那珂研究所

那珂研究所長ご挨拶

掲載日:2022年7月4日更新
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ご挨拶

竹永秀信那珂研究所所長202207
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
量子エネルギー部門 那珂研究所長
竹永 秀信

 

 那珂研究所は、量子科学技術研究開発機構量子エネルギー部門の拠点の一つとして、核融合反応で発生するエネルギーにより電力を生み出す装置の研究開発を行っています。核融合反応は、太陽などの恒星の中で起こっている反応です。この反応を地上で実現することで発生する核融合エネルギーは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない、容易に反応を止められるので安全性に優れている、燃料資源が枯渇することがない等の特長を有しており、人類の未来を切り拓くエネルギー源といえます。
 
 茨城県那珂市の地で、那珂研究所の整備が始まったのは古く、昭和54年(1979年)です。我が国のプロジェクトとして臨界プラズマ試験装置JT-60が建設され、昭和60年(1985年)4月の実験開始に合わせて研究所が発足し、今年度で38年目となりました。これまで、イオン温度5.2億度、エネルギー増倍率(等価換算値)1.25などを達成し、世界の核融合研究開発を牽引してきました。
 
 現在、50万キロワットの核融合エネルギーの発生を世界で初めて実証するため、日本、欧州、アメリカ、ロシア、韓国、中国、インドが共同で「核融合実験炉イーター(ITER)」を建設する国際プロジェクト「イーター計画」がフランスにおいて進行中です。那珂研究所は、我が国の国内機関として主要機器の調達を担当しています。具体的には、イーターの心臓部を構成する超伝導コイル等の最先端機器の製作を、我が国の産業界の持つ技術力を統合する体制で進めています。超伝導トロイダル磁場コイルの初号機が、令和2年(2020年)4月にイーター建設サイトに到着し、現地での組立が開始されました。令和4年(2022年)7月現在、我が国が分担する9機のうち6機までがサイトに到着しています。また、イーター計画の実施主体である国際機関「イーター機構」への人的貢献も行っています。
 
 さらに、量子エネルギー部門では、イーター計画を支援するとともに、イーター計画の次段階として核融合エネルギーによる発電を初めて実証する「核融合原型炉」の早期実現に貢献する日欧協力活動「核融合エネルギー研究分野における幅広いアプローチ(BA)活動」を、我が国の実施機関として推進しています。BA活動には3つのプロジェクトがあり、2つは青森県にある当部門のもう一つの拠点六ヶ所研究所で行い、サテライト・トカマクJT-60SAプロジェクトを那珂研究所で進めています。JT-60SAは、イーターのほぼ半分のサイズで、現時点で世界最大の超伝導核融合実験装置です。令和2年(2020年)3月に本体組立が完了し、現在、統合試験運転で判明した装置不具合箇所の補強を行っております。JT-60SAは、イーターに比べ、プラズマ性能に影響を与えるプラズマ形状を幅広く制御できるよう設計しており、イーターと相似形プラズマではイーターを先導する実験を行うとともに、プラズマ形状を幅広く調べることで、経済性に優れた核融合炉に向けて高性能プラズマの開発を進めていきます。
 
 那珂研究所は、イーター計画及びBA活動を推進し、六ヶ所研究所とともに、将来に向かって引き続き核融合エネルギーの国際的総合研究開発拠点としての役割を果たしていきます。
 
 今後とも、皆様のご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

​(2022年7月1日)