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関西光科学研究所 | プレス発表:コンパクトなレーザーでエネルギーのそろった指向性の良い電子ビームを発生 ―小型で高性能な電子加速器の実現に手がかり―

掲載日:2006年7月25日更新
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関西光科学研究所 >> プレス発表 >> コンパクトなレーザーでエネルギーのそろった指向性の良い電子ビームを発生 ―小型で高性能な電子加速器の実現に手がかり―

 

プレス発表

平成18年7月25日
独立行政法人日本原子力研究開発機構

 

独立行政法人日本原子力研究開発機構(理事長 殿塚 猷一 以下「原子力機構」と言う)は、レーザーを使った小型加速器の実現を目指した研究を進めている。これまで高強度レーザーで発生する高強度光子場を利用することにより、高品質でかつエネルギーの高い電子、陽子ビームを生成するレーザー駆動による粒子加速の研究を進めてきた。この程、規模の小さい高強度レーザーでは世界ではじめて、エネルギーのそろった指向性のよい電子ビームを再現性よく生成することに成功した。本成果は、高性能小型電子加速器の実現に結びつく手がかりを得たものであり、森 道昭研究員ら量子ビーム応用研究部門高強度場利用研究グループ(リーダー:大道 博行研究主席)およびレーザー電子加速研究グループ(リーダー:セルゲイ・ブラノフ客員研究員)によるものである。

「レーザー駆動電子加速器」は強力なパルスレーザーを物質に照射する際に発生するプラズマの性質を応用した加速器である。従来の高周波による加速器とは原理的に異なり、レーザーで誘起され瞬間的・局所的に発生する強力な光の場(光子場)を加速源とする。高周波による加速器に較べて100倍以上の強力な加速電場で電子を加速することから、装置が小型化できるとともに、高品質の電子ビームが得られることが期待されている。

このレーザー駆動電子加速器では、発生する電子ビームの品質がプラズマの挙動によって変化するため、そのプラズマの制御が鍵になっている。今回、原子力 機構では、プラズマの挙動の研究とその制御技術研究の一環として、比較的規模の小さなテーブルトップサイズにて、3テラワット(1テラワット=1兆ワット)のピーク出力のレーザー装置を用いて均一性の高い場の生成を工夫し、電子ビームの発生を行った。その結果、過去に実証されたよりも低い強度のレーザー光を使って高品質な電子ビームの生成に成功するとともに、現在広く普及している小型高周波加速器に匹敵する電子ビーム量が得られることを明らかにした。

本成果はレーザー駆動小型高性能電子加速器の実現に手がかりを与えるとともに、この技術を発展させることで超高速放射線化学分野への応用が可能になり、極短パルス放射線による化学変化の評価や材料改質・新素材開発等に役立てることができるものと期待される。

なお、この成果の一部は7月31日発行のPhysics Letters A (PHYSICS LETTERS A, Vol. 356, Mori et al.: “Transverse dynamics and energy turning of fast electrons generated in sub-relativistic intensity laser pulse interaction with plasmas”, pp146-151, 2006) に掲載される予定(電子版は6月14日掲載)である。

詳細は下記をご参照ください。(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構のサイトへリンク)

 

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