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量子エネルギー研究分野

「Q-DEMO概念設計報告書」について 

QSTでは、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略(2025 年6 ⽉改定)」に沿って2030 年代の発電実証を⽬指すため、原型炉計画の加速案としてITERサイズ原型炉の検討を⾏ってきました。ここに概念設計報告書を公開するにあたり、名称を「Q-DEMO」と決定しました。

原型炉計画については、六ヶ所フュージョンエネルギー研究所(六ヶ所研)に設置している産学連携の原型炉設計合同特別チームにおいて、2019年に21世紀中ごろに発電実証を⾏うための⽇本独⾃の原型炉JA DEMO の基本概念を明確化しました。そこでは、ITER より1.4 倍程度⼤きなトカマク炉⼼で正味電⼒25万kWを得る計画としていました。その後、2020年頃からフュージョンエネルギーを巡る状況が世界的に⼤きく変化し、⺠間投資を受けたスタートアップを中⼼にプライベートセクターが、従来のパブリックセクターと異なる野⼼的な開発戦略を掲げフュージョンエネルギー開発に参画してきました。その状況を踏まえ、我が国では2023年に分野初の国家戦略となる「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」が策定されました。同戦略では、フュージョンエネルギーの商業化がビジョンとして掲げられており、フュージョンテクノロジーの開発戦略とともに、フュージョンインダストリーの育成戦略を推進することが明記されています。QSTにおいては、JA DEMOの建設加速に向けて産業界と協⼒して製作性の検討を⾏ったところ、ITER より⼤きな原型炉では⼯程・コストがかかることから、建設加速のためにはITER サイズ程度にする必要があるとの結論に⾄りました。また、社会実装に向けて科学的・技術的意義のある発電実証とは何かを考え、ITER 計画/BA 活動を技術基盤としてITERサイズの原型炉で着実な2030年代発電実証を⽬指すこととしました。

今回、Q-DEMO の概念設計を、JA DEMO の概念設計とITER の⼯学設計を統合して完成させました。ここでは、発電実証、燃料増殖実証、定常運転実証と3つの段階的な開発フェーズを採⽤しています。ITER 及びJT-60SA の建設を通して獲得した製作技術や知⾒・経験・ノウハウを最⼤限活⽤するとともに、JT-60SAでの⾼性能プラズマの開発成果及び先進的なブランケット・ダイバータの開発成果等を取り込んでいく必要があります。そのため、産業界も利⽤可能な基盤設備を那珂フュージョン科学技術研究所(那珂研)及び六ヶ所研に整備し、QDEMO建設・⽬標達成に必要な研究開発を進めていきます。

現在、パブリックセクターとプライベートセクターが連携・協⼒しながら、フュージョンエネルギーの実現に向けた取り組みを加速するなど新たな展開を迎えています。2026年4⽉からは、那珂研及び六ヶ所研を⼀体的にマトリックス組織とすることで、原型炉、ITER、JT-60SAの3つのプロジェクトを、産業界との連携を強化しつつ戦略的に進めていきます。QSTのパーパスである「量⼦で夢をかなえ未来を拓く〜量⼦で新しい⽇本を創り、量⼦で世界を幸せにする〜」を達成するために、フュージョンエネルギーの早期実現に向けた取り組みを加速して推進してまいります。

Q-DEMO 概念設計報告書概要版 [PDFファイル/4.19MB]

「Q-DEMO 概念設計報告書全体版」の入手を希望される方には、所定の 「Q-DEMO 概念設計報告書申込書」 を提出いただいた上で、提供いたします。
「Q-DEMO 概念設計報告書全体版申込」

 

Mission

GX(グリーントランスフォーメーション)を支えるフュージョンエネルギーの実現

国際協力によりフュージョンエネルギーの科学的・技術的成立性を実証する「ITER計画の推進」、反応炉で燃料を燃やし続ける研究をする「先進プラズマ研究開発」及び高品質プラズマの実現を支える「核融合理工学研究開発」を三本柱とし、フランスでの実験炉ITERの建設、それに先立つ那珂フュージョン科学技術研究所におけるトカマク型超伝導プラズマ実験装置JT-60SAの運転開始など、総合的に研究開発を推進します。

中核研究所▶ 那珂フュージョン科学技術研究所六ヶ所フュージョンエネルギー研究所
関連研究所▶ 高崎量子技術基盤研究所

地上に太陽を!

