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大正製薬(株)及び日本農薬(株)と共同所有するアルツハイマー病等の診断のためのイメージング技術供与について、バイエル・シエーリング・ファーマ社(ドイツ)とライセンス契約を締結

掲載日:2018年12月26日更新
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概要

独立行政法人放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区、米倉 義晴 理事長)分子イメージング研究センター(菅野 巖センター長)は、この程、同所が、大正製薬 株式会社(東京都豊島区、上原明社長)及び日本農薬 株式会社(東京都中央区、大内脩吉社長)と共同所有するアルツハイマー病などの神経疾患を診断するためのイメージング技術を、バイエルグループの一員である製薬会社、バイエル・シエーリング・ファーマ社(ドイツ)に供与するライセンス契約及びオプション契約を締結しました。バイエル・シエーリング・ファーマ社は、本契約の締結によって、神経変性疾患及び炎症性反応を発見するPETのスキャニング技術を構築すると共に、ここで使用される製品を世界で独占的に開発、販売する権利を得ることとなります。また、放射線医学総合研究所、大正製薬株式会社、日本農薬株式会社は、バイエル・シエーリング・ファーマ社によって支払われるロイヤリティーを得るとともに、F-18-FEDAA1106などのPET用薬剤の臨床使用を可能にすることにより、国内のみならず世界的な医療水準の向上に寄与することとなります。

背景

2005年に発表された世界的な疫学調査によると、全世界において、現在2,430万人が認知症を患い、毎年460万人の新たな発症が認められています。高年齢化および診断法の向上により、その数は20年毎に倍増し、2040年には8,110万人に達すると予想されています。特に、認知症の中で50~75%を占めるアルツハイマー病の早期発見は、老年医学分野の重要なテーマとして取り組まれています。

こうした中、バイエル・シエーリング・ファーマ社は、アルツハイマー病の特徴であるアミロイド斑を標的とするトレーサーの開発を進めるとともに、同病の革新的な診断法を提供する世界的な活動の具現化を図っています。

一方、放射線医学総合研究所、大正製薬株式会社、日本農薬株式会社は、PETスキャニングなどさまざまな非侵襲的イメージング技術に適用可能な化合物類の特許を共同所有しており、臨床レベルにおいてより有効に活用することを模索してきました。

放医研の役割

放射線医学総合研究所は、長年にわたり先端的な画像診断技術の研究開発に取り組んできましたが、世界的な分子イメージング研究の勃興を踏まえ、平成17年、研究所内に分子イメージング研究センターを創設しました。特に、PET研究に用いる分子プローブ関連の研究開発については、世界最高レベルの超高比放射能化技術や独自の多目的自動合成装置開発など、世界的に卓越した技術を保持しています。ここでは、

  • 多様な生体機能計測用新規分子プローブ開発
  • 実用的で利用可能な分子プローブライブラリーの構築
  • 多様で安全な分子プローブの定常的生産
  • 研究成果の社会還元と人材育成

などに積極的な取組みがなされています。大正製薬株式会社および日本農薬株式会社より提供されたDAA化合物をもとにPETリガンドの開発に取組んできました。この中で、F-18-FEDAA1106は、アルツハイマー病など認知症の早期診断や脳内炎症性疾患の診断に新たな可能性を持つものとして注目されています。

バイエル・シエーリング・ファーマ社について

バイエルグループの一員であるバイエル・シエーリング・ファーマ社は、世界的なスペシャリティー医薬品企業として、ウイメンズヘルスケア、画像診断薬、治療薬、血栓止血領域、プライマリーケア、オンコロジーの6領域に注力し、研究開発及び事業活動を展開しています。同社は、その革新的な製品で、世界のスペシャリティー医薬品市場における主導的地位を目指すとともに、新しいアイデアを活かして医療の進歩に貢献し、人々のクオリティー・オブ・ライフの向上に努めています。

本件の問い合わせ先

独立行政法人 放射線医学総合研究所 広報室
Tel:043-206-3026
Fax:043-206-4062
E-mail:info@nirs.go.jp