速器中性子)を利用して試料の100Moに照射して99Moを含む医療用RIを製造する新しい方法を提案しました。この99Moから99mTcを分離・精製し、99mTc医薬品製剤にする研究開発を行っています。

がん治療・診断用RIの生成・分離・精製・医薬品標識化研究

加速器中性子でがん治療用のイットリウム-90 (90Y) と銅-67 (67Cu)と及び診断用の銅-64 (64Cu)の生成・分離・精製・医薬品製剤の研究開発を行っています。99Mo、90Y、67Cuそして64Cuが単一性能の加速器で得られる中性子を用い生成できるのが従来のRI生成法には無い特徴です。

高強度の加速器中性子を生成する標的の開発研究

中性子は重陽子を標的(炭素等)に照射して生成されます。高強度の重陽子に対し高温に耐えられる標的の開発研究を行っています。