基盤技術グループでは、NanoTerasuのネットワーク・構内電話を運用しています。ここではNanoTerasu内のネットワーク・構内電話について紹介します。
ネットワーク
NanoTerasuでは複数の組織により運営されており、それぞれの組織が管理する情報システムがネットワークに接続しています。これらの情報システムは、実験に使用するシステムだけでなく、放射線管理や設備管理、電話も含まれます。NanoTerasuでは各情報システムを一つのテナントとしてとらえ、ネットワークの仮想化により複数のテナントが共存するマルチテナント型アーキテクチャーネットワークとして構築しています。実装技術としては、Shortest Path Bridge(SPB)プロトコルを採用しています。
物理ネットワーク
NanoTerasuは24時間365日稼働する施設です。そのため、そのネットワークもそれに見合った安定性、信頼性が求められます。ネットワークトポロジーとしては、建物の形状に沿ったリングトポロジーとそのリング上の5つの拠点に置かれたコアSW(VSP8600)、基幹SW(VSP8600)×3、ディストリビューションSW(VSP7400)、これらのSWからスタートポロジーで接続されたディストリビューションSW(VSP7400)、さらにその配下となるリーフSW(5520-48T/5520-24T)となっています。今後のビームライン増設に対応するため、幹線部分は現状100Gbpsですが、将来的には400Gbpsへ拡張可能なファイバー網として構築されています。
無線ネットワーク
NanoTerasu内のどこでも無線LANが利用可能なようにアクセスポイントを配置しています。2.4/5GHz帯を利用して、以下の接続が可能です。
- スタッフ用ネットワーク接続
- IP電話
- 利用者用インターネット接続(ユーザーネットワーク、eduroam)
なお、加速器トンネル内の無線ネットワークはトンネル内部に漏えい同軸ケーブルアンテナのみを敷設して、アクセスポイントはトンネル上部に設置、放射線の影響を最小限に留めています。また、建屋中庭にも屋外用アクセスポイントを設置し無線LANを提供しています。
論理ネットワーク
NanoTerasuには大きく分けて6種類のネットワークセグメントがあります。各セグメントの特徴は以下の通りです。
- 放射線監視系は施設内各所の線量計から線量データを収集
- 一般系は施設を管理運営
- 加速器制御系は高い独立性と可用性、応答性を重視
- ビームライン基幹系は加速器制御系とビームライン利用系の中継
- ビームライン利用系は実験装置の測定器やデータ処理システムを収納(ビームラインごとに分離)
- ユーザーネットワーク/eduroamは外部利用者の端末が接続(端末間通信制限)
約70のセグメントがアクセスコントロールマトリックスにより通信を管理されています。
外部接続
NanoTerasuは外部と以下の4つの接続を持っています。
- SINET/プロバイダ経由のインターネット接続
- SD-WAN経由のSRIS棟QSTスタッフ居室との接続
- 高速広帯域アクセスサービス経由のアーバンネット仙台中央ビル分析室との接続
- ナノテラス利活用ネットワーク経由の東北大学サイバーサイエンスセンターとの接続
構内電話
NanoTerasu内の電話はIP電話を使用しています。自前の交換機を持たず、クラウド上のPBXを用いてスタッフのアカウントに電話番号を割り当てています。スタッフは無線ネットワークに端末を接続してクラウド経由で音声通話を行います。