第57回 平成30年度 核融合施設見学会
今日も元気に咲いてます!那珂核融合研究所のマスコット、カナです
今回は平成30年10月21日(日曜日)に那珂核融合研究所で開催された、平成最後の核融合施設見学会をレポートします!
今回の見所はJT-60SAの中身(トカマク本体)を見られる最後のチャンスの見学ツアー。
ほんっとうにたくさんのご来場ありがとうございました!
天晴れ秋晴れ、いざ開場
最近週末雨が多かったのでちょっと心配していたのですが、きれいに晴れてくれました10月21日日曜日。
「いこいの広場」では朝から会場準備におおわらわです。
管理棟壁面には実物大のJT-60SAの真空容器断面図がかけられます。
門からはみ出そうな数十台の長蛇の車列!
皆様お越しいただき、誠にありがとうございます。
今回で見納め、JT-60SAの中身見学ツアー
ただいま超高精度組立て中の核融合実験装置、JT-60SA。
もうすぐ「クライオスタット(※)」という外殻に覆われてしまうので、中身のトカマク本体を見られる最後のチャンス!
ということで、本当にたくさんの人達が集まってくれました。
1回20人前後の全12回まわしだったのですが…参加できなかった皆様、ごめんなさい。
※クライオスタット:超伝導コイルを極低温に保つための容器です。
受付を行った制御棟のロビーでは、JT-60SAの3DCGを使った説明を行っていました。
来場者も興味津々。
奥で行われていたのは「放電幅跳び大会」。
プラズマ制御に重要な放電は、離れた電極の間で空気(気体)を伝って電気が流れる現象です。
どのぐらい離れた場所から放電を起こせるか、記録に挑戦だ!
こちらがJT-60SAが収まる建屋。
赤い連絡通路を渡り、エレベーターで3階まで上がると、なんだかとっても厳重っぽい扉が現れました。わくわく。
扉をくぐり、階段を上がった先が見学ブースです。ガラス越しなので部屋の明かりを消して見学します。
円形の足場の中心が、組立て中のJT-60SAトカマク本体です!本体直径は約12mになります。大きいですね!
青く横に伸びているブロックは「中性粒子ビーム入射加熱装置」。真空容器内のプラズマに中性化した高エネルギーの粒子を打ち込んで、プラズマを核融合反応が起きる温度まで加熱するための装置の一つです。
次にご案内するのは「中性粒子ビーム入射加熱装置」用の500kV電源室です。世界最大パワーを誇る中性粒子入射加熱用500keV負イオンビーム源の電力は、ここから供給されています。
フランスで建設中のITERでも、この中性粒子ビーム入射加熱装置の高電圧電源部は日本が作ることになっています。
初公開、那珂核融合研究所バックヤードツアー
今回は初の試み、那珂核融合研究所の電気の要、中央変電所の275kV超高圧受電設備を少人数限定公開しました!
こちらも大人気で、開場早々に枠が全部埋まってしまいました。大人気に感謝です。
第一工学試験棟 ロボット操縦&真空・超伝導実験
第一工学試験棟では、超伝導コイルや真空容器内の機器、真空容器内部の保守を行う大型マニピュレーターの開発試験を行っています。
今回はそれにちなんだ様々な実験イベントが用意されていました。
まずはロボット操縦のコーナー。
うまくアームを操って、お菓子をゲットしよう!ロボットのために、道を完成させよう!
そして巨大ロボットアーム操縦体験!
ジョイスティックでうまくマニピュレータを操作して、ペットボトルを倒してみよう!
成功したら認定証をプレゼント!
この他にも超伝導や真空を利用したいろんな実験をお楽しみいただきました。
ITER棟ではPepper講座
核融合発電の実用化に向けた国際協力プロジェクト『ITER(イーター)』の日本の拠点、ITER研究開発棟では、Pepperが核融合やITERの概況について教えてくれました。
※ソフトバンクロボティクスのPepperを活用し、当機構が独自に実施しています。
ITERはフランスで2025年頃に運転開始予定!
