プロジェクト「加速器中性子利用RI生成研究」

解説

掲載日:2019年4月1日更新
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ラジオアイソトープを用いた医療

ラジオアイソトープ(RI)で標識した放射性薬品を注射などによって体内に投与し、RIから放出される放射線を利用して、診断及び治療を行う医療。放射線の一種であるガンマ(γ)線(電磁波)は、体内を通過するため、体外で検出することにより、放射性薬品の分布状態を画像として取得でき、その分布状態を調べることにより病気の診断が行える。また、粒子線であるアルファ(α)線(ヘリウムの原子核)やベータ(β)線(電子)は、透過力が弱いため、体内では、短い距離で止まり、持っているエネルギーを患部に与える。その結果、その間にあるがん細胞にダメージを与え、がんを治療することができる。

RI医療応用

エネルギーの高い中性子(加速器中性子)

加速器中性子とは、加速器により作り出したエネルギーの高い粒子(重陽子)を中性子発生用標的物質(ベリリウム、炭素など)にぶつけることにより、標的物質から効率よくはじき出される高エネルギーの中性子です。本研究で使用する中性子のエネルギーは、最大5千万エレクトロンボルト(エレクトロンボルト:粒子のエネルギーを表す単位)で、通常RI製造に利用される原子炉からの中性子のエネルギー 約0.025エレクトロンボルトよりも10億倍以上高いものです。そのため、原子炉では製造しにくいRI等、様々なRIを効率よく製造できます。重陽子のエネルギーを変えることで、中性子エネルギーをある程度コントロールできる。

エネルギーの高い中性子