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千葉地区共通情報

放医研、HP上で国内外の産業材料の「自然起源放射性物質データベース」を公開

掲載日:2018年12月26日更新
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概要

独立行政法人放射線医学総合研究所(理事長:米倉 義晴、以下、放医研)放射線防護研究センター 規制科学総合研究グループの岩岡 和輝研究員らは、主として産業材料となる国内産、海外産の物質について利用実態調査と独自の放射能濃度調査を行いました。更に、これによって得られた情報を集約し、今回1,400種類に及ぶ物質について「自然起源放射性物質:NORM(naturally occurring radioactive material)データベース」として、平成19年10月1日より、ホームページ「http://www.nirs.qst.go.jp/db/anzendb/NORMDB/index.php」で公開しました。

NORMについては、IAEAをはじめとする国際機関や国内外の研究機関において、さまざまな研究や報告がされてきましたが、包括的な情報が少なく、主として産業材料として使用される物質の個別の実態は明らかになっていません。

こうした中、放医研の規制科学総合研究グループでは、規制当局、放射線防護の専門家への規制対象物質の検討などに必要な情報提供、及び自然放射線を発する物質を利用して作業に関わる人々や製品を利用する一般の人々に情報を正しく把握していただくことを目的として、NORMに関するデータを文献値や実験値から蓄積(データベース化)し、我が国における自然起源放射性核種の利用実態調査に取り組んでいます。

鉱物や岩石を原材料とする産業材料は、大部分は低レベルですが例外なく自然放射線核種を含んでいます。また、利用されるNORMの種類や産地などは極めて多様であり、状況によって変化しています。NORMの規制の状況が進むにつれて、それらを取り扱う事業者やその現場の作業者など社会全般に不安が広まることも考えられます。今回公開したデータベースの活用によって、事業者や作業者が正しい情報・知識を理解して、適切に対応できることが期待されます。放医研では、国民の安全と安心を目指して更にデータベースの内容を充実させていきます。

データベース公開の背景

産業材料(岩石、鉱石、石油、石炭など)及びそれらから作られる製品、副産物、廃棄物には、自然起源の放射性核種(U-238系列、Th-232系列など)が比較的高濃度で含まれている場合があります。一方で、NORMの利用状況については人工放射性物質と異なり、包括的な情報が少ないのが実状です。NORMの規制に関する国際的な基準が整備されつつある中、我が国においてはNORMの利用に関する規制の方法について検討されています。今後、規制当局や産業材料を利用する事業者にとってNORMに関する情報は重要になってきます。また将来、NORM利用に関する指針等が発行された場合、これらの情報を広く公開しておくことは、事業者や国民の不安を解消するために役立つものと考えられます。本データベースの公開については、さまざまな産業材料を対象として利用の実態調査(物質の放射能濃度、国内外生産量、輸入量、マテリアルフローなど)を行い、これらに関わるデータの蓄積を図りました。

調査の概要と今後の展開

本データベースの作成のために、国内産、海外産の産業材料についてそれぞれの調査を実施しています。国内産については、「国内で採掘されている産業材料の種類および量」を、海外産については、「産業材料の輸入状況」と「産業材料の放射能濃度」を調査しています。「産業材料の輸入状況」では産地、輸入量、用途、マテリアルフロー等が、「産業材料の放射能濃度」では文献データおよび実測データ等を参考にした物質名、産地、放射能濃度が調査項目となっています。

自然起源の放射性核種としては、主にK-40、Rb-87、La-138、Sm-147、Lu-176、Th-232系列核種、U-238系列核種が挙げられます。その中で、通常の天然物質で国際免除レベルを超えて含まれている可能性が高い核種は、U-238系列核種、Th-232系列核種、K-40です。本調査では、主にU-238系列核種、Th-232系列核種、K-40の放射能濃度を重点的に調査し、データを蓄積しています。

今後は、記載データに新たな情報を随時、追加・更新し、データベースの拡充を図っていきます。

本件の問い合わせ先

独立行政法人 放射線医学総合研究所 広報室
Tel:043-206-3026
Fax:043-206-4062
E-mail:info@nirs.go.jp