人類初の核融合実験炉の実現を目指す超大型国際プロジェクト ITER計画

エネルギー問題と環境問題を根本的に解決するものと期待されるフュージョンエネルギーの実現に向け、日本・欧州・米国・ロシア・韓国・中国・インドの7極から世界最先端の研究計画のために英知が結集され、ITERの建設が進んでいます。ITERの目標は重水素と三重水素という実燃料を用いて、大出力長時間の燃焼を行うことです。そのための超伝導コイルなどいろいろな炉工学技術を実証します。QSTはITER協定に基づく活動を行う我が国の国内機関に指定されています。我が国が分担するITER機器や設備の調達活動を進めるとともに、ITER機構への人材提供の窓口としての役割を果たします。

フュージョンエネルギー実現への道筋

原型炉へのロードマップでは、建設中の実験炉ITERでフュージョンエネルギーを実証し、次の原型炉でフュージョンエネルギーによる発電を実証します。原型炉に向けてITERでできないことは幅広いアプローチ活動にて実施します。

フュージョンエネルギー実現への道筋

トカマク型超伝導プラズマ実験装置JT-60SA

JT60-SAフュージョンエネルギーの早期実現のために、日欧共同で実施するサテライト・トカマク計画と我が国で検討を進めてきたトカマク国内重点化装置計画の合同計画として那珂フュージョン科学技術研究所に建設されました。現時点では世界最大の超伝導トカマク装置です。高さは約16m、重さは約2,600tになります。

JT-60SAの目的

ITERの技術目標達成のための支援研究

JT-60SAの目標

ITERと同じ形で高い性能を持つプラズマ運転を行い、その成果をITERへ反映させます。

原型炉に向けたITERの補完研究

高出力の核融合炉を実現するため、高い圧力のプラズマを長時間(100秒程度)維持する運転方法の確立を目指します。

人材育成

ITER計画をはじめとする核融合研究開発を主導できる研究者・技術者の育成を行います。

国際核融合材料照射施設(IFMIF)原型加速器

IFMIF

核融合炉で発生する14MeV※1の高エネルギー中性子に対する炉材料の健全性を評価する加速器駆動型中性子源IFMIFに向けた原型加速器。フュージョンエネルギーの早期実現のための幅広いアプローチ活動により六ヶ所フュージョンエネルギー研究所に設置して試験を実施。国際協力として日本と欧州各国(イタリア、スペイン、フランス、ベルギー)が協力して設計製作​し、六ヶ所フュージョンエネルギー研究所に持ち込んで組み立て、試験をしています。全長36m。2014年に入射器において初ビームの引き出しを行い、2018年に高周波四重極加速器での初ビーム加速試験を行いました。超伝導線形加速器の整備を進め、プロジェクトの目標である重陽子を用いた統合ビーム試験9MeV/125mA※2/連続運転の達成を目指しています。

※1 MeV:メガ電子ボルト ※2 mA:ミリアンペア

IFMIF/EVEDA事業

日欧の国際協力において、国際核融合材料照射施設IFMIF(重陽子ビームエネルギー40MeV、ビーム電流125mAの加速器2台より構成)の工学設計を行うとともに、機器の要素技術を開発しています。

IFMIF

原型炉に向けた研究開発

国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)

IFREC

●原型炉設計R&D調整センターにて原型炉の設計研究を日欧で実施し、核融合原型炉の共通課題を検討しています。原型炉の早期実現に必要な物理的、工学的課題についてのR&D項目を摘出し、R&D活動を合わせて実施しています。

● ITER遠隔実験センター(REC)ではITERを
使った実験研究・解析研究に日本国内の研​究者が参加するためにITを駆使したRECの構築を日欧で進めています。超高速転送技術の実証実験では、30分ごとに1TB、50時間で105TBのデータ転送実証実験に成功しました。転送したITERデータを核融合原型炉の建設に向けて活用するため、計算機シミュレーションセンターと協力した機械学習/AI技術の研究開発も進めています。

エネルギーを取り出すブランケットの開発

ブランケット開発

原型炉では中性子から発生した熱を取り出し発電機まで送るため、炉心プラズマを囲むように「ブランケット」と呼ばれる機器を設置します。ブランケットには中性子から外部の機​器を守ること、中性子を用いて核融合の燃料である三重水素を作る役割もあります。ITERにブランケットの試作機(TBM)を持ち込み、実証試験を行う準備を行っています。

計算機シミュレーションセンター(CSC)

CSC

核融合研究専用のスーパーコンピュータを用いて、ITER計画や原型炉開発及び他のBA事業を支援するシミュレーション研究を日欧で進めています。