他にもネオジム磁石を使ったスピーカーの工作教室や、VRによるITER建設現場体験、そして外では「地上の太陽」核融合炉にちなんで、太陽観察コーナーが設けられていました。
今回は太陽を観察しても大丈夫な特殊な望遠鏡を使用しました。直接太陽を望遠鏡で見ちゃダメだよ!
実験・工作教室
ITER棟付属会議棟では、日本原子力学会主催のオープンスクールと、J-PARCさんの科学実験教室が行われました。
万華鏡づくり、手回し発電機づくり、ビーズストラップづくり、コップモーターづくりなど、いろんな工作教室で大盛況!
大人気!なか博士の核融合講座
ここからは屋外イベント!
なか博士が核融合について説明する特別講座は、立ち見も出るほど大人気でした。
あ、左端にカナちゃん発見!
核融合でわからないことがあったらなか博士に聞いてみてね!
放射線を探してみようのコーナー
さあ、9個のドーナツの中にカリウム肥料が隠れているよ。放射線検知器で探してみよう!
見事見つけられたら景品プレゼント!
放射線は日常にありふれた存在です。
たとえば肥料に使われる、植物の育成に欠かせないカリウム。
生物の必須元素で、人間の体でも8番目ぐらいに多く含まれる元素ですが、天然カリウムの中には極微量、0.0117%の放射性同位体カリウム40が含まれています。
地球における主な自然放射線源のひとつですね。
皆さんも放射線についての理解を深めて頂ければ幸いです。
ステージイベント
ステージでは秋晴れの元、那珂市立第四中学校吹奏楽部をはじめとした3つのグループが賑やかな演奏で会場を盛り上げてくれました。
こちらは那珂町商工会青年部を中心に結成された郷土芸能チーム「那珂太鼓」さん。
「堀之内太鼓」は那珂市菅谷地区の9町の一つ、堀之内の太鼓チームです。
みなさん、すてきな演奏ありがとうございました!
パトカーと消防車
那珂警察署からは白バイとパトカーが駆けつけてくれました。
子供はもちろん、大人も興味津々です。
那珂市消防本部は多目的車の前で消防子供服を着ての記念撮影が大人気。
「煙体験ハウス」もありました。
入ってみましたが、本当に目の前が真っ白で10cm先もわかりません。明るいのに何も見えない特殊な状況、真っ暗闇より怖かったです。
火事のときにはこうなるのかと思うとゾッとしますね…。気をつけましょう。火の用心。
竹細工
『常陸どこでも竹とんぼクラブ』さんが、竹とんぼやうぐいす笛の手作り体験教室を開いてくれました。
上手に飛ばせましたか?
ナカマロちゃん
特別ゲストのひまわり大使ナカマロちゃん。
みんなに囲まれ記念撮影に引っ張りだこ。
閉幕
11時00分前から始まった一般公開も、蛍の光をBGMに15時30分でお開き。
皆様お越しいただき誠にありがとうございました。
来年もお楽しみに!
カナちゃんからごあいさつ
去年は雨で屋内開催になったけど、今年は本当にいいお天気。気持ちのいい青空の下で施設見学会ができました♪
1,254名の来場者のみなさま、本当にありがとうございました!
今回見ていただいたJT-60SAは、これからクライオスタットの組立てです。
再来年には運転開始の予定だけど、来年の施設見学会までにどこまでできる予定かはまだヒ・ミ・ツ♪
来年の施設見学会もお楽しみに!
実はここ最近の一般公開は、なぜか一年おきに雨なんです…
- 2012年09月29日(土曜日)晴れ
- 2013年10月26日(土曜日)雨
- 2014年10月25日(土曜日)晴れ
- 2015年11月08日(日曜日)雨
- 2016年11月03日(祝)晴れ
- 2017年10月22日(日曜日)雨
- 2018年10月21日(日曜日)晴れ
来年の施設見学会も、どうか晴れますように!