現在地
Home > 量子生命・医学部門 > 放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センターと理化学研究所 脳科学総合研究センターが脳科学研究の推進のための連携・協力協定を締結

量子生命・医学部門

放射線医学総合研究所 分子イメージング研究センターと理化学研究所 脳科学総合研究センターが脳科学研究の推進のための連携・協力協定を締結

掲載日:2018年12月26日更新
印刷用ページを表示

概要

独立行政法人放射線医学総合研究所(千葉県千葉市、理事長:米倉 義晴、以下、放医研)分子イメージング研究センター(菅野 巌センター長)と独立行政法人 理化学研究所(埼玉県和光市、理事長:野依 良治、以下、理研)脳科学総合研究センター(甘利 俊一センター長)は、脳科学研究に関する研究開発能力や人材など両者のポテンシャルを活用し、同分野において世界をリードすることを目指した連携・協力協定を締結しました。

本協定は、分子イメージング研究の一環として先端的な分子神経イメージング研究を推進する放医研分子イメージング研究センターと脳科学研究分野において世界的な実績を有する理研脳科学総合研究センターとが、密接な研究協力体制を築くことにより、世界的な研究開発競争下にある脳科学研究を牽引することを目的としています。

協定締結の背景

平成17年度から開始された文部科学省による分子イメージング研究プログラムの中で、放医研と理研(神戸研究所 分子イメージング研究プログラム)は、実質的な研究を推進する我が国の中核研究拠点として位置づけられています。

ここでは、生物が生きた状態のまま外部から生体内の遺伝子やタンパク質などの様々な分子の挙動を観察する分子イメージング技術について、PETを中心としたイメージング技術を利用した創薬プロセス改革、疾患の診断技術及び治療の評価技術の開発を目指した研究を展開しています。

こうした中、脳科学研究については特に欧米諸国との世界的な研究開発競争下にあり、国内研究機関の枠を超え、密接な連携・協力体制が求められています。

今回の協定締結は、こうした取り組みの一環として、これまでの協力関係を発展させ、両機関の研究ポテンシャルを最大限に活用しようとするものです。

これまでに放医研分子イメージング研究センターでは、世界トップレベルの放射性薬剤合成開発能力を基礎に、多様な分子プローブ(PET薬剤)を用いて、統合失調症の神経伝達物質受容体の変化や、うつ病における抗うつ薬結合部位の変化、さらにアルツハイマー病における神経伝達に関わる酵素活性の変化などを世界に先駆けて報告してきました。また向精神薬の薬効評価においても、生体における薬効指標の開発と応用を幅広く行ってきています。

一方、理研脳科学総合研究センターは1997年10月に設立され、脳科学の戦略目標に沿って「脳を知る領域」、「脳を守る領域」、「脳を創る領域」、「脳を育む領域」の4つの研究領域を設定し、外部の研究機関と協力、連携しつつ、人間はなぜ人間であるのか、という根元的命題の解明に向けて鋭意努力しています。最近では、過剰にリン酸化したタウタンパク質が脳老化の記憶障害に関与することの発見や、胎児期の不飽和脂肪酸代謝不全を示唆する統合失調症の遺伝子を発見するなどの成果を得ています。

また両研究機関は、現在、研究者レベルの共同研究を進め、学習による大脳皮質間の神経ネットワーク形成過程をPETで観測する可視化やアルツハイマー病のモデル動物における中核病理変化の生体イメージングを世界に先駆けて成功させるなど、疾患の病態解明とその診断・治療に結びつく成果を得ています。

連携・協力の内容

今回の協定は、両機関が平等互恵の精神の基づき、脳科学研究を推進する目的の範囲において次の5項目としています。

  1. 情報交換
  2. 共同研究
  3. 人材交流及び人材育成
  4. 産業界及び他機関との連携・協力
  5. その他本協定の目的を達成するために必要な事項

また、これに必要な具体的内容については、相互協議の上、決定することとしています。

有効期間

協定の有効期間は、締結日より平成23年3月31日までとしています。

ただし、本協定の有効満了日の1か月前までに、相互いずれからも書面をもって終了の申し出がないときは1年間延長するものとし、その後も同様となっています。

本件の問い合わせ先

独立行政法人 放射線医学総合研究所 広報室
Tel:043-206-3026
Fax:043-206-4062
E-mail:info@nirs.go.jp