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プレスリリース

次世代重粒子線がん治療装置「量子メス」実証機向け超伝導シンクロトロン加速器の製造を開始 ― 世界最小の重粒子線がん治療装置を実現 ―

掲載日:2023年4月13日更新
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概要

 東芝エネルギーシステムズ株式会社(代表取締役社長:四柳 端、以下「東芝ESS」)および、みずほ東芝リース株式会社(代表取締役社長:丸山 伸一郎、以下「MTL」)は、2023年3月28日、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長:小安 重夫、以下「量研」)と「次世代超小型量子線がん治療装置(量子メス)実証機」の賃貸借契約を締結し、東芝ESSはMTLとの製造請負契約に基づき、量子メス実証機向け超伝導シンクロトロン加速器の製造を開始しました。東芝ESSは、本実証機の製造を2026年度末までに行い、量研が千葉地区において建設中の量子メス棟(仮称)内に設置します。薬機法注1の承認などを経たのち、量研は本実証機の臨床運用を計画しています。本実証機は世界最小注2の重粒子線がん治療装置となります。

 量研らが2016年から開発してきた次世代重粒子線がん治療装置「量子メス注3」は、超伝導技術を応用することにより、従来の装置に比べ画期的な小型化を実現します。東芝ESSは、長年、超伝導に関する技術開発を行っており、2016年には超伝導技術を用いた回転ガントリーを量研と開発し納入するなど、重粒子線がん治療の分野で、着実に成果を挙げてきました。この技術を応用する形で、量研と共同で2019年より、量子メスの中核技術の1つである、超伝導シンクトロン加速器の電磁石試作および基本設計に携わってきました。また、この超伝導シンクロトロン加速器は、量研らが開発する量子メスの中核技術の1つであるマルチイオン治療注4に対応しています。

 東芝ESSは、超伝導シンクロトロン加速器の設計・製造・据付・試験、並びにシステム制御を行います。量研は、量子メス実証機の設計とビーム試験を行います。

 MTL は、東芝ESSと超伝導シンクロトロン加速器の製造などにおいても連携し、東芝ESSによる試験完了後、量子メス実証機を量研に賃借する役割を担います。本件は、重粒子線がん治療装置用として世界初注5の超伝導シンクロトロン加速器となります。

 三者は、今回の量子メス実証機製作を進めることにより、重粒子線がん治療の普及に努め、量研が掲げる「がん死ゼロ健康長寿社会」の実現に貢献していきます。

重粒子線がん治療装置(第一世代装置:HIMAC)から量子メスまでの変遷

図 重粒子線がん治療装置(第一世代装置:HIMAC)から量子メスまでの変遷

「量子メス」開発の背景

 量研は、これまで25年以上にわたり重粒子線がん治療の研究と14,000名を超える患者の治療に取り組んできました。その結果、骨軟部や頭頸部腫瘍、前立腺がん、局所進行性膵がん、肝臓がん、肝内胆管がん、大腸がん術後再発、子宮頸部腺がんが保険適用となり、また、当初は6週間だった治療照射を肺がんでは1日に短期化し、患者の生活の質(QOL)を向上させるなど、臨床研究において成果を挙げてきました。

 これら治療実績が認められ、重粒子線がん治療施設は国内外に拡がり、日本国内7施設で合わせて年間約3,600名の治療が行われています。しかし、その人数は、1年間に日本で新にがん患者となる人数の約0.4%、世界に目を向ければ約0.02%に過ぎません。

 重粒子線がん治療の適応となる全てのがんの治療効果を高めるとともに、本治療をさらに多くの患者に届けるため、高度な治療が可能な小型重粒子線がん治療装置が求められています。量研は、量子ビームによる腫瘍除去手術になぞらえて名付けられた次世代重粒子線がん治療装置「量子メス」の研究開発を推進しています。

注1:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

注2:2023年4月現在、三者調べ

注3:https://www.qst.go.jp/site/press/1284.html

    https://www.qst.go.jp/site/qst-kakushin/39695.html

注4:https://www.qst.go.jp/site/press/20220524.html

注5:2023年4月現在、三者調べ